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東邦大学医療センター大橋病院 婦人科 田中 京子 先生

こちらの記事の監修医師
東邦大学医療センター大橋病院 婦人科
田中 京子 先生

しきゅうがいにんしん(いしょせいにんしん)子宮外妊娠(異所性妊娠)

概要

正常妊娠とは異なり、受精卵が子宮内膜以外に着床し、胎芽・胎児の発育が進んでしまうこと。最も多いのは卵管に着床するケースで、そのほかに卵巣や腹腔、子宮頸管などに着床することも。全妊娠数の1%程度で発症する。妊娠検査薬で陽性反応が確認できているにも関わらず、妊娠6週を過ぎても超音波検査にて子宮内に胎のうが確認できない場合、子宮外妊娠(異所性妊娠)が疑われる。また、卵管は卵巣から子宮に向かう小さな管であることから、胎芽が大きくなると卵管破裂に伴う大量出血の危険性も。早期の発見が不可欠で、手術が必要になることも少なくない。

原因

一般的に、卵巣から排卵された卵子は、卵巣と子宮をつなぐ卵管にある卵管膨大部にて精子と出会う。受精が成立すると受精卵になり、約1週間かけて子宮に向かって卵管を移動しながら細胞分裂を繰り返し、子宮内膜に着床する。しかし、卵管の癒着・狭窄など、卵管付近に何らかの炎症が起こっている場合、卵管の通りが悪くなることも。正常に受精卵が子宮に運ばれることなく、卵管などに着床して子宮外妊娠が発症してしまう。これは性感染症であるクラミジアや一般細菌などへの感染が卵管付近の炎症を引き起こしたり、卵管の癒着につながったりするとされている。また、過去に受けた子宮内膜症や卵巣、卵管の手術などの開腹手術が卵管の炎症を起こす可能性も。そのほか、不妊治療で体外受精を行った際の胚移植なども原因とされているが、まれに原因が不明なケースもある。

症状

基礎体温の高温が続いたり、乳房が張ったり、ムカムカしたりと、妊娠初期の症状は正常妊娠と変わらない。妊娠検査薬は陽性反応が出ることから、通常の妊娠と勘違いしてしまう人もいる。しかし、「少量の不正出血がある」、「下腹部が痛い」、「お腹が張った感じがする」など、妊娠週数が進むにつれて異常を感じることも。超音波検査の進歩により、早期に子宮外妊娠を発見するケースも増えてきたが、自覚症状がないまま子宮外妊娠が進むこともあるため、注意が必要。胎芽・胎のうが大きくなると、卵管などの母体の臓器が破裂してお腹の中で大量に出血し、出血性ショックなど生命の危険も伴う。また、卵管流産など、初期の流産によって妊娠が継続しないこともある。

検査・診断

妊娠検査薬で陽性反応が出ているにもかかわらず、妊娠6週目以降に超音波(エコー)検査にて子宮内に胎のうが確認できなかったら、初期の流産や子宮外妊娠かもしれない。その場合、流産との鑑別を行うために、尿検査や血液検査にて胎盤が作り出すhCG(ヒト絨毛性ゴナドトロピン)というホルモンの値をチェックし、流産せずに妊娠が継続しているかどうかを判断。その上で、さらに超音波検査やMRI検査による画像診断などを行い、胎のうがある部位の確認を進めていく。場合によっては、腹腔鏡(内視鏡)を用いて卵管などを直接確認し、子宮外妊娠を診断するケースもある。

治療

まずは、子宮外妊娠している部位がすぐに破裂する危険性がないかを確認する。順調に妊娠が継続されている場合のみ、高い数値が出るhCGの値を確認し、値が低い場合は全身の状態をチェックした上で自然に流産するのを待つ。一方、hCGの値が高い場合、子宮外妊娠している部位を除去するための手術をしなければいけない。かつては、卵管ごと切り取る根治手術がメインだったが、最近は卵管を残すための温存手術も増えてきたのが特徴。これにより、将来的な妊娠の可能性が残るため、患者への身体的・精神的な負担が少なくなったとされる。なお、一般的には腹腔鏡(内視鏡)を用いた手術を行うが、場合によっては開腹手術になることも。お腹の中に出血が多い場合など、輸血・輸液が必要となるケースもある。また、限られた条件の場合のみ、抗がん剤を用いた薬物療法などが施される。

予防/治療後の注意

子宮外妊娠は自覚症状がないまま症状が進むこともあるため、なるべく早めに妊娠に気が付くことが大切。生理が遅れていたら妊娠検査薬で確認し、陽性反応が出たら早めに医療機関にて超音波検査を受けることが重要となる。治療にあたっては、専門家とよく相談した上で治療方針・治療方法を決定すること。一方の卵管を切除しても、もう一方に異常がなければ次の妊娠は可能であるが、一方の卵管に炎症がある場合は、もう一方にも炎症がみつかるケースも。以前に子宮外妊娠の手術を受けたことがあり、妊娠を望む場合、卵管の状態をチェックするための子宮卵管造影検査を受けると良い。

東邦大学医療センター大橋病院 婦人科 田中 京子 先生

こちらの記事の監修医師

東邦大学医療センター大橋病院 婦人科

田中 京子 先生

慶応義塾大学卒業後、同大学病院、国立病院機構埼玉病院産婦人科医長を経て、東邦大学医療センター大橋病院の准教授へ就任。日本産婦人科学会産婦人科専門医、日本婦人科腫瘍学会婦人科腫瘍専門医、日本臨床細胞学会細胞診専門医の資格を持つ。