西園 久慧 院長の独自取材記事
西園内科クリニック
(飯塚市/飯塚駅)
最終更新日:2026/06/12
JR福北ゆたか線・飯塚駅から車で約10分の「西園内科クリニック」は、開業以来約30年にわたり地域に根差した診療に取り組んできたファミリークリニックだ。2024年より院長を務めるのは、飯塚市出身である西園久慧(にしぞの・きゅうけい)先生。先代院長である父親の後を継ぎ、地域住民の幅広い悩みに応えている。「子どもからお年寄りまで、さまざまな患者さんの悩みに向き合い、地域の健康増進に寄与していきたい」という思いから、一般内科と小児科に加え、精神科での経験を生かした物忘れの専門的な診療も実施。飯塚エリアで増加している認知症患者の受け入れなどにも精力的に取り組んでいる。そんな西園先生に、これまでのキャリアや診療の特徴などについて尋ねた。優しく穏やかな人柄と、生まれ育った飯塚への強い想いが印象的だった。
(取材日2026年5月25日)
地域の課題に目を向け、幅広い領域で研鑽を重ねる
2024年にクリニックを引き継がれたのですね。

はい。当院は1994年に、私の父が開業しました。小学生の時でしたから、当時は医師として働く父の姿を、子どもながらに「忙しそうだな」と眺めていたのを覚えています。患者さんの中にはその頃から通ってくださっている方もいて、私が院長に就任したことを知り「あの走り回っていた坊やが!」と驚かれることもあったんですよ。子どもの頃からクリニック自体はとても身近な場所で、記憶はほとんどないものの、祖父も医師でしたから、自分が医師をめざすようになったのは自然な流れだったのだと思います。
院長に就任されるまで、さまざまな経験を積んでこられたと伺いました。
大学卒業後は「飯塚病院」に勤め、総合的な診療の経験を積みました。循環器内科の次は腎臓内科、というように、数ヵ月ごとに診療科をローテーションし、先進の知識を身につけながら、提携する「頴田病院」で外来診療を担当しました。ちょうどこの頃から、徐々に「地域医療に取り組みたい」という思いが芽生え始めました。やはり、生まれ育った飯塚が好きなんです。病院とクリニックの違いを理解するために、福岡県小郡市の「まどかファミリークリニック」にも勤務しました。
精神科に勤務された経験もあるそうですね。

以前、飯塚という地域でどのような医療が求められているのかを知るために、ビジネススクールに通いました。飯塚の高齢化率は2020年で31.7%。全国平均の28.8%を上回っており、学ぶ中で認知症などに悩む人からの相談が年々増えていることを知りました。そこで、当院に戻ってくる前に、精神科の医師として学び直すことにしたんです。実際に継承してみると周辺に住む高齢患者さんの割合は高く、地域に貢献できるだろうと確信しました。
真のファミリークリニックをめざして
そのような経緯もあって物忘れの診療を始められたのですね。

認知症の疑いがあるからといって、いきなり専門機関である精神科を受診するのは、ご本人にとっても、そのご家族にとってもハードルが高いのではないかと思います。内科と小児科を標榜したクリニックであれば、健康診断のついでにでも認知症の検査を受けることができますからね。典型的な症状である物忘れがあっても加齢に伴うケースもあり、なかなか検査を受けるまでには至らないもの。そうした観点からも、ファミリークリニックに認知症の受診窓口があることは意義があるのではないでしょうか。クリニックレベルでも認知症を診断できるようにCTを導入しているので、安心して受診してください。
また、小児科のニーズも非常に高いと伺いました。
院長就任後、認知症に加え小児科診療も開始し、それに伴い乳幼児健診や予防接種も実施するようになったことで、この地域における小児科のニーズの高さを実感しています。その一方で、高齢者の割合が非常に多い地域でもありますので、今以上に困っている方の受け皿になれるよう次のフェーズに向けた基盤づくりも課題の一つです。老若男女問わず一人でも多くの方に最適な医療をお届けするために、医師の増員なども検討しているところです。特にインフルエンザの流行時期などは、予想以上の患者さんが来られましたので、ここ2年でスタッフも倍に増員し、診療を円滑に行える取り組みにも注力しています。
先進機器やシステムの導入などもその一つなのですね。

はい。AI搭載のエックス線撮影装置やCT、超音波検査機器などを導入し、効率的かつ質の高い検査ができる環境を整えました。CTは全身の撮影が可能なものを導入していますので、頭部だけでなく、肺の陰影や急な腹痛などにも対応可能となり、早期発見をめざせる疾患の幅も広がりました。臨床検査技師の方にも来ていただいていますので、専門的な視点からの超音波検査も実施できます。エックス線で感じた不安な点を解決しようと即日CT検査をしたところ、深刻な疾患を発見できるケースもあるでしょうし、そのスピード感は先進機器があってこそだと思っています。また、電子処方箋やオンライン予約、キャッシュレス決済など、院内におけるDX(デジタルトランスフォーメーション)化も実施。できる限りスムーズな診療となるよう、患者さんのご負担軽減に努めています。第2駐車場の設置もその一環で、通いやすい環境づくりにも取り組んでいます。
地域の最初の窓口としてさまざまな悩みに対応
診療において大切にしていることを教えてください。

患者さんの抱いている考えは本当に人それぞれなため、できる範囲で考えを理解しようと心かげています。患者さん一人ひとりにいろいろなご病気の経験があるので、それをないがしろにしてはならないと思っています。それから「言葉で説明したからわかってくれている」と思い込むのは医師の傲慢だと思うんですよね。病気についてわかりやすく解説した資料や食事面でのアドバイスのためにレシピサイトを紹介するなど、患者さんが安心できるお付き合いの仕方を見つけていけるよう、心がけています。
地域にとって、どのようなクリニックでありたいですか?
高齢化が加速している地域でもありますので、老々介護や独居の高齢者もさらに増えていくと思います。そのため、困り事の内容にも変化が出てくるでしょうから、都度対応していける体制を整え、困っている方々のお役に立てるクリニックでありたいなと思っています。それは小児をはじめ、他の年代の困り事も同様です。やはり、地域の方が困っていたら協力したいですからね。そのためには私自身、健康管理に努めなければなりませんので、筋力トレーニングに励んでいますよ(笑)。ただ、幅広く対応できる環境を整えているとはいえ、すべての方に対応できるわけではありませんので、当院では対応が難しい場合や総合病院での検査・治療が必要な場合は、提携している総合病院をはじめ、地域の在宅療養支援病院や地域の認知症専門医療機関へすぐにご紹介いたします。皆さんが困った際の最初の窓口として、質の高い医療を提供できるクリニックをめざします。
最後に、読者の皆さんにメッセージをお願いします。

間もなく多目的トイレも設置いたします。今後も診療を行う中で、患者さんが快適に受診できるようさらに改良を重ねていきたいと思っていますし、楽しく幸福に過ごしていけるよう、微力ですが私たちにできることはできる範囲で協力したいと思います。前院長が行っていた内科診療に加え、物忘れなど精神科領域や小児科も診療できるようになったことで、地域における内科以外のニーズの高さも実感しています。その背景には、地域の子どもや高齢者の割合に対し、クリニック数が不足していることも少なからず関係していると思います。今後も困っている方の受け皿になれるよう、さらなる体制づくりに注力していきたいと考えています。女性の患者さんで、男性の医師より女性同士のほうが話しやすいという場合は、詳細を女性スタッフに伝えていただいて構いません。発熱や腹痛などの体調不良、認知症などの心の病、お子さんのことまで、何でもお気軽にご相談ください。

