宮田 晉 院長、桑野 徹 先生の独自取材記事
宮田内科消化器科
(鹿児島市/鹿児島駅)
最終更新日:2024/11/15

鹿児島駅からバスで約25分。鹿児島市吉野の住宅街に「宮田内科消化器科」はある。36年前に開業してからずっと院長の宮田晉(みやた・すすむ)先生が1人で診察にあたっていたが、昨年から桑野徹(くわの・とおる)先生が診療に加わった。桑野先生は、宮田院長の義理の息子にあたり、ゆくゆくは同院を継承する予定だという。宮田院長は、医師として50年以上のキャリアがあり、うち36年間を同院の院長として地域医療に捧げてきた。桑野先生は、日本消化器病学会消化器病専門医の資格を持ち、豊富な診療経験を持つ。穏やかな雰囲気の中に、お互いへの強い信頼感が感じられる宮田院長と桑野先生に、医師を志したきっかけや診療で大事にしていること、医院の今後の展望などを聞いてみた。
(取材日2024年9月13日)
密に患者と関われるのが、町の医院の強み
ここ宮田内科消化器科は、宮田院長が設立されたと聞きました。

【宮田院長】もう36年前になりますね。医学部を卒業後、市中病院で15年以上の経験を積みましたが、いつからか徐々に「自分の医院を持ちたい」と思うようになりました。42歳の時に独立して開業したのがこの「宮田内科消化器科」です。開業してみて感じたのは、地域の診療所は、大きな病院よりも患者さんとの向き合い方がより密になるということです。しかし医学のことだけ知っていても、患者さんとの信頼関係を築くのは難しく、多方面の知識を身につけないといけないと思いましたね。
【桑野先生】私は、普段は南風病院の消化器内科で診療しているのですが、昨年から、毎週金曜の午後に当院で診察するようになりました。私も院長と同じく、こちらではより幅広い疾患への対応、そして医学に限らない幅広い知識が必要だと感じているところです。
吉野はどんな土地で、どのような患者さん、どんなご相談が多いのですか?
【宮田院長】市街地からは少し外れた場所にあり、以前は昔から住んでいる高齢の方が多かったのですが、新興住宅街として開発されてからは若い方やファミリー層が移り住むようになり人口が増えてきている地域ですね。そういった背景もあり、今は高校生から高齢者まで、幅広い年齢層の方がいらしています。疾患としては糖尿病の定期通院の方が多く、開業した頃からの患者さんもいます。
【桑野先生】診療は予約制ではなく、初診の患者さんも順次対応しております。消化器症状はもちろんですが、風邪、その他内科一般まで幅広い症状で受診されることも多々あります。今年の夏は猛暑が長く続いたこともあり、熱中症や「食欲が落ちて食べられない」といった症状でいらっしゃる方も多かったですね。
医院の強みやこだわりなど、ありましたら教えてください。

【宮田院長】30年以上この地域の医療に携わっていますので、どこの病院にどの専門の先生がいるかもわかっていますし、近隣の医療機関との信頼関係も築けていると思っています。診療はすべて丁寧に行っていますが、特にエコー検査には自信を持っており、例えば「胃が痛い」と来院された方も、胃だけでなく全体をしっかり検査するようにしています。訴えとは違うところにがんが見つかるケースもありますから、大事に至らないよう早期に発見して治療につなげるのがかかりつけ医としての役割だと思っています。
【桑野先生】私自身が現在南風病院に勤務しており、普段は消化器疾患を中心に診断、治療に従事しております。疾患の重症度などを判断して患者さんにとってベストな医療が受けられるよう連携病院への紹介も可能です。また当院では女性医師による内視鏡検査が可能です。女性も安心して受けることができますのでご相談していただければと思います。
訴えにしっかりと耳を傾け、丁寧に診察・説明する
お二人が医師を志したきっかけは?

【宮田院長】子どもの頃から「世の中のためになるような仕事をしたい」と思っていました。中学時代には、読み物などで医師の仕事に興味を持つようになり、高校時代も変わることなく医師をめざしていました。他の職業は選択肢になかったですね。
【桑野先生】父が医師だった影響が大きいと思います。研究職として感染症研究をしていたので、いわゆる「お医者さん」とは違うかもしれませんが、父の職場に行く機会も何度かあり、真剣なまなざしで顕微鏡を覗いている姿が印象に残っています。自分は「患者さんを救いたい」という思いが強かったので研究ではなく臨床医になったのですが、そう思えるようになったのも父がいたからですね。
では、消化器内科を選択された理由も教えてください。
【宮田院長】私は大学を卒業するまで、どこの科に進むかは決めていませんでしたが、初期研修でいろんな診療科を回った結果、消化器内科が自分に合っていると感じました。消化器内科は細かな技術が必要な検査が多く、手先が器用で緻密な作業が好きな自分に向いていると思ったんです。
【桑野先生】内視鏡を使った検査、治療といった手技的な奥深さに惹かれました。それに加えて、大学3年生の時に家族が病を患い、内視鏡治療を受けました。手術をせず、臓器の温存がめざせる消化器内科を志したきっかけになりました。
お互いの印象や長所などを聞かせていただけますか?

【宮田院長】桑野先生の人格が素晴らしいと思っています。患者さんへの説明などを聞いていても非常に温かくて優しくて、言うことなしです。最高の後継者が来てくれて本当にうれしく思っています。
【桑野先生】穏やかで優しい先生だなというのが第一印象でした。それに加え、普段の何げない会話から、本当に幅広い知識を蓄えていることに驚かされます。そういった豊富な知識を、患者さんとのコミュニケーションに生かしているんですよね。患者さんから信頼され、親しまれているのもうなずけます。皆さん、院長を本当に頼りにしているのが伝わってきて、この医院への信頼を損なわないようにと私自身も身が引き締まる思いです。
小さな不安でも相談できる「地域のかかりつけ医」に
診療で大事にしていることを教えてください。

【宮田院長】丁寧な診療と説明を大事にしています。医学的な専門用語は使わず、わかりやすい言葉で言い換え、それでも伝わりにくいと感じた場合は絵に描いて説明しています。また、病名などは帰宅してからもご家族に正確に伝えられるように、口頭だけでなく紙でお渡ししています。
【桑野先生】患者さんの訴えにしっかりと耳を傾けるようにしています。さらに、病気だけではなく生活背景や環境、治療に対する希望などを全人的に評価して、病気を診るのではなく患者さん自身を診られるように心がけています。治療に対しても、何を優先するかなどはいろいろな考え方がありますので、患者さんの個々の考え方を伺いながら、診療に生かすようにしています。
今後の展望を聞かせてください。
【宮田院長】開業して36年、さすがに建物が老朽化しているので、隣の土地に新しい医院を建てる予定です。具体的にどのようにしていくかは、桑野先生をはじめ若い人たちの意見を全面的に取り入れたいと考えています。私の出る幕はありませんね(笑)。
【桑野先生】宮田院長から学んだことや南風病院で学んだことを生かし、地域の患者さんに還元できる医院をつくりたいです。診療予約や会計といった部分は、IT化でもっとスマートにできると思いますし、施設・設備の面では、例えば点滴中の患者さんなどにプライバシーに配慮したスペースがあれば良いと考えています。個人的には、消化器疾患以外の知識をもっと身につけて、全人的な視点で患者さんと関わっていける医師になりたいです。
最後に、読者へのメッセージをお願いします。

【宮田院長】当院は「丁寧な診療、丁寧な説明」がモットーです。特に最近は「他院では細かく説明してくれなかった」という声をよく聞きますので、医師からの説明内容がわからず不安を抱えている患者さんが増えていると感じます。確かに、丁寧な検査と丁寧な説明をするのは時間も根気も、そして体力も必要ですので、医師もタフでないと務まらないと考えていますが、だからこそ、妥協せずに当院のモットーとして続けていきたいですね。
【桑野先生】普段診療する中で、早期発見・治療の重要性を強く感じています。早期のがんは自覚症状として感じることはほとんどないため、検診で精査が必要な場合は必ず受診して相談してほしいです。消化器疾患はもちろん内科全般にも対応しており、かかりつけ医としての役割が果たせるよう、そして地域の皆さんに信頼される医院でありたいですね。
自由診療費用の目安
自由診療とは内視鏡検査:胃…1万6500円~/大腸…2万900円~