山田 瑞穂 院長の独自取材記事
山田内科クリニック
(松山市/松山市駅)
最終更新日:2021/10/12

松山市駅から歩いて5分という好立地にある「山田内科クリニック」。周辺はオフィスビルも多く、地元の住民だけでなく仕事帰りの会社員や若い女性の受診も多い。愛媛大学医学部を卒業後、済生会松山病院で勤務医をしていた山田瑞穂先生は、父親から同クリニックを継承し、今年1月に院長に就任。内科医師として風邪や腹痛、生活習慣病などの外来診療に加え、訪問診療にも注力。特に訪問診療においては、看護師やケアマネジャーと一丸となったチーム医療で患者一人ひとりの健康状態を見守る姿勢を大切にしている。「地域に根差したホームドクターとして、愛媛の地域医療に貢献できれば」と話す山田院長に、今後の診療における展望や患者への想いを聞いた。
(取材日2020年7月4日)
父の想いを受け継ぎ、ホームドクターを継承
前院長のお父さまの後を継いで院長に就任されたと伺いました。

そうなんです。もともと当院は祖父と父が1993年に開業し、昨年までは父が院長として診療を続けていました。私は大学卒業以来、5年間済生会松山病院に内科医師として勤務していたのですが、父が体調を崩してからは、勤務医をしながら週に1度、当院で父と一緒に診療をしていたんです。そして昨年の秋頃に父が入院したことで、正式に院長を引き継ぐことになりました。まさかこんなに早く継承するとは思っていなかったのですが、以前から父には「継いでほしい」ということを言われていましたので、診療を止めることなく引き継ぐことができたことは良かったのかなと思います。
お父さまの影響を受けているところはありますか?
今も「大先生は?」と訪ねて来られる方もいらっしゃいますし、長年受診されている地域の患者さんの中には、父を慕ってくださっている方もいて、父がしていたことは地域医療に貢献していたんだなと感じました。父は結構厳しい人でしたので、患者さんにもはっきりと言うタイプだったのですが、そこを信頼して来てくださっていたのかなと。そういう関係性は理想的だなと思いますね。
来院される患者さんの年齢層や、多い症状はいかがですか?

周辺の環境が変わったことで、患者さんの層も随分変化しています。開業当初、この辺りは住宅が多かったので地元の患者さんが中心だったのですが、最近は周辺のオフィスビルから仕事帰りに受診される若い世代の患者さんも増えました。受診理由としては、風邪や腹痛などの一般的な症状で受診される方、定期的に通っている方は高血圧や糖尿病などの生活習慣病が多いですね。また、当院ではプラセンタ注射を行っており、更年期障害でお悩みの40代から50代の女性の患者さんも増えてきています。このほか、学校や企業の予防接種や健康診断にも対応している関係もあり、年齢層はかなり幅広いと思います。
早期発見・早期治療で患者の健康を守る
診療の際に心がけていることはどんなことでしょうか?

当たり前のことですが、患者さんの話をよく聞くことですね。特に生活習慣病は、普段の生活を知ることが重要ですから、まずは患者さんの話をしっかりと聞いて、悩みや診てもらいたいことを察知するようにしています。そして、ホームドクターという身近な存在として、いち早く病気を見つけることが私たちクリニックの医師の使命だと思うんです。最近は若くても生活習慣病を患っている方が増えているので、できるだけ早く見つけて、治療につなげていただきたい。とはいえ、治療を受けるかどうかは患者さんの意思次第でもありますので、決して強制することはありませんが、ご自身の状態を知っていただく機会になればと思っています。その一つの方法として健康診断も積極的に受け入れています。
先生は今も済生会松山病院で外来を担当しているそうですね。
週に1度、当院の休診日に済生会松山病院の外来を担当しています。勤務医時代から診ている患者さんを引き続き担当させていただくこと、また勉強の意味も含めて、今後も外来勤務は続けていきたいと考えています。糖尿病が専門の先生に相談ができたり、さまざまな分野の先生方から最新の医療に関する情報を聞いたりすることで、当院を受診してくださる患者さんの診療にも役立てられることがあると思います。より踏み込んだ検査が必要な方、入院の必要がある方はすぐに紹介することもできますので、総合病院との連携は大切にしています。
特に力を入れている治療はありますか?

外来診療はもちろんですが、これからは訪問診療により力を入れていきたいと考えています。私はもともと勤務医の仕事が好きでしたが、それは外来で患者さんを迎えるだけではなく、入院患者さんのもとを訪ねていくという感覚が好きだったということもあるんです。また、チーム医療の一員として患者さんと関わっていくことにやりがいや楽しさを感じていたというのもありますね。訪問診療でも、ご本人はもちろんご家族と真摯に向き合い、訪問看護師やケアマネジャーなどコメディカルの方とも協力し合う、チーム医療体制で取り組んでいきたいですね。そして医師もコメディカルの方も垣根なく、なんでも相談しあえる関係をめざし、一人の患者さんをみんなで見守っていく姿勢を大切にしていきたいと思います。
気軽に受診できる町のクリニックをめざす
患者さんと接する中で、喜びを感じる瞬間とは?

何年か同じ患者さんを診ていると、私自身に親しみを感じて来てくださる方も増えてきて、それは医師としてたいへんうれしく思いますね。何が悪いということよりも「先生と話したかったので来ました」と言ってくださって。来られた時はつらそうにされていた方も、お話をして、検査の数値などもお見せして「お変わりないですよ」とお伝えすると安心して表情が和らいでお帰りいただくとか。そういう患者さんの表情を見ると、こちらもうれしくなります。中には、お会いするたびに、私の体を必ず触って帰る患者さんもいらっしゃいました(笑)。
お忙しい日々だと思いますが、余暇の楽しみはありますか?
ボストンテリアの子犬を飼いはじめたので、今はその子と遊ぶのが一番の楽しみですね。携帯電話で自宅の犬の様子を見守ることができたり、遠隔で餌をあげられたりする機械があるらしいので、それを設置して診療の合間にワンちゃんの様子を見て癒やされようと思っています。また父は生前ロードバイクに凝っていて、病院の至る所に自転車が置いてあったのですが、そのうち1台を継承して乗っています。ただ、私はレースなどに出るわけではないので、街乗り用にダウングレード(笑)。普段の移動に使っています。
最後に、今後の展望と読者へのメッセージをお願いします。

もちろん地域に根差したホームドクターとしてやっていきたいという思いが一番ですが、近年は周りの環境も随分変わってきています。ですからこの地域だけに縛られず、訪問診療を通して、より幅広いエリアの患者さんのために力を尽くしていきたいと考えています。当院では、風邪や腹痛などの症状をはじめ、生活習慣病、更年期障害、疲労が蓄積されている方など、不調やお悩みを抱えている方に気軽に来ていただけるようなクリニックをめざしています。私自身とてもフランクな人間ですから、気兼ねなく、どんな小さなお悩みでも、なんでもお話しいただけたらうれしいです。