片頭痛は治らないと諦めないで
専門家によるオーダーメイドの治療
岡田脳神経外科医院
(久留米市/善導寺駅)
最終更新日:2025/04/10


- 保険診療
頭痛といってもその原因はさまざま。肩凝りや眼精疲労、慢性的なストレスなどが起因するものから、くも膜下出血や脳動脈解離といった一刻を争うものまで幅広いと、「岡田脳神経外科医院」で副院長を務める岡田洋介先生は話す。片頭痛は若い働き世代に多く、痛みで起きられず出社できないなど、その影響は身体的な苦痛だけにとどまらないケースも少なくない中、「受診せずに市販薬でしのぐ人も多く、それが原因で薬物乱用頭痛という新たな頭痛を引き起こす恐れがあることは意外と知られていません」と警鐘を鳴らす。また、女性はホルモンの変動により頭痛を感じやすく、「月経前後や妊娠、更年期などの女性の来院も多いです」と岡田副院長。そんな多種多様な頭痛の原因と日々向き合う頭痛治療の専門家に、一歩踏み込んだ話を聞いた。
(取材日2025年3月22日)
目次
肩凝り、眼精疲労、ストレス、匂い、睡眠など、片頭痛の原因を突き止め、適したアプローチで改善をめざす
- Q頭痛の症状は市販薬を飲むだけで大丈夫ですか?
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A
▲頭痛の原因は多種多様。市販薬に頼らず受診を
市販の頭痛薬で支障なく日常生活が送れるのであれば、それも一つの策だとは思いますが、根本的な原因の改善につながっているかは受診されなければわかりません。また、市販の頭痛薬を1ヵ月に10回以上服用した場合、新たに薬物乱用頭痛を引き起こす可能性が高まります。頭痛薬を服用することで、結果的に頭痛が起こる回数が増えるのは本末転倒。治療も複雑になりますので、最初から市販薬に頼らず受診されることをお勧めします。特に片頭痛が長期間続く方は、学校や仕事を休むなど日常生活に支障を来しているケースも少なくありません。片頭痛にも何種類かタイプがあり、痛みを改善するにはそれぞれの痛みに適した治療を行うことが重要です。
- Q頭痛が続く場合は何か重大な病気のサインでしょうか。
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A
▲頭痛の背景にある原因を突き止めることが改善への近道
その場合もあります。例えば、くも膜下出血。バットで殴られたような強烈な痛みを感じることが多く、その場合は救急搬送されることがほとんどですが、中には頭痛はそこまでひどくないのにくも膜下出血だったというケースも。そもそも命に関わる病気ですので、見落とさないためにもしっかりとヒアリングし、MRI検査などでの早期発見が重要となります。このほかにも脳動脈解離や、ピルを服用している女性は血栓ができやすく静脈血栓症が見つかることもあります。また、別の疾患を疑い検査した際に偶然、脳腫瘍が見つかるケースや、副鼻腔炎など耳鼻咽喉科領域の疾患が原因で頭痛が起こっているケースもあります。
- Q頭痛にはさまざまな原因があるのですね。
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A
▲「頭痛の診療に注力している」という洋介副院長
頭痛には肩凝りや眼精疲労、慢性的なストレスなどによる緊張型頭痛といわれる一次性の頭痛と、先ほどのくも膜下出血や脳動脈乖離といった命に関わる二次性の頭痛があります。また、性別や睡眠時間、光、匂い、気温の変化、生活習慣などが引き金になるケースも。ストレスを感じやすい体質や性格の方もいらっしゃいますので、環境調整によって改善を図ることもあります。そして、特に女性はホルモンの影響を受けやすく、月経前後、妊娠、更年期などホルモンの変動で頭痛を感じるケースが少なくありません。このように、頭痛の原因は実にさまざま。そのため、頭痛の背景にある原因を突き止めることが改善への近道となります。
- Q診断にはどのような検査が必要なのでしょう。
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A
▲開放型のMRIを導入している
まずは急を要するか否かを判断するために、MRIや短時間で精密な画像が撮影できるヘリカルCTなどで、二次性頭痛でないことを確認します。一刻を争う疾患の場合もありますので、われわれの役目はその判断を誤らないこと。その上で既往歴をはじめ、どのような時に頭痛が起こりやすく、月に何回くらいであるか、どのような痛みなのか、日常生活でどのくらい支障を来しているか、前兆の有無など、時間をかけてヒアリングします。問診で得たそれらの情報をもとに、心電図、エックス線、血液検査など症状に適した検査を実施。そして、痛みのレベルと日常生活への影響を数値化し、収集した情報や検査結果を精査して最終的な診断を下します。
- Q具体的な治療法について教えてください。
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A
▲注射による頭痛治療も可能になった
片頭痛の治療薬には、予防薬から急性期治療薬、注射に漢方薬まで多種あり、何が適しているかを判断するには問診がとても重要です。一次性頭痛の場合は、気温の変化やストレスを感じた時など、どんな時に頭痛が起こることが多いかなどで治療法が変わってきます。慢性の片頭痛でない場合は発症を抑制するために抗体製剤を用いたりしますが、慢性の片頭痛、その中でも特に女性はホルモンの変化で頭痛を感じやすくなるので、いくつかの要因が合わさった結果、頭痛を発症することも。そのため、さまざまな原因を解きほぐし、その一つ一つにアプローチする、まさに一人ひとり異なるオーダーメイドの治療となります。