上田 和茂 院長の独自取材記事
上田歯科医院
(北九州市小倉南区/北方駅)
最終更新日:2024/07/24

開院から約90年。地域に根差した診療で親しまれてきた「上田歯科医院」は、北方駅から徒歩5分、北方一丁目停留所からは徒歩3分の場所にある。3代目となる上田和茂院長が心がけているのは、痛みに配慮した治療と患者の立場に立った対応だ。患者の多様なニーズに応えるため、笑気麻酔や口腔内スキャナーなどを導入し、診療環境も整備。診療は、一般歯科、歯周病治療、審美歯科、歯科口腔外科、小児歯科、矯正歯科と幅広く対応。上田院長は、中でも親知らずの抜歯を得意とし、県外から来院する患者も多いという。また、女性の歯科医師が在籍していることや子連れでも安心して治療に専念できるよう保育士による見守りを実施していることも特徴だ。さまざまな取り組みを行う同院の特徴や診療内容について、上田院長に詳しく話を聞いた。
(取材日2024年6月6日)
3代続く、地域に根差した歯科医院
開院から約90年と、歴史の長い歯科医院だそうですね。

祖父の代に開院しまして、父、私と3代にわたり診療を続けています。小さな頃から歯科医療が身近にある環境で育ちましたので、将来は漠然と歯科医師になるのかなあと思っていました。高校性の時に歯科医師になろうと決意し、福岡歯科大学へ入学。大学ではラグビー部に所属したおかげで、体力面だけでなく精神面もかなり鍛えられましたね。授業では論理的なことに加えて介護実習なども体験できたりと、多くのことを学ばせてもらいました。卒業後は九州歯科大学の麻酔科に入局。外科手術を受ける患者さんの脈拍や血圧を測ったり、麻酔を実施する前後の全身管理を学んだりしました。その後も2年ほど勤務医として研鑽を積み、当院へ戻ってきたのは1998年のことでした。
先代から受け継がれているものはありますか?
祖父や父が長い歴史の中で培ってきた技術や仕組みはしっかり受け継ぎながら、ニーズに応じてそこに新しいものを取り入れていくことを心がけています。私がここに戻って来た当時は父も診療をしていましたので、父の働く姿を通して治療のコツのようなものを身につけることができたと思います。今、歯科医師2人、歯科衛生士2人、歯科助手3人、歯科技工士2人の体制で診療にあたっているのですが、スタッフたちは私が言わなくても、肌寒い日にはブランケットをかけるといった患者さんへの気遣いに努めてくれています。診療に関する技術も大事ですが、そういった患者さんへの心配りの部分も当院が受け継いできた大切な部分だと感じています。
上田院長の地元なので患者さんも顔見知りの方が多いのではないでしょうか。

子どもの頃から知っている患者さんも多かったので、ご年配の方からは「すっかり立派になって」と言われることもありましたね。当院を正式に継承したのは2005年で、当時は一気に責任感が芽生えたような記憶があります。スタッフ、患者さん、そして歯科医院そのものを背負わなければなりませんからね。患者さんもお子さんからご高齢の方まで幅広い方がいらっしゃいますので、診療内容も各年代に対応できるよう一生懸命取り組んでまいりました。矯正歯科に関しては父の代から行っていて、今も小学校高学年のお子さんから成人まで多くの方がお見えになります。
目立ちにくいマウスピース型装置を用いた矯正も導入
矯正歯科はどのような方法で行われているのでしょうか?

段階や状態に応じて方法も変わってきますが、お子さんの場合はまず取り外しのできる床矯正装置を用いて顎を広げ、歯並びの矯正を行います。その治療だけで終わるケースも多いのですが、必要な場合はワイヤー式の歯列矯正に移行し、さらなる改善をめざします。また、最近は透明のマウスピース型装置を用いた矯正のニーズが増加し、当院でも大人の患者さんを中心にご相談が増えています。お子さんの場合は、歯並びや不正咬合など親御さんからのご相談も多いですね。矯正に限らず、当院ではお子さんが不安にならないよう、診療室には親御さんにも必ず入っていただいています。そこで大事にしているのは褒めることです。そうやって、お子さんが成功体験を重ねながら、診療に慣れてもらうことを重視しています。
幅広い診療内容ですが、来院される方の主訴で多いものを教えてください。
当院には駆け込み寺のような感じで来られる方も多いので、歯の痛みはもちろん、噛み合わせ、矯正、親知らずの抜歯、入れ歯に予防と主訴は実にさまざまです。患者さんの年代によっても変わってきますね。お子さん連れの方も多くおみえになるので、保育士による見守りも行っています。それと、私が治療の中でも特に得意なのは、親知らずの抜歯です。これは勤務医時代の苦い経験がきっかけでした。当時チーフだったスタッフに親知らずを抜いてほしいと頼まれ、やってはみたもののびくともせず、院長に代わってもらったことがあったんです。院長は鮮やかな手さばきを見せ、その技術の差にあまりに情けなく思い、抜歯の技術を磨くべくさまざまな勉強会に足を運びました。そうして、今はさまざまな生え方の親知らずでも対応できるようになったのと、術後もできる限り痛みが出ないような手法をその都度考えながら対処するなど、得意な治療になりました。
痛みや恐怖心を和らげるために、笑気麻酔も導入されているとか。

笑気麻酔は「笑気吸入鎮静法」とも呼ばれ、リラックスして痛みを感じにくくするために用いる吸入麻酔薬の一種です。歯科治療は、どうしても「怖い」「痛い」というイメージや過去のトラウマにより、受診をためらう方が少なくありません。お子さんだけでなく、実は歯科治療に恐怖心を持たれている大人も多くいらっしゃいます。そのため、希望される方には笑気麻酔を活用して治療をし、徐々に治療に対する恐怖心を和らげられるように心がけています。最初はよりリラックスしていただくために個室で治療を行いますので、恐怖心で治療から足が遠のいている方には、一度試していただきたい方法ですね。
100周年に向け、より笑顔になれる歯科医療の提供を
希望される方には女性の歯科医師が担当するそうですね。

八幡西区に分院がありまして、そこに女性の歯科医師がいるんですね。週に1回、当院にも来てもらっているのですが、特にお子さんの診療での希望が多く、成人女性でも同性の歯科医師を希望される方もいらっしゃいます。ですので、できる限り女性の歯科医師が担当できるように、分院と連携を取りながら調整しています。それから、歯科技工士が2人常駐しているのも当院の強みの一つです。外注ではなく、かぶせ物や入れ歯など、歯科技工士がその場で状態を直接見ながら、患者さんや私とすり合わせができるので食い違いが少なく、急ぎで治療を希望されている場合など、患者さんのご都合に対応しやすいメリットがあります。床矯正の装置や入れ歯の修理も即日対応できますので、お役に立てることも多いと思います。
自由診療についても、幅広く対応されていると聞きました。
歯の欠損部分を補いたいけれどインプラントには抵抗があるという方にお勧めしたいのが、ノンクラスプデンチャーという選択肢です。特殊な樹脂で作る部分入れ歯で、型採りだけで完成するため周囲の歯を削る必要がありません。金属も使わないので見た目も目立ちません。この他にも、自由診療でできるさまざまな治療の選択肢をご用意しています。自由診療での治療は保険よりも治療費が高額ですが、良い素材を使えるため補綴物や治療箇所が長く持つことも期待できます。審美面でも、保険診療で選べる歯の色が3種類なのに対し、自由診療では約20種類と、より自然な口元に近づくよう導くことができるんです。患者さんのニーズに応じて、より良い自由診療での治療についてもご紹介しています。
最後に今後の抱負をお聞かせください。

当院は、もう少しで100周年を迎えます。地域の方とも長いお付き合いになりました。皆さんにより笑顔になっていただける歯科医療をこれからも提供していきたいと考えています。治療が終わった後はメンテナンスの重要性をお伝えし、健康な口腔環境の維持をめざします。歯科にまつわる治療は一通り対応しているのでご安心いただきたいのと、特に親知らずの抜歯について悩んでいらっしゃる方は、当院にぜひ一度ご相談にいらしていただけたらと思います。
自由診療費用の目安
自由診療とはセラミックを用いた補綴治療/3万3000円~
床矯正/11万円~
床矯正+ワイヤー矯正/19万8000円~(診断料含む)
マウスピース型装置を用いた矯正/55万円~
ノンクラスプデンチャー/9万~16万円