
こちらの記事の監修医師
横浜市立市民病院
石原 淳 病院長
とっぱつせいほっしん(しょうにばらしん)突発性発疹(小児バラ疹)
最終更新日:2021/11/18
概要
多くの場合は生後6ヵ月から3歳頃の小児に発症する感染症。子どもが初めてかかる病気の代表格であり、生まれて初めての発熱が突発性発疹ということも少なくない。季節に関係なく罹患する可能性がある。ウイルスに感染してから10日ほどの潜伏期を経て発症する。発熱から始まり、その後に発疹が出るため、発熱だけでは診断がつかない。下熱後に発疹が出現して初めて突発性発疹と診断される。なお、ウイルスに感染しても症状が出ないこともある(不顕性感染)。
原因
ヒトヘルペスウイルス(HHV )6型または7型に感染することによって発症する。ほとんどの大人はすでに罹患しており、体内にウイルスが潜んでいると考えられる。そのため、濃厚に接する人(主に患者である子どもの両親など)の唾液にウイルスが潜んでおり、その唾液を感染経路として小児に感染すると考えられている。ヒトヘルペスウイルス7型感染は6型より感染時期が遅いことが多く、またヒトヘルペスウイルスの他にも似たような症状をもたらすウイルスがあるため、突発性発疹に2回以上かかることもある。また、感染した後に体内に潜むウイルスが体調不良の際に再活性化し、発症することもある。
症状
主な症状は発熱と発疹。9~10日の潜伏期間の後、突然38~40℃の高熱が出る。多くの場合、高熱が3~4日ほど続いた後、平熱近くに戻り、しばらくしてから発疹が現れる。発疹は皮膚内の毛細血管が部分的に拡張して赤く見えるものであり、痒みを伴わない。小さなプツプツとした紅斑が多く、顔にも出て、最終的には全身に広がることもあるが、2~3日から長くても1週間以内には徐々に消える。また基本的に痕が残ることはない。高熱が出たときに熱性けいれんを伴うこともあるため注意が必要。咳や鼻水はないが、下痢をする場合もある。ごくまれに脳炎、脳症、劇症肝炎、血小板減少性紫斑病などの合併症が現れるケースも。ちなみに下熱後に不機嫌になることもあるため、俗称で「不機嫌病」といわれることもある。
検査・診断
発熱だけでは診断できないため、下熱後の経過を観察し、発疹を認めて初めて突発性発疹と診断される。検査を行うことはまれだが、確定診断を行う場合は、血液中の抗体検査や急性期の血液からウイルスを分離する方法などがある。
治療
特別な治療法はなく、発熱時に冷却したり解熱薬を投与したり、下痢止めを使ったりと必要に応じた対症療法を行う。機嫌が良く水分が取れていれば自然に良くなるため、薬が必要ない場合も多い。熱性けいれんを合併した場合も、数分内に収まって意識が回復するようであれば心配ないとされる。4~5日たっても熱が下がらない場合は再度の受診が推奨される。
予防/治療後の注意
この疾患は高熱でも意外に元気なのが特徴だが、安静にさせることが大切。また、熱が上がる際に熱性けいれんを起こすこともあるため、注意して観察する必要がある。予防で気をつけることは特にない。移植患者など、免疫抑制状態化(体の免疫機能が低下している状態)にある患者が発症した場合は、抗ウイルス剤の使用を検討する価値もあると考えられている。

こちらの記事の監修医師
石原 淳 病院長
島根県出身。1979年慶應義塾大学医学部卒業。同大学病院や関連病院で小児循環器科の診療に携わり、1998年に市民病院に入職。 小児科部長、副病院長などを経て2013年より現職。研修医の指導や育成、看護師の教育に力を入れる。
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