一人ひとりのライフスタイルを考慮した
訪問歯科診療の始め方
もり歯科医院
(堺市北区/堺市駅)
最終更新日:2023/02/03


- 保険診療
高齢化に伴い、在宅医療のニーズが増えている日本。そんな中、開業当初から訪問歯科診療に注力し、介護が必要な人や通院が難しい高齢者に向けた歯科治療と、口腔機能を維持すること・管理することを重視しているのは、「もり歯科医院」の森健太院長だ。その背景には、「口腔は食べ物の入り口であるだけでなく、細菌やウイルスの入り口にもなる」という考えがあるからだという。唾液や食べ物を飲み込むときに、気管支や肺に細菌が入ることで発症する誤嚥性肺炎や、感染症を防ぐには、口腔機能を回復するための訓練や口腔ケアが欠かせない。介護現場では徐々にその必要性が周知されている一方で、患者への浸透はこれからだと話す森院長に、訪問歯科診療の具体的な内容について話を聞いた。
(取材日2020年7月13日)
目次
患者が抱える歯科疾患への対応だけでなく「支える診療」を提供
- Q訪問歯科診療の依頼方法や流れを教えてください。
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A
▲院長は明るく相談のしやすい人柄
介護サービスをご利用の方は担当のケアマネジャーへ、施設に入居されている方は看護師へまずはご相談いただくとスムーズかと思います。どちらにも当てはまらない方は、歯科医院に直接問い合わせ、訪問歯科診療を希望している旨を伝えていただければと思います。初回の訪問日が決まったら、歯科医師が問診・検診に伺い、患者さんやご家族のご要望をお聞きします。その日の結果をもとに治療費や利用頻度についての説明が行われ、その後一緒に治療計画を立てて治療がスタートするという流れが一般的です。患者さんの状態が安定したら、月に1~2回のアフターケアと健康管理を継続し、口腔内の良好な状態を維持できるようにしていきます。
- Qどのような人が対象となりますか?
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A
▲しっかりと患者の声に耳を傾ける
在宅医療を受けられている要介護・終末期の方や障害がある方、身体的な理由から通院が難しい方などは、訪問歯科診療を受けていただけます。訪問先は患者さんのご自宅や老人ホーム、入院先の病院などです。訪問における規定エリアは、クリニックから半径16km以内になりますので、当院の場合は大阪市南部と堺市、高石市、羽曳野市、富田林市の規定範囲内にあるエリアが対象となります。これまで当院で診療を受けたことがない方でも、ご連絡をいただければ対応させていただきます。また、長期間にわたって歯科診療を受けていない場合は、口内環境が悪くなっている可能性があるため、まずは相談や検診から始めていただくこともできますよ。
- Q受けられる診療についてお聞かせください。
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A
▲丁寧な説明を心がける
クリニックによって異なりますが、小さい虫歯や歯周病の治療、新しい入れ歯の作製、すでにお使いの入れ歯の調整・作り替えなどに対応可能です。さらに、基本的な検診やクリーニング、誤嚥性肺炎を予防するためのブラッシング、口腔機能を回復するための訓練も行っています。入れ歯に関しては、年齢を重ねるにつれて顎の形が変わり、高齢の方だと歯肉も痩せてくるので、ずれが少ないうちに調整することが大切です。そのため当院は、時期を見て裏打ちをやり直すなど、口腔の変化に合わせて対応するようにしています。介護が必要な方や高齢の方は、細かいところまでブラッシングするのが難しいため、月に一度は診療を受けていただければと思います。
- Q保険は適用になるのでしょうか?
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A
▲幅広い治療に対応している
保険の内容によって患者さんが負担する割合は異なりますが、訪問歯科診療は保険適用となります。医療行為にあたる診療や治療は医療保険、要支援・要介護の方だと口腔衛生指導などに介護保険が適用されます。それぞれの保険証の確認が必要となるため、事前に用意していただければと思います。また、ご自宅で歯科診療を受けることに対して、「ハードルが高い」と感じる方は少なくないと思いますが、通院から訪問歯科診療に移行する場合も気軽に相談していただけるよう、こちらからのお声がけもしています。口内環境が悪いと全身に影響を与えてしまいますから、当院では通院が難しくなった患者さんにも診療を受けていただける体制を整えています。
- Q介護する側が気をつけることはありますか?
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A
▲患者それぞれに合った診察を心がける
介護されている方は、介護を受ける方の日々のブラッシングに注意していただければと思います。胃ろうをされている方も同じで、ブラッシングがきちんとできていないと細菌が増殖し、口内環境が悪化しやすくなってしまいます。高齢の方は唾液の分泌量が減って口腔内が乾燥しやすく、自浄作用が低下して歯や粘膜に汚れがつきやすくなるのです。入れ歯に関しては、清潔なブラシで汚れを落とすほか、洗浄剤につけるなど、こまめなお手入れが必要です。また、誤嚥性肺炎の場合は、唾液や食べ物と一緒に飲み込んでしまう細菌も疾患の要因の一つとなりますので、口腔内を清潔に保ってリスクを避けるためのサポートが重要となります。