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田原 一優 院長の独自取材記事

京口門クリニック

(広島市中区/八丁堀駅)

最終更新日:2025/03/31

田原一優院長 京口門クリニック main

広島電鉄本線八丁堀停留場・立町停留場から徒歩3分、広島・八丁堀地区で30年以上開業している「京口門クリニック」。田原一優(たはら・かずまさ)院長が先代の院長から継承し、2025年で10周年を迎えた。主な診療科目は心療内科と精神科。官公庁やオフィスビル、百貨店などが建ち並ぶエリアにあり、患者の多くは会社員だという。田原院長は、20年以上消化器内科医師として勤務した後、もともと志していた精神科に転身。内科の医師でもあることから、心と体のどちらに不調の要因があるのかを患者の話や症状から見極め、身体的な疾患と診断した場合も責任をもって対処している。柔和な広島弁で患者の心に語りかける田原院長に、これまでの歩みや精神科医としてのモットー、診療において心がけていることなどを聞いた。

(取材日2024年3月15日/記事更新日2025年2月19日)

心と体の両面から診る。消化器内科での経験が強み

先生は内科から医師としてのキャリアをスタートされたそうですね。

田原一優院長 京口門クリニック1

そうです。広島大学医学部を卒業し、内科と精神科のどちらに進もうかと迷っていました。当時、研修先の淀川キリスト教病院では、ホスピスが開設される1年前でした。精神科部長より、まず内科医を勧められました。2年間内科の医師として技術を磨いた後、主に消化器内視鏡検査を行う河村病院で内科医として22年間経験を積みました。多くの胃カメラ、大腸内視鏡検査、さらに超音波検査に携わり、患者さんを診てきました。徐々に「このまま内科医を続けていて後悔することはないだろうか」と自問自答するようになり、機は熟したと判断し転科に踏み切ったのです。

慣れ親しんだ領域からの転科というのは、相当思い切った挑戦だったのでは?

50歳になっていましたので、チャレンジでした。決断した時は、内科医時代の同僚たちから随分心配されました。でも以前、先の淀川キリスト教病院の精神科部長から、「内科から精神科への転科は比較的難しくない」と聞いていたので決断しました。求職して精神科医療を専門としている草津病院に採用されたのですが、うつ病以外の精神疾患の診療経験がほとんどなかったので、初めのうちは他の先生の補佐などをしていました。400床を超える大きな病院でしたのでいろんな症例の患者さんやそのご家族に出会うことができ、とても勉強になりました。今では、内科医時代の先生方より、患者さんの心の不調について相談に乗ることもあります。転科できたのも、多くの先生方のご指導のおかげだと感謝しています。

精神科医としての実績を積まれた後、こちらのクリニックを引き継がれたのですね。

田原一優院長 京口門クリニック2

草津病院(現こころホスピタル草津)では10年間あらゆる精神科疾患の診療に携わり、精神科医として日々成長させていただいておりました。一人ひとりの患者さんとじっくり向き合いたいという思いもあったので、環境を変えて次の目標を立てることを考え始めていました。そんな矢先、先代の院長から後を継いでもらえないかとお話をいただいたのです。以前、私が内科医の頃、先代の院長から内科病棟でうつ病の患者さんを受け入れていたご縁があったからです。また、精神科医の道に進むことの背中を押してくれた先生でもあったので、2015年の4月に当クリニックを継承しました。

継承して10年を迎えることができました。

田原先生がこちらを継承されて、2025年で10周年を迎えられたそうですね。

田原一優院長 京口門クリニック3

はい、おかげさまで私が継承してから10周年を迎えました。先代の院長から引き継ぎ、「変わらず診療を継続して患者さんを迎える」ということを第一にやってきました。例えば、電子カルテを導入したこともその一環。電子カルテであれば、患者さんに関する大切な情報を長く管理しやすいですから。また、患者さんに安心して通っていただきたいので、少しでも居心地の良い空間になるように心がけています。今後も当クリニックで精神科医療を長く継続したいと考えています。

こちらのクリニックの特徴を教えてください。

当クリニックは街の中心部にあり、交通の便が良いため、患者さんは、会社員や主婦、学生さんも来院されます。仕事が忙しくて気分が落ち込み、うつ病の症状が現れて来院される方が多いです。治療としては、症状次第で休職を勧め、その後「リワークプログラム」という職場復帰支援プログラムを受けていただくケースもあります。あとは頑張り屋の方が、自分の限界を超えてしまい、動悸や息苦しさなどの不安発作がでてしまうパニック障害の方もいらっしゃいます。ほかには、統合失調症や発達障害の患者さんも多いです。発達障害は子どもに限ったものではなく、大人になって生きづらさを感じ、発達障害なのではないかと受診される方も多くなりました。

精神科は、先生によって薬の処方方針が特に異なる印象があるのですが、先生はどのようにお考えですか。

田原一優院長 京口門クリニック4

勤務医時代に薬の処方はなるべく最小限にする単剤治療という方針をとっていたので、当クリニックも同様にできるだけ薬の種類を減らして処方しています。個人的には、向精神薬を数多く用いるほど症状が楽になるとは限らないと思っていますし、飲み合わせの問題も出てきますので、多剤大量処方は避ける方針をとっています。ただ、転院されて来られた患者さんが複数の薬を飲んでおられた場合は、患者さんが不安になられるので無理矢理減らすのではなく、相談しながら減薬を考えるようにしています。常に年齢状況に応じ、患者さんの声を大切にした処方を心がけています。また、漢方薬も扱っています。

患者の話を丁寧に聞き、信頼関係を築いた上で診断する

診療においてどんなことに心がけておられますか。

田原一優院長 京口門クリニック5

とにかくしっかりお話を伺うのが私の方針です。私は昔から患者さんとお話するのがとても好きです。当クリニックでは初診の患者さんであれば、最初に看護師が20分間ほど問診し、続けて私がじっくりと約1時間かけてお話を伺うようにしています。昔、同僚の先生から「田原先生は聞き上手ですよね。人から話を聞くのが本当にお好きなんですね」と言われ、うれしかったです。例えば、お勤めの方ならば、仕事の内容はもちろん、職場の人間関係や人数等を詳しく伺います。そして、信頼を築けるようにしています。また、当クリニックでは、患者さんの待ち時間があまりないようにするため完全予約制をとっています。

精神科の診療において、内科のご経験が生きていると感じておられますか。

内科医時代に培った経験はまったく無駄ではなかったと確信しています。メンタル面では特に問題がない内科の患者さんにも接してきたことで、精神科の患者さんの様子を見て「少し落ち込んでいるみたいだな」など、心の小さなSOSに気づきやすいように感じます。例えば、腹痛が続く患者さんが相談に来られた場合、もともと消化器内科でしたからその観点から胃カメラでの確認などアドバイスすることもできます。身体的な病気の早期発見へ導いたこともあります。症状が精神的なものか身体的な疾患かがわからなかったら、両面から診ることができますのでぜひ相談に来ていただきたいですね。

最後に読者へのメッセージをお願いします。

田原一優院長 京口門クリニック6

ある著名な精神科医の先生が提唱しておられる「うつ病にならないための7つのストップ」という、うつ病を予防するための心構えがあり、私も共感して普段の診察や講演などで紹介しています。そういった普段の気の持ちようや暮らし方を工夫することに加え、やはり早く周りにSOSを出すことが大切です。日本人は周りの人に遠慮して助けを求めない傾向がありますが、早めに助けを求め、必要であれば心療内科を受診していただきたいと思います。我慢しないことが大事です。

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