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東邦大学医療センター大橋病院 婦人科 田中 京子 先生

こちらの記事の監修医師
東邦大学医療センター大橋病院 婦人科
田中 京子 先生

しきゅうにくしゅ子宮肉腫

概要

40代~60代の女性に多く、主に子宮体部に発生する悪性腫瘍のこと。発生頻度が非常に低く、子宮体部にできる全悪性腫瘍のうち8%(2004年統計)といわれている。大きく3つに分類され、最も多いのは「がん肉腫」。そのほか、多い順に「子宮平滑筋肉腫」、「子宮内膜間質肉腫」と続き、非常にまれな「腺肉腫」もある。これらは腫瘍細胞が発生する場所や組織の状態などから分けられ、病気の経過や進行期分類、治療方法などにも違いがあるのが特徴。子宮体部にできるほかの悪性腫瘍と比較した場合、発生頻度が低いことから標準的な治療法が確立されておらず、予後不良な疾患とされている。

原因

ほかの悪性腫瘍と同じように、何らかの遺伝子変異によって引き起こされる病気。発生頻度が非常にまれであることから、その原因などははっきりとわかっていない。一方、骨盤への放射線療法や、乳がんの場合に服用するタモキシフェンという薬物との関連性が疑われている。そのため、これらの治療歴を持っている人は、定期的に婦人科検診や内診を受けることがとても大切となる。不正出血などがあった場合は、早めに医師に相談すること。

症状

「生理の量が異常に多い」、「月経が長引いてしまう」といった月経過多・月経異常や、「閉経したはずなのに、出血がある」、「月経の周期とは関係のない出血が増えた」などの不正出血が、最も多い症状とされる。そのほか、「お腹が張って痛い」などの下腹部の痛みや膨満感、骨盤の痛み、おりものの増加などに悩むことも。さらに、肉腫が大きくなってしまっている場合、膀胱が圧迫されることによる頻尿や便秘、腰痛などが起こるケースもある。なお、超音波検査では良性の子宮筋腫との判別が難しく、手術後の病理検査にて子宮肉腫と判明されることも少なくない。

検査・診断

まずは内診を行い、子宮体部にがんの兆候がないかを調べていく。具体的には、子宮の形や子宮周囲との臓器の癒着などがないかを確認する。通常より子宮が大きくていびつであったり、腫瘍など異常が見つかったりした場合、、超音波(エコー)検査にて、腫瘍の大きさや場所の確認も行う。子宮肉腫と子宮筋腫の判別は難しく、子宮肉腫は40代~60代の女性に多い病気であることから、閉経後に腫瘍が大きくなっていく場合は注意が必要。そのほか、MRI検査やCT検査などの画像診断などを行うこともある。

治療

ほかの悪性腫瘍の治療と同じように、主な治療法には、手術や放射線治療、化学療法などがある。子宮肉腫の場合、最も多いのは手術。基本的に、お腹を切開する開腹手術によって子宮や卵巣、リンパ節などを切除し、可能な限りの腫瘍を取り除いていく手術となる。良性腫瘍として手術した後から、肉腫と診断されることも少なくないのが特徴。また、放射線治療では、「放射線を体の外から照射する方法」と「子宮肉腫の中に直接放射線を出す物質を埋め込む方法」などがあるため、担当医師と相談しながら決めていくこと。さらに、手術や放射線療法のサポートという位置付けをされているのが、化学療法。抗がん剤の内服や、静脈注射による治療などを行い、治癒をめざしていく。そのほか、病状によっては、ホルモン療法が有効と考えられるケースもある。

予防/治療後の注意

早期発見・早期治療のために、定期的な婦人科検診がとても重要になる。子宮筋腫と子宮肉腫の判別は難しいため、特に子宮筋腫がある人は、定期的な検診を心がけること。閉経後に不正出血などの異常が出た場合も、早めに受診することが大切。また、手術後に再発しやすいこともわかっているため、注意が必要。

東邦大学医療センター大橋病院 婦人科 田中 京子 先生

こちらの記事の監修医師

東邦大学医療センター大橋病院 婦人科

田中 京子 先生

慶応義塾大学卒業後、同大学病院、国立病院機構埼玉病院産婦人科医長を経て、東邦大学医療センター大橋病院の准教授へ就任。日本産婦人科学会産婦人科専門医、日本婦人科腫瘍学会婦人科腫瘍専門医、日本臨床細胞学会細胞診専門医の資格を持つ。