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こちらの記事の監修医師
森本 将史 院長

のうどうじょうみゃくきけい脳動静脈奇形

概要

脳内の血管が形成される妊娠初期に起こる、胎児の異常による先天性疾患。毛細血管が正しく作られずに、動脈と静脈がナイダスと呼ばれる異常な血管の塊で直接つながってしまっている状態。脳内のナイダスがある部位周辺へは血液がうまく流れないため、そのままの状態にしておくと、けいれんや手足のまひ、頭痛、認知機能障害、心不全などを引き起こすことがある。また、ナイダスは正常な血管に比べると弱い性質があり、脳出血などを起こしやすい。特に若年層の脳卒中(脳出血やくも膜下出血)の原因を調べる中で、脳動静脈奇形が見つかるケースも多い。

原因

通常、心臓から送られた血液は、脳内の動脈→毛細血管→静脈のルートを通り、心臓に戻る。この途上で、毛細血管を通る血液から周辺の組織に酸素や栄養が届けられる。しかし、脳動静脈奇形ではこの毛細血管がないため、代わりにナイダスという血管の塊を血液が通ることになる。このために脳内に血液がうまく流れず、さまざまな症状を引き起こす原因となる。またナイダス自体、血管の壁が弱く破れやすい特徴を持つ。そのナイダスに静脈から直接血液が流れこむことで負担がかかり、血管が破裂しやすくなってしまう。その結果、脳出血やくも膜下出血などを誘因する。もともとは胎児のときに、血管が動脈、毛細血管、静脈に正しく分岐しなかったことから起こる症状だが、なぜこのような異常が起きるのかは、まだ分かっていない。基本的には遺伝性疾患ではないといわれている。

症状

出生時には異常はみられないが、体が成長するとともにナイダスも大きくなり、主に10代以降で問題が出現しやすくなる。患者の大半は、ナイダスが破裂することで引き起こされる脳出血の形で症状が発見されやすい。なお、ナイダスは脳内のどこにでもできるため、出血する場所によっては、くも膜下出血になる。また、出血しなくても症状が見られることもあり、特にけいれん症状を伴うてんかん発作で脳動静脈奇形が判明することが多い。他には、血液がうまく流れず、脳内に酸素や栄養が供給不足になることが原因で、認知機能が低下したり、頭痛やまひを引き起こすこともある。

検査・診断

脳動静脈奇形は、それがあるだけでは何の症状も起こさないことが多い。このため、脳出血やてんかん、頭痛などの症状が出て、その原因を調べる過程で発見されることがよくある。特に、若年層で脳出血やくも膜下出血の症状が現れた場合は、脳動静脈奇形を疑う必要がある。検査では、CTやMRI、MRA(磁気共鳴血管造影)などによる画像診断の他、脳血管造影検査など行う。これらの検査により、脳内にあるナイダス周囲の血管との関係や、ナイダスの大きさなどを調べ、最終的な確定診断を行うことになる。また、てんかん発作について調べるために、脳波検査も行うこともある。

治療

脳動静脈奇形そのものを治療できる薬はないため、まずは治療でナイダスをどれだけ取り除くことができるかが焦点となる。ナイダスの形や大きさ、緊急度などといった状況に応じて治療法が選択されるが、基本的には、ナイダスを取り出す開頭手術、放射線治療(ガンマナイフ)、血管に管を入れてナイダスを詰めてしまう血管内カテーテル治療(塞栓術)などが挙げられる。開頭手術でナイダス自体を取り出すことができれば根治につながるが、同時にリスクも伴うため、現在では、複数の治療方法を組み合わせて行うこともある。場合によっては、どの治療が良いかを決めるための検査入院も行う。脳出血などが起きておらず、てんかん発作が主な症状で緊急度が高くないと判断された場合は、投薬治療としてけいれん症状を抑える薬を用いる。

予防/治療後の注意

一度出血したナイダスは、再出血を起こす可能性がある。このため、もし病変部位を完全に摘出したり、ガンマナイフなどで根治することができていない場合は、将来的に再発する危険性が大きくなってしまう。治療後もきちんと定期的に検査を受けることや、生活習慣に十分注意して過ごすことが何よりも大切となる。

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こちらの記事の監修医師

横浜新都市脳神経外科病院

森本 将史 院長

1993年京都大学医学部卒業。2002年同大学院医学研究科修了。同医学部附属病院、国立循環器病センターなどの脳神経外科で勤務。2010年に横浜新都市脳神経外科病院の脳神経外科部長に就任。2011年から院長を務める。専門分野は脳動脈瘤、バイパスなどの血行再建手術、血管内手術などの脳血管障害、脳腫瘍。「チーム新都市」としてスタッフ一丸となったチーム医療を提供できる病院づくりをめざしている。