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十河 正信 院長の独自取材記事

そごう心療内科クリニック

(広島市南区/的場町駅)

最終更新日:2023/03/30

十河正信院長 そごう心療内科クリニック main

広島市南区的場町で精神科、心療内科、内科の診療を開始して50年。「そごう心療内科クリニック」は、2017年に先代から2代目院長にバトンが渡された。白を基調とした院内には絵や写真が飾られていて、温かい雰囲気。父である先代院長の十河勝正先生からクリニックを引き継いだ十河正信院長は、大学在学中に形成外科を志す中で患者に対する「心のケア」の重要性を感じ、大学卒業後に精神科の医師になった。診療では、患者の声に耳を傾けて共感する「傾聴」を大切にしているという。同院の現所長の父や勤務医時代に出会った先輩医師、患者から多くのことを学んだという十河院長に、これまでの歩みや診療で大切にしていること、今後の展望などについて話を聞いた。

(取材日2023年3月9日)

傾聴と共感を重視した診療で、患者の気持ちに寄り添う

お父さまと同じ精神科の医師をめざしたきっかけを教えてください。

十河正信院長 そごう心療内科クリニック1

やはり父の影響が大きいですね。患者さんが安心して生活を送れるようになるために、精神科の医師が患者さんをサポートしていく父の姿を私も近くで見ていました。ただ、最初から精神科の医師をめざしていたわけではなかったんです。外科的な処置や手術に憧れていましたので、形成外科の医師になりたいと思っていました。しかし実際に形成外科で交通事故による外傷の治療にあたった際、患者さんの心の面もケアする必要があると感じたんです。けがによって、精神的なダメージを受けられる患者さんが多いことに気づきました。そんな形成外科での経験をきっかけに、草津病院で精神科について学び、父と同じ精神科の医師になりました。

お父さまや先輩の医師から多くのことを学ばれたそうですね。

父は患者さんに対し優しくて穏やかでした。そんな父と患者さんの関係性を見ていましたので、私も医師になったら父のクリニックを継いで、形成外科の部門をつくりたいと考えていました。実際には父と同じ精神科の医師として継ぐことになりましたね。医師になりたての頃や北海道室蘭市の日鋼記念病院に勤めていた時にお世話になった先達からは、よく「自分の身なりを常にきちんと整えておきなさい」と言われました。例えば時計です。患者さんの最期に立ち合うことが多々あったのですが、「お見送りの時はきちんとした時計を身につけなさい。それが患者さんに対する礼儀だ」と教わりました。礼節のある対応が患者さんとの真摯な向き合い方につながります。また先達からは、患者さんと接する際の傾聴と共感の大切さを学びました。傾聴と共感は、患者さんが安心して心を開いてお話できるために大切なことですので、現在も大事にしています。

心に残っている患者さんとのエピソードを教えてください。

十河正信院長 そごう心療内科クリニック2

広島大学病院の内科研修をしていた時、肝硬変の患者さんを担当したことがあります。その方は精神的に不安定になっていて、お話をお聞きしながらどうしたら良いのかを考えていました。ですが、当時私は精神科の医師としてまだ未熟でしたので、要望にお応えできずに患者さんからお叱りを受けたり、時には励ましを受けたりしたことを覚えています。その後に勤務した草津病院では、躁うつの状態が深刻で保護室に入られた患者さんと2時間かけて2人だけで腹を割って話したことがあります。患者さんのお話にとことん耳を傾け、しっかり理解するように努めたところ、「先生について行くよ」と言ってくださいました。心の悩みを持つ患者さんに対して精一杯丁寧に向き合うことが、医師として私ができることなのだと身をもって知った経験です。

一人ひとりに合った「オーダーメイドの治療」の提供を

どのような患者さんが受診されていますか? 

十河正信院長 そごう心療内科クリニック3

年齢層は幅広いですね。中学生からご高齢の方までいらっしゃいます。主訴の多くは、気分の落ち込み、やる気や集中力の低下、眠れない、お子さんですと落ち着きがない、高齢の方では徘徊や食べてはいけないものを口にしてしまうなどです。そのほかに依存病の方もいらっしゃいます。内科も標榜していますので、糖尿病や高血圧症の患者さんも多いです。心の病は体の不調として現れますので、心と身体の両面から治療していきます。また、自律神経の乱れや生理不順などの症状でお悩みの方も多いです。できるだけ当院で対応するようにしていますが、場合に応じては連携している病院をご紹介できるよう体制も整えています。

患者さんと接する際に心がけていることを教えてください。

そうですね、患者さんそれぞれに合った「オーダーメイドの治療」を心がけています。お子さんの場合はご両親と治療方法を相談しますし、大学生の方なら大学生活が送りやすくなるように、学校側と調整することも必要だと思っています。社会人の方の場合も、悩みに応じてさまざまな調整が必要です。一人ひとりが生活しやすくなるように、サポートの仕方も柔軟に対応できるよう心がけています。スタッフにも私の心がけは浸透しているのか、協力してくれています。私から「こうしてください」とはあまり伝えていませんが、患者さんに何かを説明する際には、普段からわかりやすく明確にお話をしてくれていていて、助かっています。

具体的にはどのような治療を行うのでしょうか? 

十河正信院長 そごう心療内科クリニック4

当院では、西洋医学に東洋医学を融合させた治療を提供しています。認知行動療法や精神分析的アプローチ、あるがままに物事をとらえることの大切さを説く「森田療法的考察」などのエッセンスを取り入れて、患者さんに合ったオーダーメイドの治療が提供できるよう努めています。必要であれば外部のカウンセラーを紹介することも可能です。症状に応じて薬を処方することもありますが、精神科の薬と聞くと「なんだか怖い」と思われている方もいますよね。当院では漢方で対応することもできますので、お気軽にご相談ください。漢方には、イライラや不安感の減少を図るためのものもあるんです。患者さんに合った方法を一緒に考え、症状に応じてお薬の組み合わせを考えています。

診療体制を整え、地域に貢献できる精神科クリニックに

医療器具や設備について教えてください。

十河正信院長 そごう心療内科クリニック5

脳波計や心電図、血圧計などの検査機器があります。脳神経機能や生活習慣病検査も可能です。将来的には、子どもの起立性調節障害を調べるための血圧計を導入したいと考えています。朝起きられない、不安感が大きい、やる気が出ないなどが原因で不登校になるお子さんも少なくありません。起立性調節障害を調べられる機器を導入して、お子さんの生活をサポートしたいです。

先生ご自身が実践されているリフレッシュ方法はありますか? 

仕事と休日のオン・オフを大切にしています。趣味はスキューバダイビング、旅行、美術鑑賞などです。海が好きで、セーリングの経験もあります。診察室に飾っている写真は、スキューバダイビングで私が撮影したものなんです(笑)。日本全国でダイビングをしながら、その土地のおいしいものを食べることが楽しくて、とても気分転換になっています。それから、休日は勉強会に参加することが多いですね。趣味的な部分が大きいですが、潜水医学についても学んでいます。

最後に、今後の展望と読者へのメッセージをお願いします。

十河正信院長 そごう心療内科クリニック6

今後は、クリニックまで足を運べない方のために、訪問診療や訪問看護にも対応できるようになりたいです。より地域に根差したクリニックになるために、臨床心理士や精神保健福祉士を採用することも考えています。これからは地域に貢献できる精神科クリニックをめざしていきたいです。精神的な疾患は自分ではなかなか気づくことができません。「自分は元気だから」と思い込んで頑張りすぎている方もいらっしゃいますし、心が折れてしまってから受診される方も多いように感じます。時には、ご家族や職場の方などの意見にも耳を傾けてみてください。当院では、患者さんに合った治療法で心身ともにサポートします。治療のみならず、生活の手助けもしていきたいと考えていますので、お気軽にご相談ください。

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