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大西 健司 所長の独自取材記事

城北診療所

(松山市/本町六丁目駅)

最終更新日:2021/10/12

大西健司所長 城北診療所 main

ログハウス風のアットホームな雰囲気の建物が目を引く「愛媛医療生活協同組合 城北診療所」。大西健司所長は、麻酔科医師として四国の病院に勤務後、松山市内で開業。2017年に現職に就任した。地域のかかりつけ医として一般的な内科を中心に幅広く診療する。同診療所の特長を尋ねると「建物もスタッフも温かいところ」とにっこり。自身も「まごころ診療」を大切にしているという。その言葉どおりインタビューも終始和やかな雰囲気に包まれた。さまざまな経験を生かしながら地域密着の医療を展開する大西所長に、所長就任までの経緯、診療方針、モットーなどじっくりと聞いた。

(取材日2020年2月22日)

心が通う「まごころ診療」をテーマに掲げて

城北診療所の所長に就任するまでの経緯を教えてください。

大西健司所長 城北診療所1

徳島大学医学部を卒業後、麻酔科に入局し、痛みに対する診療を専門的に学びました。そして、麻酔科医師として愛媛と香川の病院に勤めた後、松山市内で開業しました。そこで26年間診療を続けましたが、そろそろリタイアしようと思って、介護老人保健施設に勤め始めたんです。いろいろ勉強させていただきましたが、5年ほどたってもう一度医師として外来診療をしてみたいと思うように。僕がライフワークとして取り組んできた痛みの診療や漢方の経験を生かしながら診療できる場を探していたところ、この城北診療所に巡り合ったというわけなんです。

こちらはどのような診療所なのでしょうか。

愛媛医療生活協同組合を母体とする医療機関の一つになります。予防接種や健康診断など保険診療以外で組合員価格になるところが一部ありますが、組合員の方だけでなくどなたでも受診していただけます。診療内容は一般内科を中心に、高血圧、糖尿病、高脂血症、肥満症などの生活習慣病、花粉症などアレルギー性疾患、認知症などの治療、禁煙治療、漢方薬を取り入れた治療、痛みのケアなどで、いわゆる地域のかかりつけ医のような存在として幅広く対応しています。エコー検査、動脈硬化測定、骨密度検査など各種検査も行っており、異常が見つかった場合などは連携している地域の病院にご紹介する体制を整えています。

城北診療所の特長を教えてください。

大西健司所長 城北診療所2

一言で表すなら「温かい」ですね。まず、建物がログハウス風で温かい感じがしませんか。実は僕は昔からログハウスに住みたいと思っていて、こちらに来た時、この建物を一目見てうれしく感じました。木の風合いが優しく心地いいんですよね。スタッフたちも温かいですよ。薬剤師、看護師、事務スタッフが在籍していますが、患者さんに対しては同じ目線で話をしてくれるなど、随所に優しさを感じます。僕自身も「まごころ診療」をテーマに掲げて、温かい診療を心がけています。また、診療だけでなく企業健診や特定健診など健康診断にも力を入れていて、スタッフ全員で結果をできるだけスピーディーにお返しして、健康相談に結びつけるように努力しています。

生活習慣病予防のためにはまず禁煙を

患者さんはどのような方が多いですか。

大西健司所長 城北診療所3

僕が赴任してきた頃は、生活習慣病を中心に診ていたこともあって70歳前後の方が中心でした。ただ、ここは地域に根差した診療所ですから若い方にも来ていただきたいということで、糖尿病や高血圧などの生活習慣病の他、花粉症などのアレルギー性疾患や喘息、軽い疼痛性疾患にも力を入れるようにしたんです。そうしたら若い世代の方も少しずつ増えて、平均年齢が5歳ぐらい下がりました。以前開業していたのは松山市内中心部の大手町で、患者さんは近隣で働いている方が多かったのですが、当院では地元にお住まいの方が多く、まさに地域密着型ですね。慢性的な病気の方には定期的に来ていただいて、経過観察や長期的なフォローができるというのは、大きなメリットですね。

生活習慣病の診療に力を入れているそうですね。

生活習慣病の多くは、動脈硬化を進行させるものです。動脈硬化は、言い換えれば血管の老化です。そして僕は、生活習慣病の最も大きな要因は喫煙だと考えているのです。喫煙をやめない限り、お薬を飲むなどしてもあまり良い結果は期待できないといえるでしょう。禁煙は肺がん予防だけでなく、動脈硬化予防においても重要な意味を持っています。最近は禁煙をサポートするための内服薬もありますので、禁煙を希望される方はぜひご相談ください。

痛みに対するケアはどのように行っていますか。

大西健司所長 城北診療所4

慢性疼痛に対しては、病院に勤めていたときは神経ブロックだけを行っていたんです。痛みの悪循環を遮断するという意味では神経ブロックは有用だと思いますが、合併症などのリスクが伴いますので、長期にわたって続けるわけにはいかないと限界を感じました。そこで、レーザーと電気治療器を用いる方法に加えて、漢方薬で冷えを取っていき、体質改善を促しながら西洋薬の鎮痛剤を減らしていく、という方法を取るようになりました。西洋薬の鎮痛剤を飲み続けると、胃腸を壊したり血圧の薬の作用に影響を与えたりすることもあるんですね。このあたりのバランスをうまく取りながら、これらを組み合わせて対処していくようにしています。

モットーは「できることから取り組んで継続すること」

高齢者の健康のために大切なことはなんだと思われますか。

大西健司所長 城北診療所5

特に大事なのは食生活だと思います。お肉を控えてお魚を中心に取っていただきたいです。良質なタンパク質を摂取するために牛乳や豆乳、ヨーグルトもお勧めです。運動を日常化することも大切ですね。運動といっても腕を振って少し早歩きするくらいの軽いもので大丈夫です。ご高齢の方は青信号の間に横断歩道を渡り切れるぐらいのスピードをめざしましょう。あとタオル体操もお勧めしています。それから、脳を刺激するという意味で、毎日少しでも会話をすること。これは認知症や引きこもりの予防になります。そのためには健康教室や趣味の集まりなどに参加して社会的なつながりをつくることも大切です。これらが「フレイル」の防止につながります。また、短い外来の診療中には伝えきれないことを、各地域の健康教室で伝えるべく出かけています。

やりがいを感じるときや印象に残っている患者さんについて教えてください。

患者さんにあるお薬を処方したら、次に来られたときに「先生、あの薬良かったわ」と言ってくださったときはうれしかったですね。いつも来られている患者さんでも、毎回同じということはありません。大変なときやつらいときもある中で、患者さんの笑顔が見られたときは、やはりやりがいを感じますね。また、印象に残っているのは、慢性副鼻腔炎、いわゆる蓄膿症で長年悩んでいた患者さんのことです。ある漢方薬を処方したところ、たいへん喜んでいただけたのです。漢方はライフワークとして力を入れている分野でもありますので、特に印象に残っています。

今後の展望をお願いします。

大西健司所長 城北診療所6

僕のモットーは「できることから取り組んで継続すること」です。現実的にできることから始めて、時々振り返って、できたことはきちんと評価する。そして、できることを積み重ねて続けていくということですね。これは健康管理においても欠かせないと思うんです。例えば、健康のための工夫を試して生活が少しでも改善したと感じられたら、また次もやってみようとなりますよね。そういう好循環を僕たち医療スタッフがつくっていければと考えています。当診療所では、毎年目標を決めて健康への取り組みを行っているのですが、今年は「骨粗しょう症を減らそう」を掲げて頑張っています。今後もさまざまな取り組みを行い、地域の皆さんの健康に少しでもお役に立てたらと思っています。そして僕としても、この地域の患者さんからいろいろ学びたいと考えています。よろしくお願いします。

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