岡田 和洋 院長、岡田 洋介 副院長の独自取材記事
岡田脳神経外科医院
(久留米市/善導寺駅)
最終更新日:2025/03/12

福岡県久留米市の「岡田脳神経外科医院」は、国道210号沿い、太郎原交差点から東へおよそ100mの場所で1989年から診療を続けている。同院を開業した岡田和洋院長は現在はサポート役に回り、息子の岡田洋介副院長がメインで診療を行っているそうだ。2人とも脳神経外科の医師として大学病院などで診療に携わった経験を持ち、同院ではCTやMRI、エコーなどの検査機器や入院病床も備える。専門的な検査や診療を行いつつ、さらに専門性の高い医療を提供する基幹病院や他の診療科のクリニックと連携し、地域医療を支えている。インタビューでは、こちらの質問に対する回答にフォローを入れ合うなど、親子の息もぴったり。助け合いながら診療にあたる様子が思い浮かぶようだった。
(取材日2024年12月19日)
検査により頭痛やめまいの原因を適切に見極める
クリニックの歴史をお聞かせください。

【和洋院長】1989年にこの地で開業したのは、久留米大学病院に近かったことが大きな理由です。父は小倉の開業医でしたが、大学卒業後に脳神経外科の医師として研鑽を積んだ久留米大学病院にほど近い場所が良いと考えたんです。開業当初は救急車も受け入れていましたから、とにかく忙しく、1年半近く院長室に泊まり込みでしたよ。近くに大きな医療機関が増えてからは救急搬送を受けることはなくなり、必要に応じて当院の患者さんを基幹病院に送り、適切な医療を迅速に受けられるような体制を取っています。また、通所リハビリテーション施設も併設し、脳神経外科の知識と経験を生かした介護医療を提供しています。
【洋介副院長】父から「脳神経外科に行きなさい」と言われたことはないけれど、身近に感じていたこともあって同じ道に進みました。大学病院などで経験を重ねた後、2019年から当院で診療を行っています。
どのような症状での受診が多いですか。
【和洋院長】頭痛、めまい、手足のしびれ、肩凝りなど、さまざまです。運転免許の高齢者講習で指摘されて受診するなど、物忘れや認知症の相談も増えていますね。あとは、子どもが休み時間や放課後に転んで頭を打ったり、近隣の果樹農家さんや植木職人さんが脚立から転落したり、頭部の打撲で受診する人も結構多いんです。
【洋介副院長】めまいが症状としてある場合、メニエール病など耳鼻咽喉科疾患のケースが多いです。そういう場合は近隣の耳鼻咽喉科を紹介しますが、脳梗塞が隠れていることがあるので注意が必要です。眼科や耳鼻咽喉科のクリニックから、脳疾患の疑いで紹介を受けることもあります。手足の動作困難を訴えるケースでも、脳神経に原因がある場合もあれば、膝や肩の関節、頸椎、腰椎といった整形外科の領域に関わることもあり、さまざまです。
MRIやCTをはじめ、検査機器にもこだわられているそうですね。

【和洋院長】脳神経外科を受診する患者さんの症状は、脳の重篤な疾患から耳鼻咽喉科や眼科、整形外科など他の領域に関わる疾患まで、原因は多岐にわたるので、特定するためには検査が重要です。MRIは、閉所恐怖症の方にも配慮して開放型を設置しています。MRI検査は電話で予約を受けつけていますが、予約が入っていない場合は当日でも検査が可能です。CTは、短時間で精密な画像撮影が可能なヘリカルCTを採用しています。そのほか、予約制で腹部エコーや心エコーの検査も可能ですし、心電図やエックス線、動脈硬化検査など、幅広い検査に対応しています。
【洋介副院長】画像診断では、放射線を専門とする医師にも読影を依頼し、ダブルチェックで見落としの防止に努めています。
病気のサインを見落とさないように心がける
診療で気をつけていることはありますか。

【和洋院長】一見、問題なさそうでも重い病気が隠れているかもしれませんから、見落としのないよう、大げさに考えることを意識しています。例えば、CT検査をしても特に異常は見当たらない。主訴の頭痛も快方に向かいつつある。でも、念のためと精密検査を行ったところ重大な疾患が隠れていたというケースも実はあるものなのです。たいしたことはないだろうと見過ごして大事に至ることを思えば、取り越し苦労で終わるほうがいいので、気になることがあれば、必要な検査をしたり、連携する基幹病院に紹介したりといった対応をします。このポリシーは息子にも引き継がれています。
得意分野や専門分野を教えてください。
【和洋院長】昔の話ですが、パーキンソン病を研究し、アメリカ留学も経験しました。歩行障害が見られたり認知症を合併したりすることもあるなど、他の疾患と共通する症状が多く、注意が必要です。
【洋介副院長】頭痛の診療に力を入れています。片頭痛は若い働き世代に多く、仕事に支障が出て、生産性が下がることで収入を左右するなど、その影響は身体的な苦痛だけにとどまらない場合もあります。でも、数年前に新しい薬が登場し、注射による治療が可能になったことで、片頭痛治療ががらっと変わりました。早い段階ほど成果が見込めますから、繰り返す頭痛にお悩みの方は相談していただきたいです。
先進の医療を積極的に採用しているのですね。

【洋介副院長】アルツハイマー型認知症治療薬も新しいものを導入しています。脳内で作られるたんぱく質の一種、アミロイドβがたまると認知症の一因になりますが、これを除去する目的の薬で、アルツハイマー型認知症の進行を遅らせることがめざせるとされます。残念ながら病状が進行した患者さんには使用できませんが、軽度のアルツハイマー型認知症患者さんや、その前段階のアルツハイマー病を原因とする軽度認知機能障害の方に使用すれば、進行の抑制が期待できます。治療の裾野が広がったのは喜ばしいことだと思いますね。
生活習慣病の治療や通所リハビリで患者の健康を下支え
クリニックの強みを教えてください。

【洋介副院長】当院では、脳神経に限らず、内科の慢性疾患もフォローしています。例えば、脳梗塞は、高血圧や高脂血症、糖尿病などの生活習慣病がリスク要因ですから、これらの治療も行うことで、予防や再発予防に努めます。慢性疾患がある方でも、よくわからずに薬を服用している方もおられるので、なぜ、このお薬が必要なのか、きちんと説明し、ご自身の病気を理解していただくなど、啓発にも力を入れています。また、気軽に受診していただけるので、経過観察をしてから再度受診していただくなど、柔軟な対応も可能です。
高齢者医療にも力を入れていると伺いました。
【和洋院長】通所リハビリテーション施設を併設し、専門性を生かした認知症予防や機能回復を目的としたリハビリに力を入れたサービスを提供しています。腰痛といった整形外科の診療も行ってきたノウハウと経験を生かした個々のリハビリメニューにより、転倒骨折の予防や身体機能向上を図るとともに、認知症の管理・予防にも注力し、ご本人のQOLの向上や、介護するご家族の負担軽減などもめざします。また、私個人としては老人施設の嘱託医として、訪問診療も実施しています。
【洋介副院長】介護保険や公共サービスを受けられることをご存じない方も少なくないので、患者さんを適切なサポートにつなげられるようなご案内を心がけています。
最後に、読者の皆さんへメッセージをお願いします。

【洋介副院長】医療は進歩を続け、新しい治療も次々に登場しています。当院は街のクリニックですが、先進的な医療を積極的に導入し、基幹病院や他のクリニックとも連携しながら、専門性の高い医療を提供したいと考えています。そして、長く1人の患者さんと関わることができるのも、地域のかかりつけ医ならでは。例えば、若い頃は頭痛、年を重ねてからは認知症など、ライフステージごとに患者さんのお悩みに寄り添い、支えていきたいです。
【和洋院長】脳疾患の治療は「Time is money」。早期発見・早期治療が重要です。ネットの情報で不安になった、テレビの健康番組で自分に当てはまる気がしたなど、どんな小さなことでも構いません。何かあれば、気軽に相談にいらしていただきたいですね。