具嶋 正樹 院長の独自取材記事
ぐしま胃腸内科クリニック
(北九州市小倉北区/南小倉駅)
最終更新日:2024/12/24

南小倉駅から北へ11分ほど歩いた原町にある「ぐしま胃腸内科クリニック」。1951年から70年近い年月、地域住民の健康を守ってきた「具嶋医院」を継承した具嶋正樹先生が、2020年にリニューアルしたクリニックだ。具嶋医院が培ってきた地域医療を引き継ぎ、内視鏡検査や治療もできる設備を整えて新たな開業となった。大きな窓のある待合室は明るく、院内は広々とした空間だ。具嶋院長は、基幹病院で潰瘍性大腸炎やクローン病といった炎症性腸疾患や、内視鏡診療に長く携わってきた経験豊富な医師。昔から通う近隣患者に加え、具嶋院長を頼って遠方から訪れる患者も多いという。笑顔を絶やさず質問に答える具嶋院長に、クリニック継承の経緯や同院の診療内容ついて語ってもらった。
(取材日2024年10月2日)
患者の話をしっかりと聞き、聴診器を当てて丁寧に診察
地域で70年以上続く内科医院を継承されたそうですね。

前身は、私の祖父が1951年にこの場所で開業した「具嶋医院」です。その後1985年に父が継承し、内科と小児科の診療を行っていました。周囲に医療機関も少なかったこともあり、患者さんがとても多かったですね。いわゆる「町医者」で、患者さんから電話がかかってくると、夜間も往診に出かけていました。そのような祖父や父の姿を見ながら育ち、私も患者さんの力になれる医師になりたいと、子どもの頃から思っていました。2020年に私が継承するにあたって、自分がこれまで基幹病院で携わってきた内視鏡診療も行うため、クリニックを建て替え「ぐしま胃腸内科クリニック」に名称を変更したのです。
消化器内科を専門分野に選んだ理由を教えてください。
クリニックを継承するか決めかねてはいたのですが、祖父と父が内科の医師であったこともあり、内科を選びました。将来的なことも考え、手技ができる循環器内科か消化器内科を候補にしていたところ、九州大学の病態機能内科に見学に行った際に、内視鏡や胃透視の所見を細かく読影したりディスカッションしたりしながら診療している姿を見て、ここで学びたいと思いました。その後は、大学病院や地域の基幹病院で消化器疾患を中心とした内科の医師として勤務しました。また、九州大学大学院での潰瘍性大腸炎の発がんに関する研究や、下関市立市民病院時代に、肺炎などの呼吸器疾患の経験を積んだこともクリニックでの診療に役立っています。
診療において心がけていることは何ですか?

父も診療を続けていて親子で診療していますが、きちんと患者さんと向き合って診察をする父の姿勢に感心します。総合病院で働いていると、すぐに検査へ進んでしまいがちなので、見習う点は多いですね。私も、患者さんの話をじっくり聞いて、聴診器を当てながら丁寧な診察を行うことを心がけています。その上で必要な検査を絞り込み、選択肢を示して、患者さんと話し合いながら治療を進めています。患者さんは症状を心配して来院されているのですから、その気持ちに寄り添いながら、適切にアドバイスしていきたいですね。祖父や父の診療姿勢を継承し、かかりつけ医としての役割を果たした上で消化器内科の専門的な治療も行っていきたいです。
消化器内科での経験を生かした内視鏡検査
患者さんの層や症状について教えてください。

クリニックの周囲は古くからお住まいの方が多いのですが、少し離れるとマンションが立ち並んでいて転勤族や若い方が多い地域で、年齢層も幅広いです。ウェブ予約もできるようになったので、若い方が増えました。高齢者もご家族に予約してもらって来院される方もいらっしゃいます。もちろん、発熱や腹痛などの当日来院も受けつけていますのでご安心ください。疾患としては、60代以上の方の生活習慣病をはじめ、発熱や風邪などの一般内科的な症状や、感染性の胃腸炎や過敏性腸症候群などの胃腸疾患、中には病名がわからなくて、いくつかの医療機関や診療科を転々としてきた初診の方もいらっしゃいます。また、胃腸内科ですので、定期的に内視鏡検査をされる方も増えてきました。
こちらで行う内視鏡検査の特徴について教えてください。
当院では、胃と大腸の内視鏡検査を行っています。鎮静剤を使用し、眠ったような状態で検査を受けられるため、患者さんの負担が少ないのが特徴です。日帰りの大腸ポリープ切除手術にも対応しています。眠った状態で診療するとはいえ、医師の技量は重要です。私自身も時々鎮静剤なしで内視鏡検査を受けることで、身をもって患者さんの立場を体験し、スキル向上に努めています。胃については、経鼻内視鏡も選択できます。以前の経鼻内視鏡に比べて画質が数段向上し、診断の精度は経口内視鏡と遜色ない機材を導入しました。大腸内視鏡検査は下剤を服用しなくてはならないので、事前にクリニックにお越しいただく必要がありますが、胃については絶食されていれば当日検査もできる限りお引き受けしています。内視鏡検査で問題がないけれど超音波検査をしてみたら胆石が見つかるケースもありますから、患者さんと相談して検査などを選択していきます。
先生自身も検査を受けて、内視鏡の勉強をされているのですね。

検査は他院の先生にお願いするのですが、私の場合、鎮静剤を使わずに受けるんです。なぜかというと、患者さんがどんなときに不安を感じるのか、どういう手技だと苦痛を感じにくいのか。受検者としての自分の実感や経験を、患者さん目線に立った、患者さんに寄り添った検査を行うために役立てたいからなんです。こうした取り組みは、検査をしてくださる先生との情報交換の機会にもなりますが、消化器内科に限らず、地域のさまざまな診療科の先生方との交流も日頃から注力しています。必要に応じて信頼できる先生に患者さんを紹介できるよう、勉強会などいろいろな集まりに参加し、顔の見えるスムーズな連携体制づくりに努めています。
専門性に偏らず、内科の相談に幅広く対応する
潰瘍性大腸炎やクローン病といった炎症性腸疾患の治療経験も豊富だとお聞きしました。

最後にいた下関市立市民病院には7年間勤務し、消化器内科の科長も務めました。そこで潰瘍性大腸炎やクローン病の患者さんを数多く診療しました。潰瘍性大腸炎やクローン病は、一生付き合っていくことになる病気です。若い人だと10代から発症し、学校生活や就職、出産といったライフイベントも、体の状態を考慮しながらということになります。患者さんとは長期にわたってさまざまな悩みを共有しながら治療を行い、やりがいを感じていました。そのまま勤務医を続けることも考えましたが、開業医であれば一人ひとりの患者さんと近い距離で疾患の管理ができると考え、当院を継承しました。継続治療が必要な潰瘍性大腸炎の患者さんなどは、今も下関市や門司区など各地から来院してくださっています。また、下関市立市民病院時代には救急患者さんもたくさん診ていたので、肺炎などの呼吸器疾患の経験を積んだことも、クリニックでの診療に役立っています。
クリニックを建て替えた際に、こだわった点はありますか?
院内はバリアフリーにし、待合室の窓を大きくして明るい雰囲気にしました。設備は、ハイビジョン画像の経鼻内視鏡など先進のものを導入しています。大腸内視鏡検査では事前に下剤を服用していただくのですが、家で一人で飲むのが心配なご高齢の方や、遠方の方のために前処置室も設けました。安心してクリニックで下剤服用ができる体制です。高齢の方の見守りのしやすさを考えて個室にはしていませんが、新型コロナウイルス感染症流行以降は前処置室の利用者が重ならないよう予約を調整しています。内視鏡検査が終わった後はそのままストレッチャーで移動できるよう、動線に工夫をしたり、床にコンセントなど引っかかる物がないようにしたりしています。また、安心してご来院いただけるよう、診察室や受付、廊下、各所に換気システムを設けるなど、感染症対策を意識した設計です。
最後に読者へのメッセージをお願いします。

祖父の代から地域医療に携わってきたクリニックなので、今後も専門医療に偏るのではなく幅広く診る医師として貢献していきたいですね。消化器の病気については長年、さまざまな疾患を診てきた経験もあるので、当院でできること、すぐに紹介すべき症例の判断は迅速に行いますし、どのような症状でも、できるだけ丁寧にお話を聞いて対応したいと思っています。どこへ相談していいのかわからない方も、ぜひお気軽にご相談ください。
自由診療費用の目安
自由診療とは胃内視鏡検査/1万5000円~