マイクロスコープは精密治療や
情報提供に役立つツール
医療法人 木下歯科医院
(北九州市小倉南区/徳力公団前駅)
最終更新日:2022/04/27


- 保険診療
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現代の歯科診療において、精密治療に貢献する歯科用顕微鏡のマイクロスコープ。1センチ程度と小さな歯を治療するにあたって、患部を拡大して見ることは虫歯などの感染部位の取り残しを防ぎ、再治療のリスクを低減させることにつなげるほか、写真や動画の記録ができることから患者への情報提供などにも活用されている。マイクロスコープを使った精密治療に取り組んでいる「木下歯科医院」の下坂満院長は「治療はもちろんですが、動画を見てもらうことで患者さんに口腔内の状態を知ってもらい、歯の健康に対する意識づくりという側面からも重要な役割を担うツール」と説明する。そんな下坂院長に、マイクロスコープの活用方法やメリットなどについて詳しく話を聞いた。
(取材日2022年3月30日)
目次
マイクロスコープを精度の高い治療に役立てるだけでなく、口腔内の状況を患者とシェアして意識改革を
- Qマイクロスコープとはどのような機械なのですか?
-
A
▲対象物を20倍まで拡大して見ることができるマイクロスコープ
テレビなどで医師が顕微鏡をのぞきながら手術をしているシーンを見たことはありませんか? 脳外科をはじめ繊細な手技が必要だったり、患部を拡大して見なければならなかったりする際に使われていますが、あれの歯科バージョンが歯科用顕微鏡のマイクロスコープ。歯は非常に小さく、その中を処置するともなれば肉眼で見ることが難しいケースが多々あります。そうした際にマイクロスコープで拡大して見ることで、実際に目視しながらの治療が可能になります。基本的には8倍程度に拡大して治療していますが、最大で20倍まで拡大することができます。歯科で使うルーペと違い、マイクロスコープは術者が実際に見ている様子を写真や映像に残せます。
- Qどのような症例で使用されているのでしょうか?
-
A
▲一人ひとりの口腔内の状況によって、活用法が変わると語る院長
当院ではすべての処置においてマイクロスコープを活用していますが、中でも細い歯の神経を治療する根管治療、歯を削ってコンポジットレジンを充填するダイレクトボンディングなど、繊細な処置が必要な際には力を発揮します。また歯周治療においては歯石を除去したり外科治療を行ったり、あるいは抜歯といった患部が見えにくいところの治療には重要です。クリニックによってはブラッシング指導に活用しているところもあり、実際に磨けていないところに歯ブラシがどう当たっているかなどを可視化するツールとしての役割も担っています。当院では保険診療、自費診療の区別なく、必要に応じてすべての患者さんにマイクロスコープを使っています。
- Qマイクロスコープを使うとどんなメリットがあるのでしょうか?
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A
▲多くのメリットがあるマイクロスコープ
一つは精密な治療を行うことで、ご自身の歯を長く使っていただくことにつながります。しかし結果がわかるのは何年も後のこと。歯が長持ちして初めて実感できるものですからね。ですがそれ以上に映像に残すことで、患者さん自身が自分の口がどうなっているか、どういう状態になっているかを確認できるという点でメリットがあります。そのため説明を行う際には、患者さんと私たち歯科医師の目線を共有するツールとして活用しています。例えば歯根破折といって歯にひびが入り、抜歯を避けられないようなケースがあるのですが、見てもらうことで納得して治療に移行できるなど、深く理解してもらえるという点は大きなメリットだと思っています。
- Q口腔内の状況を知るためにも非常に重要なのですね。
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A
▲視覚的に“見る”ことで口腔内を知ることができる
口の中は自分で見ることができないので、どんな状態になっているのか、どんな治療をされているのかもわからないことが多かったと思います。しかし今はマイクロスコープによってご自身の口腔内を把握してもらえるので、歯の大切さを実感することにつなげられるのではないかと考えています。いくらクリニックに来て歯科医師や歯科衛生士からブラッシング指導を受けても、なかなか記憶には残らないもの。一方で動画を見ることで記憶に残り、普段の歯ブラシの当て方など歯磨きの仕方が変わってくる。マイクロスコープは精密な治療を実現するツールであるとともに、患者さんに情報提供を行い歯に対する意識を変えるツールとしても重要と考えます。
- Q最後に先生が精密な治療にこだわる理由もお聞かせください。
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A
▲精密な治療提供のために、定期的にスタッフでミーティングも開催
歯の治療においては詰め物や補綴物との段差をなくすことが大事です。段差になっている部分は汚れがたまりやすかったり、そこから虫歯になってしまったりと、リスクが高まってしまいますからね。そうした観点において、マイクロスコープで実際に見ながら細かく治療していくことが歯を長持ちさせることにつながります。現在は治療メインでマイクロスコープを使っていますが、どうしてもブラッシングがうまくいかない、改善できないという患者さんについてはメンテナンス時にも活用しており、ゆくゆくはメンテナンスを担う歯科衛生士などスタッフにも使ってもらいたいと思っています。
自由診療費用の目安
自由診療とはダイレクトボンディング/5万5000円~