田原 達哉 理事長の独自取材記事
医療法人社団 田原内科医院
(高松市/林道駅)
最終更新日:2026/09/30
「田原内科医院」は、高松市中心部の松縄町、レインボー通り沿いにある有床診療所。1980年に前理事長が開設して以来、45年にわたり地域に根差した医療を続けてきた。その歩みを2代目として受け継ぐのが、理事長の田原達哉先生。長年にわたり循環器診療に携わり、心筋梗塞や心不全といった緊急性の高い疾患から慢性期の管理まで幅広く経験してきた。そうした診療を重ねる中で、患者を身近な場所で長く支える医療の大切さを実感したという。田原理事長に、診療にかける思いと、これから描く地域医療の姿を詳しく聞いた。
(取材日2026年8月6日)
かかりつけ医として信頼される父の背中
医師をめざされたきっかけを教えてください。

父と祖父が医師で、父が1980年にこの田原内科医院を開設しました。私が小学1年生の時です。入院設備のある診療所で、3階が自宅だったので、小中高とずっとその建物で暮らしていました。地域の患者さんと話をしながら診療し、かかりつけ医として信頼されている姿を身近に見て、尊敬できる仕事だなと感じていました。ただ、子どもの頃から医師になりたいと強く思っていたわけではなく、後を継がないといけないのかな、くらいの気持ちだったのです。中学、高校の頃に医療ドラマや医療漫画が流行って、それを見ているうちに医療により興味が湧き、医師として働きたいと思うようになりました。
数ある診療科の中から、なぜ循環器内科を選ばれたのですか?
もともと、患者さんの全身を診られる内科医になりたいと思っていました。学生時代に実習や勉強を重ねるうちに興味を持ったのが、循環器でした。心臓や血管は命の根本に関わりますし、全身を診る科でもあります。緊急性の高い治療から慢性期まで、長く患者さんに関わっていける。心筋梗塞や心不全、不整脈といった急性期の患者さんの状態を適切に評価し、適切な治療ができたら患者さんの状態の劇的な改善も望める点も大きな魅力でした。
これまでの診療の中で、印象に残っているやりとりはありますか?

循環器の医師として仕事をするようになってから、勤務医時代に多くの救急の患者さんを診療させていただきました。心筋梗塞の方や心不全の方が、非常に切迫した状態で運ばれてくる。ご本人も苦しがっていますし、ご家族もすごく心配されている。そういう中で緊急の治療を行い、感謝の言葉をいただくことがあります。そして、その後も長年にわたってお付き合いが続くことが多いのですね。患者さんとも何年かたってから「あの時はこうだった」「それからはこうだった」と話をさせてもらう機会があれば、自分にとって勉強にもなりますし、ありがたいことだなと思います。
現在、どのような年齢層の患者さんが多いのでしょうか?
循環器疾患は高齢の方に多いので、患者さんも65歳以上が中心です。一方で、心臓の病気を発症する前の段階、生活習慣病で通われている方もいらっしゃって、そういう方は40代、50代から60代くらいでしょうか。循環器疾患の患者さんの症状としては、動悸や息切れ、むくみ、胸が痛いといった訴えが目立ちます。消化器の診療もしていますので、胃のもたれや胸やけ、便の異常、胃が痛いという方も来られます。それから一般的な内科として、発熱や咳など、体調不良全般でいらっしゃる方もいます。
45年の歩みと、受け継いだ地域からの信頼
理事長に就任され、どのような思いで引き継がれましたか?

開設から45年、有床診療所として地域に密着してやってきて、多くの患者さんが信頼してくださっていると思っています。それは前理事長の尽力と、現場で患者さんに向き合い続けてきた歴代のスタッフの力によるものです。まずはその信頼を大切にしたいというのが一番ですね。その上で、これから医療を取り巻く環境は大きく変わってくると思いますので、そこに対応しながら、外来から入院まで対応できる診療所として、引き続き地域の医療機関として対応していけるようにしたいと思います。
日々の診療で心がけていることを教えてください。
まずは疾患について必要な評価をして治療をするのが第一です。ただ、患者さんはそれぞれ価値観も生活環境もさまざまです。ですので、ご本人とご家族がどういう状態で、どのようなことを希望して来られているのかを大事にしています。医療の上で必要なことと、患者さんが望んでいることの両方をバランスよく考えて診療を行っていくことが大切なので、そのあたりをきちんと話しながら進めていくようにしています。また、検査の結果や治療の説明は、患者さんにとってわかりやすい言葉をできるだけ選ぶようにしています。必要な場合はイラストやパンフレットを一緒に見ながら、ご自身の状態をまず把握してもらいやすいように説明する。その上で納得していただいてから、検査や治療に進めるようにしたいと思っています。
医師の体制について教えていただけますか?

理事長のほか、循環器と消化器を専門とする医師がそれぞれ1人おり、糖尿病や内分泌ホルモンの分野を専門とする医師も大学病院から来ています。全員が日本内科学会総合内科専門医ですので内科全般を診ながら、それぞれの得意分野を生かして、必要に応じて相談し合いながら診療しています。こうしたやり方は、医師以外の職種でも同じです。一人の患者さんに、看護師はもちろん、臨床検査技師や診療放射線技師、理学療法士、管理栄養士、医療事務までが関わり、皆で相談しながら問題を解決していく。受付での対応から、看護スタッフのケア、迅速で適切な検査、リハビリテーション、食事の支援まで、それぞれが持ち場で患者さんを支えてくれています。
貴院の特徴を教えてください。
血液検査や超音波検査、CT、内視鏡検査、生理機能検査など、院内でできるものはできるだけ院内で完結しようという方針を取っています。基幹病院まで行かなくても、当院である程度の専門的な診察と精密検査までは受けていただける状態を維持しています。そうして早めに患者さんの状態を評価し、必要な治療につなげていきます。それから入院設備のある診療所ですので、通院治療では難しい患者さんには入院診療も行っています。その中で診察や精密検査を行い、できるだけ迅速に必要な治療へつなげていきます。また、必要に応じてリハビリテーションも行い、その後の機能回復まで多職種で連携して支えることに注力しています。さまざまな検査もできるだけその日のうちに行い、早めに方針を決められるようにしています。
病気だけでなく、その人の暮らしを診る
リハビリテーションにも早くから取り組まれているそうですね?

昔は、リハビリテーションといえば整形外科や脳神経外科が中心でした。その後2000年頃から、心臓や血管の疾患にも重要だといわれるようになってきたのですね。それを当院でもぜひやりたいと考え2011年から開始し、15年程になります。現在は心臓や呼吸器疾患のみならず運動器疾患や、加齢で心身の機能が低下したフレイルの状態を合併した方のリハビリテーションも行っていおります。内科のクリニックで、患者さんがもう一度自分の足で動いて暮らす力を取り戻せるように、理学療法士が積極的に関わるリハビリテーションを行っていることは当院の特徴の1つだと思います。
地域の中で、どのような存在でありたいとお考えですか?
無床診療所と病院の間をつなぐような立ち位置になると思っています。高齢化が進む一方で、基幹病院はより専門的な医療に集中し、入院期間も短くなっていきます。そうなると、フレイルや持病の悪化を抱えた高齢の患者さんを、入院設備のない診療所や在宅医療、介護施設だけでは支えきれなくなっていきます。そこを埋めるのが地域の中小病院や有床診療所で、当院も基幹病院と在宅医療や介護をつなぐ存在でありたいですね。薬を出すだけでなく、診察と検査を受けて方針を相談したい、基幹病院まで行かずに精密検査を受けたい、通院では不安なので入院させてほしい、最期まで近くのかかりつけ医に診てほしいという期待に応えるのが、当院の役割だと思っています。
最後に、読者へメッセージをお願いします。

内科全般に対応していますので、ちょっとした体調不良から、心臓や消化器、生活習慣病の精密検査、入院治療まで幅広く対応できます。専門にしている循環器や消化器、生活習慣病についてはもちろんですが、それ以外にも「何だかよくわからないけれど調子が悪い」「健診で指摘されたから心配だ」「この症状はどこを受診したらいいのかわからない」というようなことがありましたら、いつでもご相談いただければと思います。

