山根 宏昭 副院長の独自取材記事
山根クリニック
(廿日市市/宮内串戸駅)
最終更新日:2022/11/08

自然が豊かな広島県廿日市市で「地域のホームドクター」をモットーに、家族3人で診療をする「山根クリニック」。副院長の山根宏昭先生は、父であり同院の院長でもある山根基(もとい)先生の姿を子どもの頃から見て育ち、自然と同じ医師の道に進むことを決めたという。大学を卒業後は市民病院や総合病院で外科医として研鑽を積み、2021年から同院で勤務を開始。それまでの経験を生かした乳腺外科や肛門外科といった外科治療だけでなく、訪問診療などにも幅広く対応をする。さらにオンライン診療も行っている同院。3人の医師の専門分野を生かしながら地域住民の健康をさまざまな形でサポートしている。「患者さんが笑顔になっていく姿を見るとやっぱりうれしいです」と語る山根宏昭先生に、訪問診療のことから医師としての思いなど幅広く聞いた。
(取材日2022年8月26日)
3人の医師が在籍している強みを生かす
ご家族で診療をされていると伺いました。

父が院長をしており、息子の私と、週の半分くらいの勤務になりますが妹の3人で診療をしています。それぞれの専門分野を生かして診療ができるので、風邪や外傷といった一般の内科や外科分野をはじめ、消化器や乳腺、肛門に関わる疾患など対応可能な診療は多岐にわたります。「地域のホームドクター」として長年診療を続けてきましたので、患者さんは近隣の方が多いですね。地域柄、高齢者の方が多いのですが、肛門外科に対応するクリニックがこの辺りにはあまりないので、遠方からいらっしゃったり他院から紹介でいらっしゃる若い方も通院されています。他には、健康診断で数値が良くなかった方やセカンドオピニオンを受けに来られる方もいらっしゃいます。
医師をめざされたのは子どもの頃からですか。
そうですね。当クリニックの2階が住居になっていてそこで生活をしていましたので、働く父の姿を見て育ちました。だから医師は身近な職業で、自然とめざすようになりました。大学は金沢だったのですが卒業後広島に帰ってきて市民病院や総合病院で勤務をし、当クリニックへ戻ってきたのは2021年の4月になります。妹も同じくらいの時期から勤務をするようになり、家族3人体制になりました。父1人で対応をしていた時よりもマンパワーが増えたので突発的な対応も以前より可能になり、訪問診療もできるようになりました。
どんなご家庭に訪問されているのでしょうか。
末期がんの方や、脳梗塞によって手足を動かすことが難しくなり通院が困難な方、認知症の方などがいらっしゃいます。訪問診療が受けられなければ、ご家族の方が補助をしながら通院することになりますよね。ご自宅での介助も大変でしょうし、外出となるとさらに負担がかかります。院内をリフォームをして通路の幅を広くしたり、お手洗いをバリアフリーにしたりと車いすや歩行器をご利用の方にもお越しいただきやすくはしましたが、それでも不便なことも多いと思います。訪問診療ではお薬もお持ちしますし、何かあれば訪問診療でできる範囲の検査も行います。ちょっとした生活のアドバイスなどもさせていただいており、患者さんご本人だけでなく、ご家族の負担も軽減させたいと思っています。
訪問診療の要望は多いのでしょうね。

そうですね。廿日市市で訪問診療を行っているクリニックは数十ヵ所くらいかと思うのですが、日々の診療で手いっぱいで訪問診療をするための人手を確保できず、新しく訪問診療を受けていないところもあると思います。当クリニックも対応ができるようになったのは私が帰ってきてからです。訪問診療の問い合わせは、患者さんのご家族から直接ご連絡をいただくこともありますし、退院が決まった際に病院の方からご連絡をいただくこともあります。24時間体制で大変なこともありますが、ご自宅で過ごしたいというご希望をできるだけかなえてあげたいと思っています。訪問診療をしていた患者さんが、お亡くなりになる前にご家族の方と旅行に行かれたりなど、楽しまれている様子を見ることができたりすると、やっていてよかったと思います。
外科手術の経験が豊富だからこそできるアドバイス
こちらに戻られるまでは手術に携わることが多かったと伺いました。

専門とする消化器外科を中心に、心臓外科や呼吸器外科、乳腺外科などいろいろな手術をやってきました。当クリニックでもその経験を生かして、消化器外科、肛門外科や乳腺外科などの手術を行っています。対応が難しい症状の方には、大きな病院を紹介しています。私がいろいろな病院で勤務をしてきましたので、知り合いの医師に直接電話をかけて問い合わせをすることもあります。
がん治療にも携わってこられたのですよね。
手術やその後のケアまで対応をしていました。だから抗がん剤治療をされている方がいらっしゃれば、どういった治療を受けられているのかだいたいわかります。どのような副作用がいつ起こるかなどもおおむね予測ができますし、がんでなくても手術をされた方が術後どのような状態になるか経験から経過が予想できることもありますので、大きな病院で手術をされた後に、ご自宅近くで通えるクリニックをお探しの方には力になれるのではないかと思っています。
印象に残っている出来事や患者さんはいますか。

40代の胃がん手術をした女性の方が退院される際、その方の3、4歳くらいの娘さんから「ありがとう」というお手紙をいただいた時はうれしかったですね。やっぱり手術をして笑顔になっていく患者さんに関わらせていただくと非常にやりがいを感じます。一方で、終末期治療や緩和ケア治療に携わっていたこともありました。若い方だと一気に悪くなられる方もいらっしゃったので、見ていてとてもつらかったですね。この時の経験は今の在宅医療でも生きていて、とても大きな、転機となる経験だったと思います。
地域住民一人ひとりに合わせた医療を提供し続ける
お休みの日は何をされていますか。

訪問診療の対応などもありますので1日休みということがあまりないのですが、勤務後ジムに行ったりして時間を見つけては体を鍛えるために筋トレをしています。あとは、講演会などに出席することも多いですね。最近はウェブで行われることが多いので参加しやすくなりました。まだまだ勉強不足な分野もありますので、その分野の専門の先生にお越しいただいて直接レクチャーをしてもらう勉強会を開き、近くの先生方と一緒に学んだりもしています。
こちらでは検診も受けられると伺いました。
乳がん検診や胃がん検診、大腸がん検診を行っています。乳がんは早期に発見をできれば完治の期待もできるとされていますので、ぜひ定期的に検診を受けていただきたいと思います。当クリニックではマンモグラフィ検査とエコー検査をしています。がんの疑いがある方には、細胞診や組織診の検査も行っています。
心がけていらっしゃることはなんですか。
皆さんが来やすい雰囲気になるよう気をつけています。当クリニックに長い間通院されている患者さんもいらっしゃいまして、看護師とお話をされている様子を見ていると皆さんと良い関係を築けているのかなとは思っています。また、なるべくお待たせすることのないようウェブでの予約も受けつけております。初診からウェブ予約対応をしておりますので、ご活用いただければと思います。お仕事などで忙しくて来院する時間がない方などには、オンライン診療も行っています。直接血圧や脈を測ったりすることはできませんが顔を見ながらお話ができるので、症状が重くない場合などにご利用いただければと思います。
通院しやすい工夫をいろいろとされているのですね。

そうですね。ライフスタイルは一人ひとり違いますので、皆さんにご利用していただきやすいように考えています。オンライン診療や訪問診療などをご活用いただいて、ご自身に合う方法で医療を受けていただければと思います。最近ではオンライン診療を発熱時の外来として利用される方が多くなりました。診察を受けていただければ処方箋が出せ、薬局から薬を郵送してもらうことができるので、外出ができないけれどお薬が欲しいといったご要望にお応えすることができるかと思います。これからも「地域のホームドクター」として、皆さんの健康のサポートをしていきたいと思っております。
自由診療費用の目安
自由診療とは乳がん検診/5500円~、胃がん検診/1万3200円~、大腸がん検診/1万4300円~