日野 喜彦 理事長、錦織 拓馬 副院長の独自取材記事
日野歯科医院
(久留米市/善導寺駅)
最終更新日:2025/05/30

久留米市善導寺町にある「日野歯科医院」は、白壁に青の差し色が施されすっきりとした建物が目を引く歯科医院。1985年に開業した同院は日野喜彦理事長が設計まで手がけ、まだ当時は珍しかったバリアフリーに対応。2023年には新院が開設し、日野理事長の娘の夫である錦織拓馬先生が副院長に着任。誰もが等しく医療を受けられるノーマライゼーションを理念に掲げ、一般歯科、小児歯科、矯正歯科、予防歯科のほか、インプラント治療や訪問歯科診療、障がい者歯科まで幅広く対応している。日野理事長の「歯科医院らしくない歯科医院」の精神の下、錦織副院長が得意とする障がい者歯科にも注力する同院。今回は日野理事長と錦織副院長の2人に、明るく開放感のある新院で、クリニックの歴史や現在の診療、そして、めざす歯科医療について話を聞いた。
(取材日2025年2月12日)
開業以来、誰もが通いやすい歯科医院をめざして
開業から40周年と伺っています。

【日野理事長】1985年の開業当時、現代では当然のようにあるバリアフリー環境、例えば車いすやベビーカーが移動するためのスロープや専用の診察台、車いすのまま入れるトイレなどを取り入れているクリニックはほとんどなかったと思います。そのため、開業するにあたって、私自身がクリニックのデザインと設計に取り組みました。「歯科医院らしくない」をコンセプトに、院内には子どもたちの遊び場となる部屋も造りました。
【錦織副院長】2023年に完成した新院にも、本院と同じく子どもたちの遊び場を設けています。治療がなくても、そこで遊んで帰るお子さんもいますね。新院の特徴は天井が高く、開放感があること。診療室の大きな窓からは、本院と四季折々の花や草木を植えた庭を眺めることができます。
まさに歯科医院らしくないクリニックですね。
【日野理事長】私自身も子どもの頃、歯科で治療を受けて「怖い」と思った一人でしたので「楽しい、怖くない、痛くない」クリニックをつくりたいと思っていました。福岡歯科大学で学んでいた頃は、お子さんや障がいのある方がリラックスして治療を受けるためにはどうすれば良いのかを考えていましたね。診療では白衣を着用せず、キャラクターが描かれたエプロンを着用するのもそのための工夫の一つ。時々、抱き着いてくるお子さんもいますね(笑)。白衣を見るだけで怖がる子もいますし、大人でも白衣高血圧といって血圧が上がるなどの症状が出る人がいます。開業当初からノーマライゼーション、つまり誰でも通いやすいクリニックをめざしていましたし、実際に障がいのある方の治療も受け入れ、ご自宅や施設などへの訪問診療にも取り組んできました。
錦織副院長は2022年から診療に参加されているのですね。

【錦織副院長】「誰でも来られる歯科医院」をつくりたいという理事長の思いは私にも共通するもので、当院の診療に加わった理由でもあります。以前、子ども歯科をうたう歯科医院に勤務していたのですが、当時はまだ技術も知識もなく、スムーズに行かないことが多い小児歯科は難しい分野だと感じていました。その後、小児歯科に注力する中、子どもの発達障がいの増加が課題としてあったこと、その受け入れ先がないということで、障がい者歯科について学びました。また、最近は保育士の資格を取得しました。僕は歯科でしかお子さんと接していなかったので、子どもについて幅広い視点で学べたことは良かったですし、当院に来てくださるお子さんの親御さんに安心していただきたいという思いもあります。
「痛くない、怖くない、納得できる」治療に取り組む
診療で大切にしていることは何でしょう?

【日野理事長】「痛くない、怖くない、納得できる」を大事にしています。まずは、患者さんの希望をよく聞き、お互いに納得の上で診療に入ります。また、噛み合わせがずれると全身がゆがみ、全身にゆがみがあると噛み合わせに影響することから、体の健康も考えた噛み合わせを重視しています。
【錦織副院長】歯科医師として患者さんに応じたベストな治療を提案した上で、患者さんに納得いただいてから治療を始めることを心がけています。そのため、当院では最初にお口の中の写真や顎全体のエックス線画像を撮るなど、いわゆる診査と診断を大切にしています。初診の際も緊急性がなければ、いきなり治療を行うわけでなく、スタッフが歯科治療歴や苦手なことなどを聞き取り、ご安心いただけるよう努めています。患者さんご自身が口の中をどうするかを決めることを大切にしていますね。
痛くない、怖くない治療はどのように実践されているのですか?
【日野理事長】例えば、麻酔の際は細い針を用いたり、麻酔液の温度を体温と同じにするなどしています。子どもの場合、気を逸らして、あまり集中させない、見せないとこで知らないうちに麻酔の注射が終わるようにしています。ちゃんと通ってくれてメンテナンスも嫌がらないように、恐怖心を持たせないよう心がけています。予防のためにも大事なことだと思っています。
【錦織副院長】どんな方でも治療に対する心配はあると思いますが、特に障がいのあるお子さんを持つ親御さんは不安も大きいでしょうから、さまざまな工夫を取り入れています。例えばSNSで当院の様子を発信したり、そこから親御さんの質問を受けつけたりすることもあります。中には、成長のワンシーンとして当院でのお子さんの様子を撮影したいとお考えの方もおられます。そうやって、当院に来ることが喜びや楽しみになれば良いですね。
障がいのあるお子さんに対してはどのような工夫を?

【錦織副院長】子どもを含め歯科恐怖症の方の中には、そもそも麻酔が怖いという方もいらっしゃるので、笑気麻酔を使ったり注射の針が刺さる箇所に表面麻酔を塗り込んでおくなどしたりしています。また、障がいのあるお子さんは視覚的なアプローチによって理解度が進みやすいので、「絵カード」を使って治療で使う器具や診療の手順の説明などを行います。来院前にお子さんの状態や好きなキャラクターなどを聞かせていただき、例えば、入り口から診療室までお子さんの好きなキャラクターを使った順路をつくったり、安心して対応できる情報を得てから診療できるようにしたりしています。
町の中核となる歯科医院に成長できるよう日々邁進
幅広い診療に対応されている印象です。

【日野理事長】3世代で通われている患者さんも多く、最近ではメンテナンスで来られる患者さんが増えています。以前、1人で診療をしていた頃は、治療を優先しなければなりませんでしたが、今はスタッフも多いことから積極的にメンテナンスに取り組んでいます。
【錦織副院長】新院の開設時、インプラント治療と矯正の充実を図るため、3次元的に撮れる歯科用CTと、インプラントを安全に提供するための機器などを導入しました。矯正では、小型のカメラで口腔内を撮影する口腔内スキャナーを活用。顎を広げる装置や舌のトレーニングなどを行う小児矯正のほか、大人だけでなく、子どものマウスピース型装置を用いた矯正も可能です。小児矯正に関するスタディーグループのリーダーを務めていることもあり、自信を持ってご提供している分野です。
クリニックが地域コミュニティーの場になっているそうですね。
【錦織副院長】クリニックではあるものの、親御さん同士や地域の方々の交流の場となる地域の「居場所」の一つとして活用していただきたいと考えています。高校生になったお子さんが、以前の担任の先生とたまたまここで再会するということもあるようですね。そういう明るい場所でいられる理由の一つには、長く勤めてくれているスタッフの存在が大きいと思います。
【日野理事長】本院の頃から、子どもたちは友達を連れてきて遊び部屋を使っていましたね。今も、子どもたちから「また来ていい?」と聞かれるので、「また来ていいよ」と答えています。
最後に読者へのメッセージをお願いします。

【錦織副院長】今月、当院は医療法人化し、法人としての理念とそれを実現するためのクレドを策定しました。法人名の「仁恕会」の恕という漢字には人を思いやるという意味があります。ただ歯の治療をするだけでなく、人として患者さんに向き合い、医療人としての自信を持ってこれからも診療に向き合っていきたいと思います。そして、町の中核を担うような医院にまで成長できたら良いなと思っています。
【日野理事長】気になることがあれば、なるべく我慢せずにまずは相談してください。そして、お口の健康のために大切なメンテナンスにいらしてください。
自由診療費用の目安
自由診療とはインプラント治療/35万~50万円、成人矯正/77万~100万円、小児矯正/11万~50万円
※症状や症例によって価格は変動します。詳細は歯科医院までお問い合わせください。