白根 一 院長、白根 授美 副院長の独自取材記事
白根医院
(安来市/荒島駅)
最終更新日:2024/10/22

安来市荒島の国道9号線沿いに「白根医院」はある。院長の白根一(しらね・ひとし)先生は、1983年の開業以来、親切・信頼・向上・奉仕の4つの法人理念に基づき地域に医療を提供し続けてきた。地域で手薄な分野をフォローすることで、住民に健康で快適な生活を送ってほしいとの思いから、院長の専門である整形外科診療、白根授美(しらね・じゅみ)副院長の専門である眼科診療のほか、2023年7月から千葉広夢先生が加わり皮膚科診療も行う。介護や美容医療のサービスも提供。加えて、整形外科の外来リハビリテーションのノウハウを生かし、通所リハビリテーション施設も運営している。そんな地域を支える存在をめざす白根医院の白根一院長と授美副院長に話を聞いた。
(取材日2022年3月30日/更新日2024年10月10日)
整形外科と眼科を主軸に、地域にない医療と介護を提供
まずは医院の概要と開業の経緯からお聞きします。

【白根院長】大学病院での勤務などを経て、今の土地にご縁をいただき、1983年に私の専門である整形外科の医院として開業いたしました。その後、2016年に、現在も副院長を務める娘が眼科を開設するのをきっかけに白根医院に改名して現在のかたちになりました。そこから、介護医療院や通所リハビリ施設などの介護サービスや、美容医療に加えて、皮膚科を展開していったのは、安来市の地域性が大きな理由です。この辺りは、あまり医療体制が厚いエリアではないので、地域基幹病院を含めてもすべての科目を網羅できているわけではありません。そんな地域の状況から「この地域にはない医療や介護の提供」を法人の使命として考えるように。地域とともに発展していくことをめざして、地域の患者さんのためになることを積極的に取り入れるべく、スタッフ一丸となって日々、勉強に励んでおります。
院長先生の整形外科には開業時から長く通っている患者さんも多いそうですね。
【白根院長】私自身がお話好きということもあり、患者さんとは近い距離感で関わらせていただいてます。外来診療以外に、長期入院にも対応できる体制を整えていることもあってか、当院の開業時から頼りにしてくださっているような、長いお付き合いの患者さんも少なくありません。さらに、患者さんだけではなく、勤続20年、39年といったようにベテランのスタッフが多いのも自慢です。質の高い医療を提供し続けるにはともに働くスタッフの環境も大切ですから、当院では働きやすい環境の整備に努めています。娘が副院長、その夫が理事長として加わってくれており、子育て世代の患者さんやスタッフにもよりきめ細かな配慮をしてくれています。出産や育児休暇はもちろん、子どもの発熱などの急な欠勤もフォローし合える体制の構築などに尽力してくれ、本当に頼りにしています。
地域とのつながりで心がけていることはありますか?

【白根院長】地域の方にとって、当院が「いつでも扉を開いている」存在になれるように意識しています。毎年春に「桜まつり」というイベントを開き、医院の桜木を楽しんでいただくのはもちろん、娘がお琴を弾いて、その友人のフルート奏者にも来てもらってと、「ミニコンサート」を催したりもしています。遊びに来てもらったのをきっかけに、何でもない時から予防に通ってもらえるようになればうれしいです。さまざまなご縁で当院を選んで来てくださる地域の方々が、少しでも元気に、幸せになるようなお手伝いをしていきたいと思いながら日々診療しています。
患者の声に耳を澄ませ、ニーズに寄り添っていく
眼科の開設にあたりこだわられた点を教えてください。

【授美副院長】私の人生のテーマは「エレガント」です。美しい心の在り方や行動、そして人への思いやりをまとめてエレガントと表現しています。医院の外観や内装を考えた時にも、このことを心がけました。待合の雰囲気もリラックスして時間を過ごしていただけるようにホテルのように明るく清潔で、いい意味で医院らしくない空間にまとめました。新型コロナウイルス流行の影響で、今は撤去していますが、キッズスペースにはたくさんの絵本を置いていたり、待合で大人の方に読んでいただく本も診療を待っている間に「何か一つでも学びをお持ち帰りいただけたら」と厳選した本を置くようにしたりと、工夫を凝らしています。また、当院には幅広い世代の患者さんが来院されますが、どんな方でも初めての来院は緊張されると思います。ですので、いらした方にはまず「安心感をお届けできるように」と、丁寧に接するということにはずっとこだわってきました。
授美先生が担当されている眼科には、どんな患者さんが多いのでしょうか。
【授美副院長】老眼やコンタクトレンズのトラブル、緑内障や結膜炎、眼瞼下垂手術などのご相談も多いのですが、白内障でお悩みの方も少なくありません。眼科開設後、白内障の手術が近くの日程で受けられない、手術を受けてくれる医院が少ないという切実なお悩みを患者さんから聞く機会があり、経験豊富な眼科医に来ていただき、手術を行うことのできる体制を整えました。現在、第2・4日曜のオペ日の確保など体制を強化し、2024年から年間500件超の受け入れをめざして動いています。これからも、患者さんの声に耳を澄ませて、今この地域で必要とされていることをしっかりとキャッチして勉強を続けながら、できることを模索していきたいです。
白内障手術に力を入れているのですね。

【授美副院長】この地域の白内障手術の患者さんの年齢は70~90代と、都心部よりも高い傾向があります。白内障になると、目は曇りガラス越しのような見え方になってしまいます。人間が得る情報の約9割は視覚から来ているといわれているので目がよく見えないのはQOLに直結するだけではなく、活動性が落ちることからフレイルにつながるリスクも。さらに、年齢が上がると水晶体が硬くなることから、手術自体の難易度も上がります。白内障は人生で一度しか発症しないので、手術をするのであれば早いほうがメリットも大きいと考えています。だからこそ、当院が「地域の白内障手術の拠点」となることで、早期治療ができる環境を整えていきたいです。
医療資源の少ない地域でも医療を選択する自由を
こちらには視能訓練士も在籍されていると伺いました。

【授美副院長】視能訓練士(ORT)とは、医師の指示のもとに眼科検査を行う国家資格を有する専門的な医療技術者です。当院には日々知識、技術の研鑽を怠らないスタッフが2人も在籍し、うち1人は国家検定資格の「眼鏡作製技能士」の資格も有しています。ORTは視能訓練、視力検査、健診業務、ロービジョンケアを一手に担ってくれていて、眼科医の片腕ともいえる本当に頼もしい存在。当院では安来市の3歳児半健診を担っており、健診機材とORTを毎月派遣して、幼児の目の健康の確認を行っております。健診は法人理念の地域への医療を通じた奉仕であると同時に、ORTという存在を知ってもらういい機会になっています。
今後の展望についてお聞かせください。
【白根院長】医療機関の数が少ない地域に位置する当院だからこそ、この地域にはない医療や介護を提供し続けることのできる場でありたいと思っています。そうした点では「調剤」も重要。当院では今年新たにクリニックそばに調剤薬局を誘致し、10月から院外処方に切り替えました。専門家として調剤やチェック、服薬指導をお願いできる薬剤師がいることは、当院だけではなく、地域にとってもメリットになるのではと思っています。ただ、まだまだ課題も多く、この地域にとって必要な医療と介護を提供するためにも、医師をもっと確保して手厚い医療体制を敷いていきたいと考えています。そして安定して診療を続けていく上で不可欠なのは「継承」。私が引退した後に当院の整形外科診療を担ってくださる医師を探しています。私がその方に、そしてその先の世代へとたすきをつないでいくことで、世代交代をしながらも永続的に医療提供できるように尽力してまいります。
読者へのメッセージをお願いします。

【授美副院長】医療は日進月歩で進化しています。新しい優れた治療があっても、そのことを知らなければアクセスすることができません。具体的な不調や症状がなくても、定期的に医療機関を受診することで、病気の早期発見につなげることができるのはもちろん、先進の治療法などの情報を知る機会にもなると思います。ご自身の健康を守れるような知識や知恵を身につけて、健康維持にお役立ていただければうれしく思います。
自由診療費用の目安
自由診療とはボツリヌス毒素製剤注射/初回1万6500円~(2回目以降2万2000円~)
※別途、初診料1100円、再診料550円が必要です。