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上山 教夫 院長の独自取材記事

上山クリニック

(鹿児島市/薩摩松元駅)

最終更新日:2021/10/12

上山教夫院長 上山クリニック main

鹿児島市吉野町。桜島を望む高台の閑静な住宅街に立つ「上山クリニック」は、美術館のような外観と大きなガラス張りの窓が印象的だ。内科、消化器内科、リハビリテーション科に対応し、通所リハビリテーション事業所を併設するほか、訪問診療も行っている。同院は、1979年に上山教夫院長の父親がほど近い場所で開業し、1994年から現院長が継承。2004年に現在の地に移転した。開業以来40数年もの間、多くの患者を診療してきた地域の頼れる存在だ。「地域のかかりつけ医として、医療だけでなく介護の分野にも力を入れてきた」という上山院長に、その背景や患者への思いなどを詳しく聞いた。

(取材日2021年6月21日)

高齢化社会の今、地域の医療と介護をつなぐことは使命

こちらのクリニックの特色について教えてください。

上山教夫院長 上山クリニック1

当院は内科、消化器内科、リハビリテーション科を診療していますが、通所リハビリテーション事業所「デイケアうえやま」を併設し、そのほか訪問診療にも力を入れています。医療と介護の両面からご高齢の方々の健康増進に努め、地域医療に貢献したいと考えています。外来診療では、さまざまな世代の患者さんが来院されますが、地域のかかりつけ医として小さなことでも気軽にご相談いただけるクリニックでありたいと思っています。心電図、腹部超音波、食道・胃・十二指腸を診る上部消化管内視鏡などを行う検査機器をそろえていますが、より専門的な治療、検査が必要な場合は、専門の医療機関、診療科にご紹介しています。

医療だけでなく介護の分野にも力を入れるようになったのはなぜですか?

上山教夫院長 上山クリニック2

吉野町はご高齢の方も多く、「住み慣れた自宅で過ごしたいが、通院が困難になった」という声をよく聞きます。2000年に介護保険制度が始まってから医療と介護をクリニックの両輪と考え、訪問診療に力を入れてきました。現在4つの医療機関で連携し、在宅療養支援診療所として24時間365日、患者さんに対応しています。また居宅介護支援事業所のケアマネジャー、訪問看護ステーションと連携し、ご自宅、有料老人ホーム、グループホームで訪問診療を行っています。有料老人ホームで最期の看取りまでということも増えてきました。認知症やフレイル、サルコペニアといわれる虚弱な高齢者も増え、訪問診療のニーズは高まっています。訪問診療は1日3回、外来診療の前後と昼休みに回り、吉田のほうまで行くこともありますよ。

外来診療ではどのような世代、疾患の患者さんが多いですか?

ご高齢の方からお孫さんまで3世代、幅広い患者さんが来院されますが、疾患で多いのはやはり生活習慣病。高血圧症、脂質異常症、糖尿病ですね。ご家庭での血圧測定、減塩・減量、適度な運動など、生活習慣を改善するための指導を行いながら、腎機能にも配慮して降圧剤や糖尿病の薬を処方しています。特に治療の難しい患者さんについては、専門の医師と病診連携を行いながら治療を行っています。鹿児島市では、糖尿病や高血圧が発症の原因にもなる慢性腎臓病の重症化を予防するため、登録医と腎臓を専門とする医師が連携して診療するための医療ネットワーク「鹿児島市慢性腎臓病予防ネットワーク」があり、私も登録医です。慢性腎臓病は自覚症状がなく、進行すると透析治療や腎臓移植につながってしまうため、注意が必要です。

患者の既往症や生活習慣を注視し、連携もスムーズに

院長先生は2代目で、開業して40数年とお聞きしました。

上山教夫院長 上山クリニック3

当院は1979年に父が開院したのですが、1994年に急逝。私が後を継ぎました。いずれは継ぐつもりでしたが、当時は鹿児島大学医学部附属病院の消化器内科に籍を置き、土曜に手伝っていたくらいで、まさかこんなに早く継ぐことになるとは思っていませんでした。地域に根差した診療所を休むわけにはいかないと、父が亡くなった翌日から診療しました。開業医がどういうものかもよくわからないままの手探り状態で、継承の手続きもしなければならない。市の医師会に相談し、いろいろ教えてもらいながら乗り切りました。大学病院時代と違い、開業医はより患者さんの既往症や生活スタイル、お考えまで細かに把握、理解する必要があります。同世代の開業医や、私同様に継承した医師などと、患者さんへの接し方や医療技術などの情報交換を重ねてきたことが、外来診療だけでなく在宅医療でも役立っていますね。

1999年に医療法人とし、その後、現在の地に移転されているのですね。

上山教夫院長 上山クリニック4

父が開業したのは、この場所より少し下方にある住宅地でした。2004年に、高台のこの地に新築し、通所リハビリテーション事業所も併設しました。待合室は大きなガラス窓を設け、明るい雰囲気を大切にしました。日差しが差し込み、桜島がよく見えて、とても気に入っています。また、父は写真を撮るのが好きで表彰されたこともあり、かなりの腕前でした。遺した写真を飾れるよう、設計士さんにはギャラリーのような感じにということもお願いしました。父が築いてきた地域医療の「灯」を消さないよう、吉野に上山クリニックがあって良かったと患者さんに喜んでいただけるクリニックであり続けたいと思っています。また、同じ志を持ったスタッフが心身ともに健康で、患者さんのお役に立てていると実感できるクリニック運営をしていきたいです。

病診連携について教えていただけますか?

父が開業して40年以上、私が継いでからも30年近くなり、地域の基幹病院とのつながりも深く、長くあります。どこの病院に紹介しても快く患者さんを受け入れてもらえるので、とてもありがたく感謝しています。紹介する側として気を配っているのは、患者さんの情報提供です。連携先の先生が、患者さんが来て「どのような持病があるのか?」「何の薬を服用しているか?」などと困らないよう配慮しています。外来から紹介する患者さんはもちろんですが、訪問診療を行っているすべての在宅患者さんも、緊急時の診療情報提供書を用意しています。

先生が、患者さんと接するときに大切にしていることは何ですか?

優しさを持って患者さんに対応することを心がけています。自分の身内のように接する、自分が患者さんだったらどう思うか。患者さんの立場になって考える。それが一番ですね。

患者とともに年を取ることで見えてくることもある

先生が医師を志した理由、内科・消化器科を選ばれた理由について教えてください。

上山教夫院長 上山クリニック5

父が開業したのは私が高校2年の時でした。父は外科医で、いつも忙しくしていた記憶しかなく、ゆっくり遊んでもらった思い出もありません。でも父の姿を見て頼もしく思えたし、子どもの頃から自然と医師になりたいという思いを抱いていましたね。本当は父と同じ外科の医師になりたかったのですが、断念したのには時代の流れもありました。外科は医師一人では治療できません。父からは、開業医をめざすなら他を専門にしたほうがよいとアドバイスされて、消化器系にも興味があったので、そちらに進むことに決めました。1987年に杏林大学医学部を卒業して故郷に戻り、消化器診療で知られる先生がいる鹿児島大学医学部附属病院の消化器内科で経験を積みました。

医師としてのやりがいを感じるのはどんな時ですか?

患者さんから「最後まで面倒見てくださいよ」と言われると、医師としての責任の大きさと同時に、信頼されている喜びを感じます。また父の後ろ姿を見て医師を志した私を見て、今度は長女が医師として歩み始めています。そんなところにも医師としての誇りとやりがいを感じていますね。

ご趣味についても教えていただけますか?

開業するまで趣味と言えるものはありませんでした。ただ父が「ヨットに乗ってみたい」と言っていたことが頭に残っていて、ヨットを始めました。今ではチームを作り30フィートのクルーザーで月1回錦江湾内のレース、年に2~3回外洋レースを楽しんでいます。また、旬の野菜が食べたくて、自宅の庭で家庭菜園を楽しんでいます。スタッフにおすそ分けすると、旬の新鮮な野菜が食べられると喜ばれるんですよ。

最後に、今後の展望と読者へのメッセージをお願いします。

上山教夫院長 上山クリニック6

来年で還暦を迎えますが、少しでも長くこの仕事を続けていけたらうれしいですね。自分が年を重ねると見えてくることもあります。ご高齢の患者さんの気持ちと体に寄り添っていける医療。そこに、これからの自分の存在価値があるとも思っています。これからも地域に貢献できるクリニックをめざして頑張ります。

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