吉田 一暁 院長の独自取材記事
吉田皮ふ科・形成外科クリニック
(太宰府市/西鉄五条駅)
最終更新日:2023/03/08

西鉄太宰府線・西鉄五条駅から徒歩5分、国道3号線の君畑交差点にほど近い「吉田皮ふ科・形成外科クリニック」は、古民家をリフォームした外観が特徴的。吹き抜けに改装した待合室がリラックスした雰囲気を演出している。1986年の開業以来、湿疹やニキビをはじめとした身近な皮膚トラブルを診療する頼れるクリニックとして地域に根差し、2016年からは2代目となる吉田一暁院長が継承。形成外科も標榜し、やけどや切り傷、皮膚がんや眼瞼下垂といった外科的治療にも対応するなど幅広い診療を行っている。「小さなことでも心配であれば相談を」と話す吉田院長に、これまでのキャリアや診療の特徴、また、新型コロナウイルス流行下で増えているという肌荒れに対するケア方法についても詳しく話を聞いた。
(取材日2021年5月12日)
親子4世代が利用する地域の頼れるクリニック
医師をめざしたきっかけや、これまでのご経歴についてお聞かせください。

このクリニックは、1986年に皮膚科医の父が開業しました。医師が身近にいる環境だったということもあり、半ば自然と医療の道を志しました。クリニックを継ぐことも視野に入れていたので、皮膚科と領域が近く、より外科的な処置もできる形成外科を選びました。大学病院時代には切断した手の接着や2~3mmの血管の吻合(ふんごう)といった難しい手術にも対応してきました。形成外科は多くの人にとってあまりなじみのない診療科で、美容のイメージが強いかもしれませんが、皮膚がんなどの腫瘍や傷痕の治療、先天的な形態異常など、その治療範囲は多岐にわたります。当クリニックは従来、皮膚科のクリニックでしたが、私が継承した2016年からは形成外科も標榜し、外科的な処置にも幅広く対応できるようになりました。
開業から30年以上たちますが、地域の方の利用が多いのでしょうか?
そうですね。太宰府市や筑紫野市、大野城市など近隣に住んでいる方が中心ですが、形成外科領域で手術が必要なケースなどは他院からの紹介で遠方の方もいらっしゃいます。形成外科はどちらかというとマイナーな診療科なので、なかなかクリニックレベルで診療をしているところはありません。そのため形成外科を受診したい時には大学病院など大きな病院を受診しなければならないケースが多く、そうした方たちの受け皿になれればと思っています。世代に関してはそれこそ新生児から100歳以上のお年寄りまでさまざま。中には親子4世代にわたって利用いただいている患者さんもいらっしゃいますよ。
診療において大切にしていることを教えてください。

患者さんが自分の家族だったらどういう治療を行うか、ということを念頭に置くようにしています。だからこそ相談を受けた際には、できませんとはなるべく言わないようにしています。もちろんクリニックの設備などで対応できない場合は大学病院などを紹介しますが、私にできる限りのことは患者さんに提供したいと思っています。また治療においては、選択肢を提示することも大切です。例えば外科的に治療するのか、内科的な治療をするのか。内科的な治療を行うにしても、塗り薬もあれば飲み薬もある。そうしたさまざまな治療方法の中で、患者さんのライフスタイルなども考慮しながら最適な治療ができるよう話し合う機会を設けています。
皮膚科から形成外科まで幅広い診療を提供
皮膚科ではどのような主訴の方が多いのでしょうか?

湿疹やニキビで悩んでいる患者さんが多い印象です。特に、ニキビに関しては10代の男女、20代の女性と、若い世代の患者さんが目立ちます。ニキビの一番の原因は毛穴が皮脂などによって詰まることといわれていますが、食生活の乱れやストレス、睡眠不足、生理周期など生活習慣も大きく関与します。ニキビはご自分で対処される方も多いと思いますが、膿が深い部分にあるときは要注意です。そうしたニキビをつぶしてしまうと、皮膚の中で膿が広がり炎症が悪化することもあります。もちろん早く膿を出して炎症を抑えたほうが痕が残りにくいので、痛みや見た目の問題で困っている方は早めに相談することをお勧めします。
形成外科領域ではどのような患者さんがいらっしゃいますか?
粉瘤や皮膚腫瘍、やけどやけが、切り傷などで困っている方が多く、あざ治療やほくろのレーザー治療の相談もありますね。レーザー治療に関しては保険適応になっている部分と、自費診療になってしまう部分があります。受診の際にそれぞれ説明しています。治療については患者さん一人ひとりニーズが違いますので、その要望に応じていろいろな治療法を提案しています。そして意外に多いのが爪の疾患。巻き爪などはいわゆる境界領域で、形成外科のほか、皮膚科や整形外科でも対応しているクリニックがある一方、治療経験や知識がないと処置が難しいもの。患者さん自身もどこに相談すれば良いのかわからないという方が多いのが現状です。巻き爪など爪の疾患に関しては、爪と皮膚の関係性を元から改善しないとなかなか根治できないので注意が必要です。
クリニックではどのような外科治療に対応しているのでしょうか?

クリニック継承後に、ある程度の治療に対応できるよう手術室を設置したので、ケガややけどの処置をはじめ、皮膚腫瘍の切除などが可能です。状態にもよりますが、皮膚がんの治療にも対応しています。その際に皮膚移植が必要な場合は併せて行うこともあります。そのほか加齢に伴いまぶたが落ちてくる眼瞼下垂の手術にも取り組んでいます。
感染症対策による手荒れ、肌荒れに注意を
感染症対策の影響で手荒れや肌荒れの相談も増えているそうですね。

新型コロナウイルス感染症の対策として、手指消毒や手洗いを徹底されている方も多いと思いますが、一方で手荒れの症状に悩まされている方も多いようです。例えば感染症対策という観点から見れば、手洗いかアルコール除菌のいずれか一つで十分だと思います。心配なあまり手洗いの後にアルコール消毒をする方もいらっしゃいますが、それでは肌荒れを起こしてしまいます。ケア方法としてはハンドクリームをこまめに塗り、皮膚のバリア機能を高めること。他方でマスク習慣により、ニキビや湿疹ができるケースも増えています。これは根本的な解決が難しいので、塗り薬などによる対症療法にとどまってしまいますが、なるべく日常生活に支障がないレベルまではサポートしていきたいところです。
塗り薬の塗り方のポイントはありますか?
塗り薬は3つの要素のバランスで効き目が左右されます。その3つとは、薬の強さ、塗る量、塗る回数。そのどれかが欠けてしまうと思った結果を得られません。医師がコントロールできるのは薬の強さだけです。塗る量、塗る回数については患者さん自身に頑張ってもらうしかありません。中には薬が消えるまで皮膚に塗り込む、薄く伸ばして見えなくなるまで塗るなど、間違った塗り方をしている方もいらっしゃいます。正解は皮膚のしわに沿ってパッと伸ばしていく。皮膚の表面に艶が残り光を反射するくらいのイメージです。薬を塗っているけれど症状が緩和しない場合には、薬の使用方法を確認してみたほうが良いかもしれませんね。
最後に、読者へのメッセージをお願いします。

「こんなに小さなことでも相談して良いのですか?」と患者さんからもよく言われるのですが、ご自身が心配であれば遠慮なく来ていただいて構いませんよ。皮膚の疾患にはがんなど重大な病気もあるので、自分一人で抱え込むよりは早めに受診したほうが安心だと思います。また現代はインターネットの情報があふれ、自分の症状を詳しく調べてから来られる方もいらっしゃいますが、インターネットの情報には本当の情報もあればうその情報もあります。知識を得るのは良いことではあるものの、うのみにせず、まずは相談すること。父が地域に根差してきたように、私も地域に貢献したいと思っていますので、困っていることがあれば気軽にご来院ください。
自由診療費用の目安
自由診療とはほくろのレーザー治療/4400円~
巻き爪の治療/5500円~