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横浜市立市民病院 石原 淳 病院長

こちらの記事の監修医師
横浜市立市民病院
石原 淳 病院長

ねつせいけいれん熱性けいれん

概要

主に生後6ヵ月から6歳頃までの乳幼児期に起こる、38度以上の発熱に伴う発作性疾患。多くは熱が上がる時に起こり、基本的には短時間で収まる単純性のものである。発熱の際に脳内の活動をコントロールできなくなることでけいれんを起こすことがある。なお髄膜炎などの中枢神経感染症や代謝異常など、けいれんの原因が他にある場合は熱性けいれんには含まれない。発症率は全乳幼児の約5~10%で、脳に後遺症が残ったり命に関わったりすることは少ない。また、この疾患は遺伝と関係があり、両親のどちらかもしくは両方が経験していると発症しやすいとされる。

原因

突発性発疹や夏風邪、インフルエンザなど高熱を出す疾患の合併症として、熱性けいれんを引き起こすことがある。この他にも高熱を来す疾患すべてが熱性けいれんの原因となり得る。また、一度なったことのある子どもが再びけいれんを起こす場合も多い。遺伝的な要因もあり、両親どちらかに熱性けいれんの経験がある子どもは、そうでない子どもよりも2~3倍熱性けいれんを引き起こす頻度が多いといわれている。男児にやや多い。

症状

発熱後24時間以内にけいれん(ひきつけ)を引き起こすことがほとんど。多くの場合、意識消失とともに全身の突っ張り、手足の震え(ガクガクと動かす)のほか、急に目がつり上がって白目をむく、唇が紫色になる、泡を吹くといった症状が組み合わさって現れる。通常2~3分間、長くても5分以内で止まり、その後発作が収まると何事もなかったかのように元の状態に戻る。まれに15分以上持続する場合(けいれん重積)や、1日に2回以上繰り返す場合(けいれん群発)もある。

検査・診断

基本的に症状から診断し、検査で診断するものではないが、けいれんの原因が他の病気ではないと確認することが大切である。必要に応じて、血液検査(炎症の値や、電解質、血糖など)、ウイルス検査(インフルエンザなどのウイルス感染の有無)、髄液検査(髄膜炎の有無)のほか、腫瘍や出血などがないかを調べるため、頭部CTやMRIなどの画像検査を行う。脳炎が疑われる場合は脳波検査を行うこともある。他の病気が原因である場合には熱性けいれんではない。

治療

けいれんが短時間で収まり意識状態に問題がなければ、けいれんに対する治療は必要なく、症状や発熱の原因に対する治療が行われる。けいれんが長時間続いた場合や24時間以内に繰り返した場合などは、再発予防のために抗けいれん薬の使用が必要となる。また再発予防としては、診療ガイドラインの基準を満たした場合のみ、抗けいれん薬(ジアゼパム)を用いることもある。けいれんが収まっても意識が戻らない、10分以上けいれんが続く、目覚めた後の様子がいつもと違う、まひが残っている、数時間以内に再度けいれんを起こすなど、様子がおかしいと感じたら夜中でも至急受診すること。また初めてけいれんを起こした場合も同様、例え収まっても必ず受診したほうが良い。

予防/治療後の注意

けいれんが起こると驚いて気が動転してしまいがちだが、落ち着いて様子を見ることが大切。けいれんが起こったら、まずは呼吸しやすいように顔を横に向けて寝かせ、吐いた物を気道に詰まらせないように配慮する。また落ち着いて、けいれんの様子(左右差や目の動きなど)や持続時間を確認する。注意点としては、けいれん中に心配だからとゆすったりたたいたり、口の中に指や物を入れたりしないこと。さらに、けいれん中や直後は誤嚥の恐れがあるため、飲み物や飲み薬を与えないようにする。なお、けいれんを起こした後に予防接種を受けるには、2~3ヵ月期間を置く必要がある。

横浜市立市民病院 石原 淳 病院長

こちらの記事の監修医師

横浜市立市民病院

石原 淳 病院長

島根県出身。1979年慶應義塾大学医学部卒業。同大学病院や関連病院で小児循環器科の診療に携わり、1998年に市民病院に入職。 小児科部長、副病院長などを経て2013年より現職。研修医の指導や育成、看護師の教育に力を入れる。