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松岡 正樹 院長の独自取材記事

長丘五丁目クリニック

(福岡市南区/西鉄平尾駅)

最終更新日:2022/09/12

松岡正樹院長 長丘五丁目クリニック main

西鉄バスの長丘五丁目停留所より徒歩1分の場所に「長丘五丁目クリニック」はある。日本肝臓学会肝臓専門医の松岡正樹院長が、同院を開院したのは1991年。実に30年もの間、地域の健康を守ってきた。松岡院長が開院から一貫して心がけているのは「必要のない治療や検査はしない」ということ。肝臓に関する研究やアメリカ留学、重篤な症例も診てきた総合病院での経験など、これまで培ってきた技術と知識で、内科、消化器、肝臓に関する疾患の見立てを行い、どうしても必要だと判断した場合に検査を実施するというのが一貫した診療方針。医師人生40年以上という豊富なキャリアを持つ松岡院長にこれまでを振り返ってもらいながら、クリニックの診療内容について語ってもらった。

(取材日2021年2月25日)

研鑽を重ねた医師人生。40年以上のキャリアを強みに

まずは、幼少期から医師を志すまでのお話をお聞かせください。

松岡正樹院長 長丘五丁目クリニック1

私は福岡の篠栗で育ちまして、幼少期は外で遊び回るような活発な子どもでした。その一方で、伝記などの本を読むのが好きで、医師になった人物の話もいくつか読んで感動しましてね。その頃から医師になりたいという夢を持っていました。そして医師への思いは中学、高校に行っても途絶えることなく、福岡大学医学部へ進んだんです。大学では卓球とテニス、そして軟式野球にも打ち込みました。というのが、私の代は2回生だったので運動部もほとんどなくて、自分たちがやりたい部を発足することができたんです。ですので、部活も楽しかったですね。卒業後は同大学の消化器内科で2年間研修した後、大学院へ進み、肝臓で生成される胆汁酸の研究に取り組みました。博士号を取得した後は総合病院勤務を経て、アメリカへ3年ほど留学をしました。

アメリカでも肝臓に関する研究を?

ええ。大学院で胆汁酸を学んだ時の教授がアルコールとの関わりに関心を持っておられ、アルコールでの肝臓疾患といえばアメリカのほうが症例数も多かったものですから、それならばとアメリカに留学したんです。当時、多種ある肝臓疾患の中に、アルコール性の「肝線維症」という疾患があり、日本にはなぜかその疾患を発症する人が多かったんです。きっとアルコール以外の要因もあるはずだと思い、それを調べていくうちに、TGF-βというのが起因していることにたどり着いたんです。留学はそのような理由でしたが、そもそも肝臓に関心を深めたのは、当時、肝臓疾患は21世紀の国民病ともいわれていたことがきっかけでした。そうであれば詳しく学んでおきたいと思い、肝臓について学ぶことにしたんです。

帰国後はどのような活動をされたのでしょう。

松岡正樹院長 長丘五丁目クリニック2

また大学病院に戻りまして、大学に残るか開院するかのどちらかを考えた結果、1991年にここで開院する道を選択しました。当時、この南区長丘エリアには、内科のクリニックがほとんどなかったんですね。ですので、毎日多くの患者さんがおみえになりました。30年の間にクリニックも増えていきましたが、今も開院当初から来られている方が多くおられます。ですので、患者さんは高齢の方が多いのです。一方でこの辺りは住宅が多くファミリー層もたくさん住んでおられるので、親御さんと一緒にお子さんも診察するようなケースもあります。ただ、3歳以下のお子さんについては、近くにある小児科専門の医院をご案内するようにしています。

専門の肝臓に限らず幅広く診療。在宅医療にも取り組む

ご高齢の患者さんは主にどのような症状で来院されますか?

松岡正樹院長 長丘五丁目クリニック3

やはり多いのは認知症です。あとは脳卒中、心筋梗塞、糖尿病、生活習慣病も目立ちますね。専門の肝臓に関しては、会社や自治体での健康診断で気になる数値が出ている方などが、検査結果を持って来られるケースが多く見られます。それから、今はずいぶんC型肝炎の方は減りましたが、近隣クリニックからの紹介で来られる場合も。このように近隣の医師同士が、それぞれの専門分野を把握し、連携をとって診療にあたっています。また、毎年大腸がんや胃がんなどを調べるために内視鏡検査を受けに来られる方もいますし、同じ高齢の方であっても、来院される理由はさまざまですね。

大腸内視鏡検査は土曜に実施されているそうですね。

ええ。大腸内視鏡検査は私の息子が担当しています。今、大学病院の消化器内科にいまして、土曜のみこちらで診療にあたっています。私も7月で70歳ですので、間もなく息子に継承する準備を始めようかと考えている最中でしてね。息子は春からまた別の大腸に関する疾患が専門の病院へ移動して、2年ほど経験を積む予定なんです。ですので、本格的に考えるのはその後になるかと思いますが、地域に密着して30年続けてきましたから、クリニックを継承してくれる息子がいるというのは心強いですね。私ももう少し頑張らなければなりません。検査でいうと、今は新型コロナウイルスのPCR検査を車中で行い、その結果をフィードバックするということも行っています。このように、肝臓に限らず、必要な場合はさまざまな検査にも対応しています。

幅広い診療内容ですが、在宅医療にも対応されているとお聞きしました。

松岡正樹院長 長丘五丁目クリニック4

はい。訪問診療に関しては、ずっと通院されていた方が主で、来院が困難になった場合に応じているのですが、中には人づてに話を聞いてどうしてもというケースもあります。開院からの患者さんはずっと診てきていますので、安心されるのかやはり喜んでくださいますね。ただ、在宅医療は状態によって在宅専門の医師のほうが良いと判断した場合は無理に診ようとせず、専門の医師に委ねます。とはいえ、患者さんの想いもありますから、できるだけお気持ちを優先できるように努めています。

多職種が連携したチーム医療の構築と継承をめざす

患者さんとの関わりが深いだけに、この地域には強い思い入れがおありでしょうね。

松岡正樹院長 長丘五丁目クリニック5

それはもう。30年ですからね。開院当初は小さな子どもだったのに、今では親になり子どもがいますから。カルテの年齢を見て、「もうそんな年齢に?」とびっくりすることもあります(笑)。それだけ地域の方と密に関わってきました。だからこそ、患者さんには無駄な出費をさせたくないという想いが非常に強いですね。これはずっと変わらないです。わかりやすくいうと、患者さんのプラスにならない治療や検査はしないということ。隅々まで細かく検査することも時に必要です。しかし、それは必要と判断した場合のみ。患者さんの訴えや状態を診れば、急を要するか否か、おおよそのことが予測できます。そうなるために、多くの研鑽を積んできたわけですから、これまで培ってきた技術と知識が私の医師としての強み。不要なことは一切しません。

その診療方針は、今後息子さんにも継承されるのでしょうか。

そうですね。今はまだ紙カルテでやっていますが、息子の代では完全に電子カルテの時代になるでしょうから、新しいものも取り入れる中で診療の仕方にも変化が出てくると思います。しかし、地域の方と向き合う姿勢に関してはしっかりと引き継がなければと考えています。この地域も高齢化が進んでいますので、ご高齢の方、認知症の方が利用できる施設や集えるカフェのような場所が増えてきました。クリニックだけでなく、そういった施設とのつながりもできていますので、認知症をはじめ、ご高齢の方があふれないよう地域全体が取り組み、安心して集える場所をつくっていく必要があります。それが可能となる体制を構築していくのが、これからの私の課題だと考えています。

今後の展望と、読者へのメッセージをお願いします。

松岡正樹院長 長丘五丁目クリニック6

今後めざすのは多職種が連携したチーム医療の構築です。多職種連携は当院だけでなく、すべてのクリニックにおいて必要です。それだけ、今後は高齢者の居場所がない状況になりかねません。ですので、すべてを抱え込まずに、多職種とのつながりや連携に重きを置く。そんなクリニックでありたいと考えていますし、そうなれるよう次の代へ継承していきたいです。その一方で、地域の方には自分自身で自らの健康に気を配ることの重要性をお伝えしたいですね。昔から脂肪肝の方は多かったのですが、いまだに減りません。脂肪肝は、肝臓がんや肝硬変につながります。残念ながらそのことを知らない方が多いのも事実。年齢を重ねるごとに麺類やご飯の量を減らし、バランスの取れた素食を心がけていただきたいです。「もう一口」というのをやめること。まずはそこから始めてください。

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