静かに重篤化する歯周病
プロによる処置とセルフケアで予防を図る

症状がほとんどないまま進行し、歯を失うこともある歯周病。歯科医院でのケアを活用して未然に防ごう

Q歯周病は、症状がほとんどない場合もあると伺いました。

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▲歯周病と根管という「歯の基礎」の治療が重要だそう

ええ。歯周病は症状がほとんどなく進行するので、なかなか気がつけません。気がついた時には歯がぐらぐらしていたり、口臭や膿などが発生していたりします。たとえ早めに自覚できても、問題なく生活できているからと放置して重篤化するケースも。ちなみに歯周病のなりやすさは、日々のブラッシングやメンテナンスはもちろん、虫歯などと同様にその人の免疫力にも左右されます。遺伝的要因も関係するので、家族に虫歯や歯周病で悩んでいる方がいるのであれば、より注意が必要です。また、多様な調査結果がありますが、成人の多くが歯周病または歯周病予備軍といわれています。そのリスクは年齢とともに少しずつ高まるので定期的に受診しましょう。

Q軽度の歯周病であれば、どのような治療を行うのでしょうか。

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▲今の状態を患者に見せ、納得の上で治療を進める

歯と歯茎の隙間「歯周ポケット」が4ミリ以内、歯を支える歯槽骨が溶けて骨吸収が1～2ミリ以内で済んでいるものを、軽度の歯周病と判断しています。この状態であれば、口腔衛生指導や歯石除去などの治療をメインに、歯周ポケットが3ミリ以内で、歯茎の出血がなくなる状態をめざし治療を進めていますね。期間は1～3ヵ月ほど、数回に分けて行う治療計画の提案が多いです。治療が進み安定期に入ったら、SPT（サポーティブペリオドンタルセラピー）という、健康的な状態をキープしていくための支援ケアを行います。ブラッシングのやり方や噛み合わせなどを総合的にチェックして、より良い口腔環境を保てるようにサポートしているのです。

Q重度の歯周病の場合はどのような治療をするのでしょうか。

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▲歯周病治療や根管治療は時間がかかることも多い

歯が全体的にぐらぐらしていたり、歯茎が下がり膿が出たりしている状態が重度の歯周病です。ここまでくると歯茎・歯・歯並びなど複数箇所の病態が絡むことが多く、治療も難しくなります。私は口腔外科での経験が豊富なため、重度の歯周病であってもほとんど対応することが可能です。重度の歯周病だと判断した場合、まずは口腔内の検査を行い、特殊な菌がいるかどうかを可視化します。その後は、菌の量を減らすための投薬や治療を行うのと同時に、セルフケアの指導を実施。骨吸収が深い場合は、歯周組織再生療法や薬剤治療など、失った歯や組織の回復を図る治療も行います。

Q歯を失ったとき、インプラント治療も有用だそうですね。

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▲インプラント治療は難しい症例も手がけている

インプラント治療を行えば、天然歯のようにしっかりと噛むことが望めます。また、入れ歯やブリッジよりもセルフメンテナンスが手軽であり、他の健康な歯を傷つけることなく取り入れられるのもメリットでしょう。ただし、インプラント治療はあくまでも失った歯を補うための治療であり、天然歯を生かせるのであれば、それが良いと考えています。とはいえ、失った歯を補う治療としては画期的なものだとも思い、これまで培ってきた口腔外科の知識・経験を生かしながら、多くのインプラント治療に携わってきました。当院では重度の歯周病により埋入する人工歯根の土台となる顎の骨が弱くなってしまった方のために、骨造成手術にも対応しています。

Q歯周病治療において、大切にしていることはありますか。

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▲自分や家族に受けさせたいレベルの治療を提供したい、と話す院長

健康な口腔内を維持するには、歯科医院での治療はもちろん、自宅でのセルフメンテナンスが重要です。そこで当院では、患者さんが自分の歯に対して「自分事」として強く意識できるように、撮影した口腔内の写真を見てもらいます。ご自身の口腔内の写真をしっかり見て改善に生かしてほしいですね。また意識が高まると、マイナス状態の改善をめざす治療だけでなく、より良い状態をめざすプラスの治療である、矯正治療やホワイトニングなどに興味が向く方も多いです。これからも、真剣に口腔内のことを考える患者さんを、しっかりと支え続けられるパートナーであり続けるために努めていこうと思います。