片瀬 高 院長、富田 友衣 先生の独自取材記事
筑紫クリニック
(糟屋郡志免町/福岡空港駅)
最終更新日:2024/07/19
糟屋郡志免町にある「筑紫クリニック」は1979年の開院以来、「すべての女性と家族のために」をモットーに数多くの命の誕生と女性の悩みをサポートしてきた。特にお産は大きな喜びと同時にさまざまな不安を抱える人も少なくない。そのため、同院には助産師をはじめ、多くのスタッフが在籍。産前産後のサポート体制を整え、患者への「寄り添いケア」を大事にしていると片瀬高(かたせ・たかし)院長は話す。また、婦人科診療では月経にまつわる悩みから性感染症、更年期症状まで幅広く対応。中でも子宮頸がんの早期発見に注力し、日本婦人科腫瘍学会婦人科腫瘍専門医の医師が2人在籍する。そんな幅広い年齢層の女性のライフステージを支え続けてきた片瀬院長と、女性医師の富田友衣先生に同院の特徴など、話を聞いた。
(取材日2022年3月23日/情報更新日2024年7月10日)
出産から婦人科疾患まで幅広い診療が特徴のクリニック
こちらは40年以上前に開院されたとお聞きしています。
【片瀬院長】開院して43年たちますので、ここで生まれた子が結婚し、自分の出産で来院することが増えてきました。20年以上前に来院されていた方がお母さんとなり娘さんと一緒に来院することもあり、「お互い年を取ったね」なんて話をしたり(笑)。時代が進むにつれ、お産に対する付加価値が変化してきましたので、2015年に建物を大幅に改装しました。それを機に女性医師をはじめスタッフも増員し、患者さんの多様なニーズにお応えできる体制を構築。2000年に儀間朝直副院長が加わってからはさらに分娩の体制が整い、今はお産から婦人科疾患まで幅広い患者さんが来院されています。
【富田先生】私は2021年から勤務させていただいているのですが、実は大学病院勤務時にアルバイトでこちらにお世話になったことがあるんです。それがご縁で事あるごとに院長が気にかけてくださり、3人の出産を経て戻ってきました。
お産される方の年齢も時代とともに変わってきたのでは?
【片瀬院長】最近は30代後半から40代が増えてきた印象ですね。それに伴い、当院でも経腟分娩や帝王切開に加え、麻酔を使用する無痛分娩を開始しました。安全性を考慮して、麻酔科の医師の指導のもとで実施しています。さらに外部のコンサルティング会社に入ってもらい、ガイドラインに沿って行っているんですよ。もちろん、今も自然なお産を望まれる方がたくさんおられますが、最近は無痛分娩の希望者が増えてきて、キャンセル待ちが出る月も多くなりました。ただどちらが良いという話ではなく、どんな分娩においても一番大切なのはベビーと母親の安全です。当院では医師や助産師をはじめとするスタッフ皆がそう考えて、日々の診療に向き合ってくれています。長年助産師と取り組んできた「寄り添いケア」も、強みの一つなんです。
出産経験のある女性医師というのは患者さんも相談しやすいでしょうね。
【富田先生】そう言ってくださる方も多いので、私もうれしいですし、それは強みでもあると思っています。患者さんが妊婦さんに限らず全員女性であるというのも、この分野の医師になった理由の一つなんですね。同性だからこそわかる痛みや不快感もありますし、助産師さんの寄り添ったケアも患者さんの安心につながっていると感じます。
【片瀬院長】「寄り添いケア」は私のこだわりでもあります。そのため当院には助産師がたくさん在籍しています。患者さんの話に常に耳を傾け、経験したことのない痛みなどで患者さんを不安にさせることのないよう、必ず助産師が寄り添っています。患者さんを決して一人にしないこと。それは開院から一貫して取り組んできました。経験豊富な助産師は、患者さんの少しの変化にも気づけて寄り添えることが多いです。そのため、ベテラン助産師による後進の育成にも注力しています。
アロマヨガや母乳相談など産前産後のケアも充実
産前産後のケアにもかなり注力されている印象を受けました。
【片瀬院長】産前はアロマヨガ教室や、妊娠週数に応じた母親教室、ご夫婦でお子さんの誕生に備えるための両親学級などを実施しています。アロマヨガ教室は、妊娠中の不調や不安を和らげたり、出産に役立つ呼吸法を練習したりする目的があります。保育士が常駐しているキッズルームも備えているので、妊婦健診や婦人科の外来診療でお子さんを連れて受診されたときにご利用いただけますよ。そして産後ケアについてですが、産後はホルモンの急激な変化から心身ともに不安定になりやすく、授乳や育児の悩みを抱えている方がほとんどでしょう。そのため、母乳や育児の相談、ベビーマッサージ教室、育児支援誌の発行に加え、産後4ヵ月までの方を対象に日帰りや宿泊での産後ケア利用も受け入れています。産後ケアは市町村の助成も活用できますし、ママの休息や心身を癒やすために来ていただければと思います。
婦人科診療に関してはいかがでしょう。
【片瀬院長】月経の悩みが多く、更年期症状、子宮内膜症、あとはクラミジア感染症などで来られる方も。月経困難症の治療ではピル処方をする場合が多く、受診後の定期的な来院が難しい場合でもオンライン診療によるピル処方にも対応しています。また、検診では特に子宮頸がんの早期発見に注力。当院にはがん診療に長けた儀間副院長と富田先生がおり、九州大学病院や九州がんセンターなどでの勤務経験もありますので、万が一がんが見つかってもすぐに適した機関へおつなぎできます。日本婦人科腫瘍学会の婦人科腫瘍専門医資格を持っているのも安心できる要因になっているのではないでしょうか。
【富田先生】これまでの経験も生かしながら、患者さんが何を訴えたいのかをくみ取ることに加え、メンタル面への働きかけも心がけています。女性医師を希望される方も多く、月経にまつわることに限らず、同性だからこそ受け止められる気持ちを大事にしたいです。
こちらに通っていた方が、月経を迎えたお子さんと一緒に受診されるケースも多いそうですね。
【片瀬院長】ええ、うれしいですね。どうしても婦人科の受診はハードルが高いと思われがちです。でも、ご自身は更年期症状、娘さんは月経の悩みというふうに、ご一緒に来られるケースが多いのも当院の特徴かもしれません。これは非常に良いことだと思います。当院には女性医師もいますし、初潮を迎えた頃から婦人科に慣れ、相談できる場所を持つことが大事。年齢を重ねていけば親に相談できないことも出てきますからね。
今後も助産師による「寄り添いケア」に注力を
親に相談できないことと言えば、若年層の妊娠相談についても詳しくお聞かせいただけますか?
【片瀬院長】もしかしたら妊娠したんじゃないかと一人で悩む中学生や高校生への取り組みで、誰にも相談できない時に電話をしてもらい、無料で相談に乗っていくというものです。もちろん秘密は厳守します。一人で悩んでいる方はぜひご相談いただきたいです。この取り組みは当院では注力して行っているものですので、一人でも多くの方にこういう窓口があることを知っていただきたいです。もしも誰にも言えずにいる中高生がいたら「一人で悩まないで」、そう強く呼びかけたいです。
子宮頸がんワクチンについてもお伝えされたいことがあるとか。
【片瀬院長】公費による子宮頸がんワクチンのキャッチアップ接種が、2025年3月で終了します。対象となる高校2年生から25歳相当までの方はぜひ検討されてください。3回接種完了までに約6ヶ月かかりますから、遅くとも今年の夏までには初回接種を済ませていただければと思います。一方で、小学校6年生から高校1年生相当の方については、引き続き公費による接種が可能です。その他、RSウイルスワクチンや風疹ワクチンについても、接種をご検討の方は、ぜひご相談ください。
最後に読者へメッセージをお願いします。
【片瀬院長】当院にはブライダルチェックで来院される方もいますし、お産以外の患者さんもいます。割合ではお産のほうが多いですが、そこがゴールではありません。産後も要注意です。ホルモンの急激な変化や睡眠不足などでうつ症状が出ることも少なくありません。また、更年期症状がきっかけでうつ病を発症する方も。早期に助産師が母親の話を聞いたり気持ちを受け止めたりすることで、発症する前に食い止めることもできるのではないかと考えています。そういったことも含めた「寄り添いケア」。これは今後も力を入れて取り組んでいきたいと思っています。
【富田先生】私も育児中ですし、よりお気持ちに寄り添えるのではと思っていますので、気軽にお声がけください。
自由診療費用の目安
自由診療とはブライダルチェック/1万1000円~