柿 音高 院長の独自取材記事
啓愛クリニック
(広島市南区/段原一丁目駅)
最終更新日:2021/10/12
広電5号線・段原一丁目電停より徒歩1分、JR山陽本線・広島駅より徒歩10分。啓愛プラザビル2階にある「啓愛クリニック」は、1997年に開業して以来、地域住民の健康を守り続けている耳鼻咽喉科、アレルギー科の診療を行うクリニックだ。院長の柿音高(かき・おとたか)先生は、日本のみならず、海外での研究実績もある内耳研究のスペシャリスト。めまい診療の専門知識と技術を有するドクターで、めまい、難聴、耳鳴りの治療を得意としている。快活さがあふれる柿院長に、診療への思いや今後のビジョンについて聞いた。
(取材日2020年12月4日)
国内外で内耳研究を重ね、知識や技術を習得
耳鼻咽喉科を選んだきっかけを教えてください。
耳鼻咽喉科の医師になろうと決めたのは、大学6年生の頃でした。もともと呼吸器内科の大学院に進学することが決まっていたのですが、当時は耳鼻咽喉科の医師が不足しているという状況だったんです。それで耳鼻咽喉科の教授から「人がいないので耳鼻科に来てほしい」とお声をかけていただき、急遽進路を変更しました。想定外の進路変更に少し戸惑いもありましたが、技術的にも人間的にも素晴らしい先生がいたため、「呼吸器内科ではなく、耳鼻咽喉科の道に進むのも悪くないな」と思えたんです。
海外での勉強の経験もあると伺いました。
はい。広島大学を卒業後、オーストラリアのクイーンズランド大学、スペインのバルセロナ自治大学、スコットランドのナインウェルズ病院、米国アイオワ大学、デンマークのコペンハーゲン大学で勉強を重ねました。日本では、京都大学でも勉強しています。研修医時代はとにかく研究に打ち込んでいて、内耳の構造研究や論文発表に力を入れていました。最新の医療知識や技術にふれられたことも、数々の実績を残す素晴らしい先生方と出会えたことも、すべてが今の診療につながっていると感じています。現在は広島市総合リハビリテーションセンターでの治療や、看護学校での人材育成や、理学療法の学校での講義などの活動も行っているのですが、そういったことにもつながっているんだなと思います。
研修医時代に培った人脈が、今の診療に生かされているんですね。
そうですね。国内外問わずたくさんの先生方と人脈が築けたおかげで、高難度の手術や、日帰り手術を希望する患者さんに対して、なるべく希望に沿った病院を紹介することができます。以前、広島県内ではかなり高難度の手術が必要な患者さんがいまして、全国の先生に問い合わせたところ、県外ではありますが、なんとか手術ができる病院が見つかったんです。患者さんに安心して医療を受けてもらえるのも、これまでに培った人脈のおかげだと感謝しています。
「めまい」のエキスパートとして地域医療に貢献
どのような患者さんが来られますか?
子どもから高齢者まで幅広い年齢層の患者さんがいらっしゃいますが、私の専門であるめまいを訴える患者さんが特に多いですね。ほかにも耳鳴りや、認知症の進行予防も含めた難聴、アレルギー性鼻炎、花粉症、睡眠時無呼吸症候群など、さまざまな症状でお悩みの方が来院されます。風邪が長引いて、抗生物質の耐性のため、長引く中耳炎になってしまったお子さんの受診も多いです。
先生のご専門である「めまい」の治療について教えてください。
めまいが発症する原因はさまざまで、脳卒中、脳腫瘍、髄膜炎などの脳疾患が原因の場合もあれば、内耳疾患、糖尿病、甲状腺機能異常、ストレス、更年期障害、自律神経失調症などがあります。激しいめまいは脳疾患が疑われることも多いのですが、CTやMRI検査で脳に異常がないとわかると脳外科の範疇から外れてしまい、めまいに対する十分な治療を受けられないケースもあるんです。だからこそ、めまいの治療に対する専門知識を持つ医師の診察が重要で、検査の精度を更に向上させるため眼球運動検査装置を導入しました。きちんと原因を把握して最適な治療を行うことが大切になります。広島県内でめまいの専門知識を持つ医師はまだまだ少ないので、めまいが治らず困っている方は気軽に相談に来てほしいですね。
ほかにも、耳鼻咽喉科の疾患全般に対応されているのですね。
めまい以外の内耳障害とされる耳鳴り、難聴の治療も得意としております。耳鳴りや難聴を年齢のせいにして放っておくと、症状がどんどん進行していきます。また、その陰に大きな病が隠れている場合もあるので、放っておかずにきちんと受診してほしいですね。ほかにも、急性上気道炎、中耳炎、外耳炎、アレルギー性鼻炎、花粉症、急性副鼻腔炎、声帯ポリープ、いびき・無呼吸など、耳鼻咽喉科の疾患や症状全般を幅広く診療しています。医療機器も豊富に取りそろえているので、薬物療法以外の治療や処置を行うことも可能です。内服で改善が見られない中耳炎には、レーザー治療も取り入れております。小さなお子さんを治療する際は、気をそらしながら行うので、安心して治療を受けていただければと思います。
患者の立場に立った医療を提供
セカンドオピニオンを推進されているそうですね。
はい。長引く中耳炎や反復する中耳炎、長引いて夜眠れない咳、耳鳴り、難聴、めまいなど、ほかの病院ではなかなか治らない症状がある場合は、一人で悩まずセカンドオピニオンを求めてほしいですね。当院には、セカンドオピニオンを求めて来院される患者さんも多くいます。大きな病院に行っても治らなかった、治療方針に疑問や不安を感じる、そんな時はお気軽に当院にお越しください。わかりやすい説明を心がけ、患者さんを第一に考えた医療を提供したいと考えております。
今後はどのようなことに力を入れていきたいですか?
社会の高齢化に伴って、国は今在宅医療を推進していますので、今後は嚥下障害の治療にも力を入れていきたいと考えています。嚥下障害の原因はさまざまですが、高齢者に多いのは食べたり飲み込んだりする際に必要な神経回路や筋力が衰えてしまうことです。嚥下障害の治療は歯科で行うことも多いですが、咽頭や喉頭などは耳鼻咽喉科の専門領域なので、耳鼻咽喉科の観点から嚥下障害の治療に取り組んでいければと思います。
最後に、読者へのメッセージをお願いします。
他院で治療中の方でも安心して受診できるよう、当院ではセカンドオピニオンを推進しております。他院で治療をしているけどなかなか症状が改善しない、現在の治療方法などに疑問や不安を抱いている場合は、お気軽に相談していただければと思います。風邪による咳だと思っていたら、実はじんましんが関係していた、なんていうこともありますからね。原因によって治療方法や診療科目が変わることもあるので、症状が長引く場合には、ぜひセカンドオピニオンを受けてください。症状や状況を考慮し、患者さんに寄り添った医療を提供できるよう努めていきます。