葛西 秀夫 院長の独自取材記事
かさい歯科医院
(福岡市博多区/雑餉隈駅)
最終更新日:2025/05/02

雑餉隈駅から徒歩約12分のところにある「かさい歯科医院」。1963年の開業より、地域に根づいた歯科医療を提供し、子どもたちから高齢者まで幅広い年代の口腔の健康を守っている。父からクリニックを引き継ぎ、2代目院長を務める葛西秀夫先生のモットーは、時代の変化に合わせた先進的な診療を提供し柔軟に対応すること。十分な納得と理解を得るための丁寧な説明と情報提供にも努め、患者一人ひとりに寄り添うオーダーメイドの治療に力を尽くしている。近年は「お口の美容室」をコンセプトに掲げ、美容室に通う感覚で定期検診を行いメンテナンスを促すよう発信する同院。「こまめに変化を確認することで治療が必要な箇所を早期発見し、お口から全身の健康を守っていきたい」と語る葛西先生に、診療方針や力を入れている治療などについて聞いた。
(取材日2023年12月21日)
時代の変化に合わせた先進の歯科医療を提供していく
クリニック開業から法人化までの経緯についてお聞かせください。

当院は私の父が開業しました。父は患者さん本位の診療に努め、優しく人望の厚い歯科医師だったと記憶しています。人々の健康を支えるため身を削る父の背中に憧れを抱き、同じ医療の道に進もうと決めました。大学卒業後、すぐに父のもとで働き、幅広い臨床経験を積みました。クリニックを引き継ぐ際、規模拡大のために現在の場所に移転。同時に新しい医療機器の導入やスタッフの増員など、歯科医療体制の充実を図るために医療法人化を決意しました。2代目の院長になった当初から、今後は時代の変化が加速し、歯科に対するニーズも多様化するため、柔軟に応えていかなければならないと感じていました。そこで将来を見据えて自由度の高い、変化に対応できるクリニックづくりを心がけました。歯科用CTや口腔内スキャナーといった先進の機器も備え、より高度な治療を提供できるよう取り組んでいます。
どのような診療方針をお持ちですか?
昔の歯科医院は、痛くなってから行くような場所でした。しかし今はさまざまな要望を持った患者さんが受診されます。虫歯や歯周病だけでなく、審美的なニーズのほか、インプラント治療や矯正、顎関節や噛み合わせの悩みなど、幅広い診療が求められます。IT化によって多くの情報を気軽に手に入れられるようになり、患者さんが持つ知識の量も増えました。だからこそ、お一人お一人に十分に理解していただいた上で治療を進めるために、口腔内スキャナーなどを用いながら口腔内全体の状態を検査した資料をもとにじっくりと丁寧に説明するよう徹底しています。治療については、まずは理想的なプランをご提案。それから患者さんの背景や希望を考慮して現実的なプランを練り上げ、納得のいくオーダーメイドの予防治療に力を尽くしています。
力を入れている診療について教えてください。

私は歯科の知識と技術の向上のためにさまざまなスタディーグループに所属しています。多くの先生方と出会い、特に近年、感銘を受けたのが噛み合わせに関する治療でした。実は片頭痛持ちの方の大半が、噛み合わせに原因があるともいわれています。噛み合わせが悪いと顎関節症を招く可能性が高まるほか、日常生活にも大きな影響を及ぼすので、その治療は重要です。治療において当院では、審美的な矯正はもちろんのこと、噛み合わせなど機能面を重視した矯正に重点を置いています。噛み合わせに関する治療としては、矯正のほか、必要に応じて歯周病治療や歯周組織再生療法、インプラント治療などの総合的な治療を行う場合もあります。顎関節症を起こしている場合は、まずはスプリントと呼ばれるマウスピースのような装置を使って診断、初期治療を行い症状の軽減を図り、総合的な全顎治療を行うかどうかは患者さんの希望に応じて決めていただきます。
健康な歯を守り、口腔の老化を予防する対策にも尽力
咬合性外傷(こうごうせいがいしょう)の治療にも対応しているそうですね。

歯は普段から噛み合わせの力を受けています。その力のかかり方のバランスが良く、歯への負担が少ない歯並びであれば問題はありません。ただ、噛み合わせが悪く慢性的に歯に負担がかかっていると、歯や歯茎、歯を支えている骨、顎の関節が損傷します。これを専門的には「咬合性外傷」といい、咬合性外傷になると噛んだ時の歯の痛みや摩耗、歯が折れる、知覚過敏、歯周病の進行促進といった症状が現れます。症状が出る前に専門的な診査・診断を受けられれば、問題を未然に防ぐことにもつながります。問題が起きそうな進行が見られる場合、適切に対処していくことが大切です。
数年前から、口腔機能低下症の治療にも注力していると聞きました。
人間の寿命は延び続け、今では人生110年時代といわれるようになりました。お口は健康の入り口であり、栄養を摂取するための大切な器官です。健康で長生きするためにも、口腔機能が低下した状態を指す「オーラルフレイル」への対応が重要視されています。口腔機能の衰えを放置すると食べられる物が偏り、それによって栄養不足やエネルギー不足に陥ってしまうのに加えて、誤嚥性肺炎などの病気を引き起こす恐れがあります。特にこの周辺地域は高齢化率が高いため、診療でも意識しています。歯だけを診るのではなく、かかりつけ医としてお口の機能の維持に力を尽くすことで、地域の健康寿命をさらに延ばしていきたいと考え、3~4年前から口腔機能低下症の検査・予防に力を入れるようになりました。
具体的に、どのような取り組みを行っているのでしょうか?

中高年層を対象に、定期的に口腔機能を調べる検査を勧めています。評価項目は舌の汚れの状態や口の中の水分量、噛む力、舌の筋力、咀嚼力などで、30分ほどで終了し、その日のうちにお口年齢がわかります。3項目以上で基準値を下回った場合には、動画を参考にしながら、舌で食べ物を運ぶものや飲み込む力を鍛えるものなど、一人ひとりに合わせたトレーニングに取り組んでもらいます。ご自宅で日常的に続けられるものを選んでいますので、難しくはありません。皆さんには「足や腰と同じように、これからはお口も鍛えなくてはなりませんよ」とお伝えするようにしています。今のご自分の状況を知るためにも、まずは一度検査を受けてみてください。
髪や肌と同じように、歯も適切なケアが不可欠
クリニックのコンセプトについて教えてください。

患者さんには「歯科医療に区切りはあっても、終わりはない」とよくお伝えしています。だからこそ、当院では「お口の美容室」というコンセプトのもと、美容室に通うような感覚で定期的に受診してもらえるよう呼びかけています。口腔内の予防のためには、セルフケアと歯科医院での定期検診が最も重要だからです。かかりつけの歯科医院がこまめに口腔内環境をチェックすることで、治療が必要となった場合に早期発見・早期治療につながります。「痛そう、怖そう」と感じる方もいると思いますが、早期に発見できれば治療期間が短く済むだけでなく、痛みを伴う治療を減らすことも可能です。また、口腔内の疾患は認知症や糖尿病、肺炎などのさまざまな全身疾患と関連していることがわかっており、お口の健康維持は全身の医療費を抑えることにもつながります。毎回治療が生じるわけでもありませんので、気負わずに気軽に通ってもらいたいです。
診療において大切にしていることはありますか?
オーラルフレイルの話と同様、体が老化するのと一緒にお口も老化し変化していきます。そのため、ライフステージに応じたケアと治療が必要になってくるのです。治療した箇所も同じで、矯正やインプラントなど一度手を加えた場所も、時間の経過とともに体が老化していくことで、変化が生じています。トラブルが起きないよう、しっかりと見守っていかなくてはなりません。定期検診やメンテナンスの重要性を呼びかけながら、お口は病気の入り口だとご理解いただくよう、なんでも相談しやすい雰囲気を大切にしていきたいです。
最後に、読者へのメッセージをお願いします。

食後の歯や口腔内も入念なケアが大切です。歯ブラシや歯間ブラシ、デンタルフロスや舌ブラシなどは、まさにお口の中のお化粧道具。自分に合った適切なものを選び、正しい使い方できちんと口腔内をメンテナンスしましょう。当院では、スタッフ全員が患者さんに寄り添う姿勢を心がけ、親身にお話を聞く応対を徹底しています。お口の中の健康や審美面で気になることがあれば、まずはお気軽にご相談ください。ご希望をしっかりと考慮し、お一人お一人に合った治療プランをご提案いたします。
自由診療費用の目安
自由診療とは全顎矯正/82万円5000円~、歯周組織再生療法/1歯につき11万円、2本目からは7万7000円、インプラント治療/22万円~、