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こちらの記事の監修医師
感染症内科 中村(内山)ふくみ先生

あめーばせきりアメーバ赤痢

概要

単細胞の寄生虫(原虫)である赤痢アメーバが、さまざまな臓器に感染することで引き起こされる病気。赤痢アメーバが大腸に感染する「腸管アメーバ症」(大腸炎)と、それ以外の臓器に感染する「腸管外アメーバ症」に大きく分かれる。腸管外アメーバ症では肝臓に膿瘍ができることが多いが(アメーバ性肝膿瘍)、脳や肺、皮膚などで病変が起こる場合も。赤痢アメーバには「栄養型」と呼ばれる活動状態と、「シスト(嚢子・のうし)」と呼ばれる休眠状態の2つの型がある。シストが感染性を持ち、シストに汚染された飲食物を摂取してうつるほか、口腔性交や肛門性交などによっても感染する。

原因

「赤痢アメーバ」という肉眼では見ることのできない原虫による感染症。経口的に体内に入った赤痢アメーバのシストから脱嚢した栄養型が増殖し、腸の粘膜に潰瘍をつくることで大腸炎を発症する。大腸から血液の流れに乗って散布された栄養体が肝臓、脳、肺などに膿瘍を形成する。シストに汚染された肥料で栽培された野菜や、汚染された水で洗った食品、シストキャリアが非加熱調理した料理などが感染源に。そのため、衛生環境の悪い発展途上国で、シストに汚染された食べ物を摂取したことで発症するケースが多い。一方で、先進国では男性同性愛者の口と肛門を使った性交による感染やデイケア施設や老人ホームなどの福祉施設での集団感染が見られる。

症状

アメーバ赤痢は、感染後通常2~4週間ほどで症状が現れる。ただし、まれに数ヵ月から数年ほどと潜伏期間が長くなるケースも。アメーバ症は発生した臓器・期間によって症状が異なる。大腸で発症する腸管アメーバ症では、血液と粘液が混じったゼリー状の粘血便のほか、けいれん性の腹痛、下痢や便秘などが起こるのが特徴。一方、腸管外アメーバ症の中でも、肝臓に感染したアメーバ性肝膿瘍(かんのうよう)では、発熱や発汗、悪寒、脱力感、吐き気、嘔吐、体重減少、肝臓付近の右上腹部の痛み・不快感などの症状が現れる。腸管アメーバ症のような粘血便や下痢の症状が併発しないこともあり、初期には発熱以外の症状が出にくい。

検査・診断

アメーバ症の可能性がある場合には渡航歴や性交渉歴を確認する。腸管アメーバ症では便を採取し、赤痢アメーバ栄養型の有無を顕微鏡で調べる。また、下部消化管(大腸)内視鏡検査で、腸管アメーバ症に特有の潰瘍があるかどうかを調べ、生検で検査を行う。腸管外アメーバ症の可能性がある場合は、CT、MRIなどによる画像検査で膿瘍の有無を確かめる。いずれの病型も血液検査で赤痢アメーバに対する抗体があるかどうかをチェックする。また、性交渉によって感染するので、アメーバ症と診断された場合はパートナーにも検査を受けてもらうこと。HIV感染症など他の性行為感染症についての検査も必要。

治療

メトロニダゾールもしくはチニダゾールのいずれかの抗アメーバ薬を用いて治療するのが一般的。アメーバ性肝膿瘍では、体内にたまった膿を出すための治療は必ずしも必要ではない。治療に用いる薬剤、特にメトロニダゾールは、吐き気・嘔吐、倦怠感、皮疹、手足の動かしづらさ、めまいといった副作用が出ることがあるので注意が必要。メトロニダゾールなどはシストキャリアの治療には用いない。シストを完全に死滅させて病気の再発を防ぐためには、パロモマイシンやヨードキノール、ジロキサニドフロエートなどの薬をさらに使用する。治療終了後、2~3ヵ月以上経過しても再び症状が見られず、糞便中に赤痢アメーバが検出されなければ完治と診断される。

予防/治療後の注意

予防接種はない。そのため、予防にはアメーバ赤痢に汚染された食べものや水、氷を摂取しないことが大切。シストは熱に弱いので、アメーバ赤痢が流行している地域ではサラダや生野菜、刺身といった生食を避け、加熱調理したものを食べるようにし、生水や氷も口にしないこと。手洗いや適切な糞便処理も予防につながる。また、性感染の危険が高い口と肛門を使った性交を避けるようにする。

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こちらの記事の監修医師

荏原病院

感染症内科 中村(内山)ふくみ先生

1996年、宮崎医科大学卒業。宮崎医科大学寄生虫学教室、墨東病院感染症科、奈良県立医科大学病原体・感染防御医学/感染症センターにて基礎医学・臨床の両面から感染症に携わる。2016年4月より現職。日本内科学会総合内科専門医、日本感染症学会感染症専門医の資格を持つ。