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土井 光 院長の独自取材記事

土井内科神経内科クリニック

(広島市中区/紙屋町東駅)

最終更新日:2022/03/02

土井光院長 土井内科神経内科クリニック main

広島県庁に程近い街の中心部に、1987年に開業した「土井内科神経内科クリニック」。初代院長で現在は会長を務める土井一可先生の後を継ぎ、2017年に土井光先生が院長に就任した。神経内科を専門に総合病院や大学病院で研鑽を積んだ土井院長は、日本神経学会神経内科専門医のほか日本内科学会総合内科専門医の資格も持ち、内科全般から脳神経の疾患まで、幅広く診察。来院するのは、頭痛やしびれなど、検査ですぐに原因が特定できないような悩みを抱える患者が多く、患者の言葉に耳を傾け、不安に寄り添う丁寧な説明を心がけている。インタビューでは冗談も交えながら、親しみやすい笑顔で答えてくれた土井院長。診察室で相手の緊張をほぐしながら問診する姿が想像できた。

(取材日2021年12月1日)

頭痛からパーキンソン病まで幅広く脳神経の疾患を診察

医師としての歩みをお聞かせください。

土井光院長 土井内科神経内科クリニック1

建築士を夢見たこともあったけれど、育った環境から最終的に選択したのだと思います。広島城北中学校、高校へ進学したのち、関西医科大学卒業後は、神戸市立中央市民病院や天理よろず相談所病院に勤務し、臨床医としてかなりハードな日々を送りましたね。その後九州大学大学院に進み、同大学病院では神経内科の臨床や研究を行うほか、救命救急センターの診療も経験しました。大学院修了後は、広島に戻り、広島赤十字・原爆病院の脳神経内科に勤務しました。2015年から当院の副院長を務め、2017年に院長に就任しました。

クリニックを引き継いで、新たに手がけたことはありますか?

このビルは開業時に建てられたもので、それなりに年数も経ていますが、電子カルテ導入や、職員間の連絡や情報共有をデジタル化するなど、オンライン化による効率化を進めています。また、新型コロナウイルス感染症の流行を受け、受診に不安を抱いている方でも安心して来院いただけるように、待合室に感染隔離室を設置しています。室内が陰圧になっているので、ウイルスや細菌を待合室側に放出しない構造になっているんです。そのほか、院内に除菌脱臭装置を設置するなど、感染症対策に努めています。

内科と神経内科が診療科目ですね。神経内科の診療内容を教えてください。

土井光院長 土井内科神経内科クリニック2

神経内科のクリニックは数も少ないですから、あまりなじみがないかもしれませんね。当院も開業当時は珍しがられたと聞きます。心療内科と混同されることもありますが、神経内科は脳神経の疾患を治療します。例えば、片頭痛など頭痛全般、神経痛、しびれ、脳梗塞、多発性硬化症、パーキンソン病からアルツハイマー病、物忘れ、めまいなど、多岐にわたる疾患や症状を診ます。脳神経外科が手術を行うのに対し、神経内科は内科的に治療すると言うとイメージしやすいかもしれません。脳神経外科ではMRIなど画像で診断をするところを、われわれ神経内科では、過去の病歴や症状をじっくり問診で聞き出し、ハンマーや音叉も使用しながら、全身を診て細かな異常を探り出していきます。疾患によっては血液検査や画像では判断がつかないものもあるので、そういった際に力を発揮するのが、神経内科だと思います。

問診で病歴や症状をしっかり聞き出すことが何より大切

どのような患者さんが多く来院しますか?

土井光院長 土井内科神経内科クリニック3

頭痛としびれを訴える患者さんが圧倒的に多いです。そのほかは、物忘れやパーキンソン病、震えなどです。頭痛やしびれといっても原因はさまざま。神経系の器質的な問題で起きることもあれば、ストレスなど心の問題が原因のこともあります。頭痛やめまい、動悸などの身体的な症状に加え、不眠や抑うつ症状などもある場合は心療内科の領域になります。また、症状によっては整形外科の受診を勧めることもあります。

診察する上で大切にしていることは何ですか?

神経内科の診察は、問診が8割。何より患者さんのお話に耳を傾けることが大切です。特に初診の方には時間をかける必要があります。症状の原因や背景などの情報を聞き出すことが目的ですが、それだけではありません。患者さんにとって、話を聞いてもらうこと自体にも意味があるんです。それから、きちんと説明することも大切です。長期の治療が必要な場合も、何も説明がないと、患者さんは、すぐに治ると勘違いした結果、「なかなか治らない」と落胆したり、「いつまでも治らないのでは」と心配になったりします。患者さんにとって、わからないことが不安になるので、「治療は長くなると思います」などと言うだけでも安心していただけるんです。

クリニックの特色を教えてください。

土井光院長 土井内科神経内科クリニック4

当院では、血液検査や尿検査、エックス線検査やエコー、呼吸機能検査など一般的な検査のほかに、神経伝導検査ができます。これは、末梢神経を皮膚の上から電気刺激することで、運動神経や感覚神経の障害の有無を調べる検査で、どこにでも検査機器があるというわけではないので、当院の特徴といえるかもしれません。逆に、当院ではMRIや脳血流検査はできませんが、必要な場合は、非常勤として勤務する広島赤十字・原爆病院をはじめとした連携医療機関で検査を行います。このように、他の医療機関とスムーズな連携がとれる体制も、当院の強みだと思います。

悩みを抱える人が受診するきっかけづくりを

講演をされることも多いそうですね。

土井光院長 土井内科神経内科クリニック5

頭痛の治療に関する啓発活動として、講演を行うことが多いです。新型コロナウイルス感染症の流行以降はリモート講演が盛んになったので、かえって回数が増えて、この1年は日本全国さまざまな地域で講演を行いました。おかげで忙しさが増しましたが、専門性があって必要とされるのは喜ばしいことです。特に最近は、治験にも協力した片頭痛の発作を抑制するための新薬に関する講演をすることが多いです。痛み物質の伝達をブロックする働きを持つ抗体を月に1回注射する薬です。まだまだ頭痛の治療法の情報は広く知られていないので、こうした活動が、頭痛に悩む方が病院に足を運ぶきっかけになり、治療に役立てばうれしい限りです。

お忙しい中、気分転換はどうしていますか?

オフタイムにはアウトドアスポーツを楽しみます。以前は、カイトサーフィンが好きでよく海に行っていましたが、忙しくて1〜2年に1回行けるかどうか。最近は近場での登山が多いですね。呉娑々宇山や寂地山へよく行きます。冬はスキーです。学生時代は競技スキー部だったんですよ。登山同様、近場に行くので、朝から出かけて午前中の数時間滑って、昼すぎには帰宅できて、いい息抜きになります。

最後に、読者に向けてメッセージをお願いします。

土井光院長 土井内科神経内科クリニック6

頭痛やしびれなど、神経内科に該当するような症状のある方は、「どこを受診していいかわからない」と、二の足を踏んでいたり、あちこち受診して原因がわからずドクターショッピングを続けていたり、「これくらいで病院に行かなくてもいいか」と我慢していたり、ずっと悩みを抱えている方も少なくありません。そんな方がこの記事を目にして、「一度、神経内科を受診してみようか」と思っていただけたら幸いです。また、高齢化で、認知症やパーキンソン病などの患者さんも増えています。高齢の方はインターネットの記事はご覧にならないかもしれませんが、ご家族の方が見て受診のきっかけになるかもしれません。患者さんご自身の症状による苦痛だけでなく、介助する家族さんの負担を減らすことも、医療が果たす大切な役割だと考えています。

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