長村 俊志 院長、馬場 三男 先生の独自取材記事
長村医院
(北九州市八幡東区/スペースワールド駅)
最終更新日:2021/10/12
地域の健康を守り続けている「長村医院」は、2006年に継承した長村俊志院長で3代目だ。院長就任以来、先代の長村之朗現理事長とともに幅広い疾患に対応。消化器を専門とする長村院長は、得意とする上部・下部内視鏡検査、炎症性腸疾患診療に力を入れている。2015年からは、済生会八幡総合病院で定年まで勤め上げた馬場三男先生が加わり、専門である循環器の診療と、精度にこだわったエコー検査を実施。見つけづらい部位の病気に対し、両者で連携しながら正確かつ的確な検査と診断で早期発見・早期治療をめざしている。地域医療に深く貢献する長村院長と馬場先生に、同院の診療の特徴について詳しく聞いた。
(取材日2021年8月5日)
消化器と循環器、互いの専門を生かし幅広い診療を実現
まず、お二人のご経歴をお聞かせください。
【長村院長】大学卒業後に救急救命医療に携わり、松山赤十字病院で研鑽を積んだ後、済生会八幡総合病院へ移りました。この長村医院は、初代院長である祖父の代には呼吸器を、父の代には糖尿病を専門としており、今はそれらを含めた総合的な内科診療に併せて、私の専門である消化器の診療を行っています。
【馬場先生】私は長年、済生会八幡総合病院で循環器を中心に総合診療を行ってきました。特に超音波検査を40数年前から学び、早い時期からエコー検査を行ってきました。北九州の開業医の先生方からの要請があり、エコー検査を指導する勉強会を主宰する際に長村理事長にお世話になりました。また済生会八幡総合病院で長村院長と一緒に働いたご縁があり、2015年よりこちらに勤務することになりました。
それぞれ専門の異なるお二人が一つの医院で診療を行う強みは何でしょう?
【長村院長】エコーと内視鏡検査で腹部全体を見られる点です。内視鏡は実際に消化管の中を見ることができますが、体調が悪い人には負担がかかることもある。そのような場合は馬場先生がまずエコー検査を行って、必要に応じて内視鏡へと進みます。一つの医院で段階を踏みながら詳しい検査を進めていけることが一番の強みですね。
【馬場先生】腹部疾患に関しては、消化管を2人で診ることができるため、診断の精度も高められると思います。エコー検査は体に大きな負担をかけず、多くの人が抵抗なく受けられるのがメリットでしょう。自覚症状のない患者さまの、腫瘍や病変を見つけられるケースも多くあります。
部位によっては検査で発見しづらい病気もあると聞きます。
【馬場先生】エコーは血管や心臓、腹部でも隔たりなく見ることができる有用性の高い検査です。しかし、検査を行う人の技術によって病変を見つけられるかどうかの差が出ることもある。だからこそ「絶対に見つけてやるぞ」という気概を常に持っています。私は診断学が得意なので、最新の情報を常に取り入れること、全身を総合的に見て正しく診断することを第一に掲げています。
【長村院長】上部・下部内視鏡検査はできるだけ患者さまの苦痛を少なく、早期発見・早期治療を強く意識しています。私たちが大切にしているのは、患者さまが信頼を寄せられる安心感と検査レベルの高さです。検査技術と診断能力の高さは2人ともに自負している部分でもありますので、どんなに小さくても痛みや違和感があれば、受診科を気にせず気軽に相談していただきたいですね。
受診科に迷う人が頼れる、起点医院として機能したい
受診科に迷ったとき、すぐ相談できるのは心強いですね。
【長村院長】エコーの診療は部位ごとに担当の科が異なるのですが、馬場先生は全身を見ることができるので、そのおかげでもあります。中には「簡単に病院に行ってはいけない」と思っている人もいますが、むしろ逆。病気は早く見つければ、それだけ治療も軽く済みますし、体にかかる負担も減らせます。小さな違和感のうちに受診することこそが最善です。
【馬場先生】患者さまご自身で、痛みがどの臓器から発しているかなんてわかりませんからね。まずは検査を受けていただくことが先決。女性の場合は婦人科疾患の可能性も考えて下腹部までエコーを行うように心がけています。検査の結果を精査し、受診すべき科がどこに当たるのかを的確に振り分けて、次の診療ステップへつなぐのが私たちの役目です。
他の医院や基幹病院との連携も密に取っておられるのですね。
【長村院長】良性腫瘍で早期発見なら院内での内視鏡下治療も可能ですが、少しでも大きさがあれば、軽く見ず総合病院へ紹介しています。地域のかかりつけ医としては「抱え込みすぎない」ことも大切ですから。決して無理をして検査・治療をするようなこともしません。患者さまに最良、最善の診療を受けていただくために、自分の分を超えず地域の病院と良い関係を保っています。
【馬場先生】長村先生が消化器を、私が循環器とエコー検査を担当して、発見が難しいとされている、胆嚢がんや膵臓がんを早期に発見するよう努めています。高齢者の多い地域ですから、「夜中にドキドキすることがある」という主訴で来られた方に心不全が見つかるようなケースも少なからず考えられます。これまでも、重篤な病気を発見したら素早く総合病院へ患者さまを紹介することを心がけてきました。
救急対応も多いのですか?
【長村院長】結構あります。例えばアナフィラキシーの方が「どうしても先生たちに見てもらいたい」と苦しさを我慢して車を運転して来て、到着した途端倒れられたことがありました。信頼していただくことはうれしいのですが、一刻を争う場合もありますから、急な体調変化があった場合は来院する前に電話で相談してくださいとお伝えしています。持病がある方には緊急時の対応もお教えします。
【馬場先生】アウトドアの流行で虫刺されによるアナフィラキシーを起こすケースが増えていまして、時には山へ行く際の服装や行動などをレクチャーすることもあります。インターネットではさまざまな医療情報が読めますが、残念ながらすべてが正しいわけではありません。危険性がある場所へ行く前に、病院で正しい情報を聞いておくことも立派な病気の予防につながると思います。
これからの10年を健康に過ごすため、健康に意識を
健康のために、日頃からどんなことを意識すればよいのでしょうか?
【長村院長】腹痛や下痢、便秘、排便時の出血など自覚症状があれば早めに受診することです。内視鏡の検査を怖がる人もいますが、希望される患者さまは鎮静下に検査をすることも可能です。初回の検査結果をベースとして次の検査の必要性が判断できるので、ぜひ臆せず来ていただければと思います。高齢になると悪性腫瘍のリスクが高まりますから、特別な検査を受けるというのではなくても、血圧チェックを続けたり、時には採血や採尿の検査を受けて肝機能や腎機能の変化を確認したりすることが大切です。高齢者は病気を悪化させない、できるだけ長期入院させないことが体力維持に大きく関わります。これからの10年を元気に過ごしていただくためにも、健康に意識を向けていただきたいですね。
地域医療への思いをお聞かせください。
【馬場先生】かかりつけ医として、地域の信頼を得ることが一番大事だと考えています。そのベースになるのが医療技術。長村先生は内視鏡で、私はエコーで、互いに信頼し合える技術レベルを保つ努力を今も続けています。「なんとしても患者さまの命を守る」という強い気持ちですね。今は医学の進歩が目覚ましく、高血圧治療や糖尿病治療などはこれまでとまったく違う薬が出てきています。私も長村先生もたくさんの経験を積んできましたが、ここからさらに学び、一番新しい知識を得て、地域へ還元し続けていきたいです。医療用語は難しいものも多いので、わかりづらいときは何度でもご説明します。なんでも遠慮せずに聞いてください。
読者へのメッセージをお願いします。
【長村院長】検査は病気を見つけるためだけでなく、「何もないことを確認するため」に受けるものでもあります。私たちを相談相手だと思って、少しでも気になることがあればお気軽にご来院ください。そして、検査を受けて何か見つかったときには絶対に放置しないこと。自己判断をせず、一緒に治療を頑張りましょう。
【馬場先生】高齢者に多い病気は、若い頃からに上手に予防ができず積み重ねで起きているケースも少なくありません。そうならないように、いつでも頼ってほしい。救急医療をしっかり学んだ2人の医師が、それぞれの専門的知見を持って丁寧に診療を行っていますので、どうぞ信頼していらしてください。