田代 英一郎 院長の独自取材記事
内科循環器科田代医院
(福岡市南区/大橋駅)
最終更新日:2026/07/30
西鉄大橋駅からバスで16分、若久バス停で降りて徒歩1分。住宅街の中にあるのが1962年に開業した「内科循環器科田代医院」だ。クリニックのメインとなる患者層は高齢者、中でも後期高齢者が3分の1ほどを占めるという。「むやみに薬に頼ることはしませんが、運動療法・食事療法を無理強いをすることもありません」と穏やかに語るのは、2代目院長である田代英一郎先生。福岡大学病院やアメリカで研鑽を積んだ後、2005年から院長を勤めている。「治療はドロップアウトせずに継続することが大事」とし、健康診断などで異常があった場合は早めの受診を心がけてほしいとも話す。高血圧の研究にも尽力してきた先生に、クリニックの治療スタンスや、患者へ伝えたいことなどをじっくりと聞いた。
(取材日2020年11月26日)
地域の患者の日常的な症状にも、しっかり向き合う
まずはクリニックの成り立ちからお聞かせください。

当院は父が1964年に開業しました。私はまだ幼かったのですが、当時はこの辺りも田んぼばかり、その中に家がぽつぽつとあるような場所で、だいぶ景観も様変わりしましたよ。開業当時は内科と小児科を標榜していて、地域の患者さんの症状を何でも診るという印象でした。私がここを継いだのは2005年のことです。福岡大学を卒業し、福岡大学病院に勤務したり、アメリカ留学中は高血圧の原因に関する基礎実験などを行っていました。クリニックに合流したのは院長を継ぐ1年前です。その頃は副院長として、父とともに当院の患者さんと向き合っていました。
クリニックを継いで10年以上がたちますが、患者さんの層は変化がありましたか?
やはり地域の方が多いですね。多くは高齢者、そのうち3分の1ほどは後期高齢者です。福岡赤十字病院、九州中央病院、福岡大学病院、九州がんセンターなどからご紹介されることもあります。依頼があれば訪問診療にも対応していますが、訪問診療は片手間でやれることではないですから、あくまでやれる範囲での対応になるので、メインは当院にいらっしゃる方の外来診療です。風邪や腹痛、頭痛、めまいなど、日々の生活で感じる体調不良を相談されることも多いですよ。地域のクリニックとして、患者さんの最初の相談窓口であるというプライマリケアの意識を持って診察を行っています。
先生は循環器内科を専門としていらっしゃると伺いました。

内科という大きなくくりの中で、心臓・血管をメインで診る循環器内科がある、という感覚ですね。定期的に通院している方も多く、高血圧、コレステロール、高脂血症、また糖尿病が関わる方もいます。通院のきっかけは健康診断だという方はやはり多いです。それ以外だと、自分で測ってみて高めだったので来てみたとか、身内やご親戚に脳卒中、狭心症の方がいるので自分も将来的にそうなるのだろうかと気になって来てみた、という方などもいます。
薬だけに頼らず、対話を通しオーダーメイド治療を実施
自発的な方もいらっしゃるんですね。実際にどのように診察や指導をなさるのでしょうか?

健康診断やご自身で変調を見つけたとしても、健診の時にたまたま血圧が高かったということもあるので、血液検査、心電図、レントゲン、そしてしばらくご自宅で血圧の記録を取ってもらうなどして、適切に診断をつけるようにしています。必要であれば薬は処方しますが、健診で高血圧を指摘されたからと、いきなり薬を出すことはほとんどなく、まずは「本当にその病気なのか」という点を見極めます。大学院でも「運動で血圧が下がるのか」といった運動療法の勉強などもしていましたから、運動指導をすることもありますよ。減量するだけで血圧が下がる方も多いんです。他にも、塩分の高い食事を続けているならば食事指導もするなど、お一人お一人に合った方法、お薬を選ぶようにしています。
むやみに薬を処方するというわけではないのですね。
そうですね。必要であれば使うけれど、やたらと処方するわけではない、というところは心がけています。薬に頼らずに改善できればそれに越したことはありませんから。とはいえ、最近は薬の選択肢も多くなり、適切に使用すれば長期間服用した場合の副作用も心配されるほど生じることはありません。高齢者であれば生活スタイルが固まっている方も多く、それまでの生活習慣を変えることを無理強いはできない側面もあります。無理を言っても、それで治療をドロップアウトしてしまうと元も子もないですからね。そういう場合は服薬による治療のほうが適していると考える場合もありますし、あくまで患者さんの生活に合わせた治療を行うようにしています。
クリニックごと、先生ごとに方法が違ったりすることもあるんでしょうか?

そうですね。私は運動療法を併用しながら、薬を使わず、もしくは少ない量から行うことを学んできました。診察で心がけているのは、普遍的なことですが、病気を見落とさないことです。血圧が気になるという方でもなるべく全身を診て、病気のヒントを拾い上げていきます。循環器の疾患は長期的に診ていく必要がありますから、患者さんだけではなく、私たち医療スタッフ側も根気強く付き合っていく意識が必要ですよね。一度来ていただければ、10年以上のお付き合いになることもあります。中には患者さんに対して厳しい対応をされる先生もいますが、患者さんがドロップアウトせずに安定した状態を保てることが大事だという考えで私は接しています。
体の変化を見逃さないよう、早めの対応を啓発していく
院内には銅像やお花などがあり、心が落ちつく空間になっていますね。

花は知り合いの花屋さんに頼んで、2ヵ月に1回の頻度で季節に合わせたフラワーアレンジメントを作っていただいています。銅像は、直方駅にある魁皇関の銅像の制作者の方の作品です。タイトルの「いのち」は私がつけたんですよ。クリニックを改装したのは父の頃でしたが、その頃からこのようなバリアフリー構造でした。スタッフの1人は父の代から20年以上働いてくださっている方ですし、その他のスタッフも長く勤めているので、患者さんもとても話しやすそうですね。
若い方でも循環器の疾患について意識をする必要はありますか?
若い方であっても、健診などで気になることがあればぜひクリニックに足を運んで医師に相談してもらいたいです。若いと、検査で異常があっても自覚症状はないということも多いですから。「これはどういう病気で、放っておくとどうなるのか」という点もきちんと説明しながら治療にあたっています。先程もお話ししましたが、身内に病気の方がいらっしゃれば身近な問題として感じられることもありますから、逆に身内に健康な方ばかりという方のほうが実感しにくい点もあるかもしれません。何にしろ、ご自身のことですから、ちゃんと受診されることをお勧めします。
最後に、読者へのメッセージをお願いします。

症状のある方をドロップアウトさせないことが大事ですから、今やっていることを充実させ、今後も患者さんをしっかり診ていくつもりです。循環器の専門としてお伝えしたいのは、「ちょっと動くと息切れが」「体がどうにもきつい」という症状は心臓からのサインの可能性が高いということ。小さな違和感を放っておかず、ぜひ早めに相談してください。当院でできることは一生懸命やりますし、他の病気があれば適切な医療機関をご紹介します。大きな病院では難しいスピーディーな対応が、地域のクリニックの役目だと感じています。早い段階で病気を見つけ、一人ひとりに合った方針、治療法を示していければと考えています。

