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津森 洋 院長の独自取材記事

津森医院

(松江市/松江駅)

最終更新日:2021/12/21

津森洋院長 津森医院 main

松江市の中心街から少し離れた、本庄町の一角にある「津森医院」。趣あるクリニックの建物は、大正末期に建てられたという洋館で、国の登録有形文化財に指定されているそうだ。この歴史あるクリニックの3代目院長を務めるのは、津森洋(つもり・よう)先生。大阪大学などで専門性の高い血液・腫瘍内科の診療を重ねてきたといい、患者の全身管理を行った経験を生かし、同院でも幅広い疾患を総合的に診療することを実践している。「来てくださった患者さんをただ診るのではなく、何かプラスアルファの意義のある診療を提供したい」と話す津森院長。外来だけでなく訪問診療や各種検診にも注力しており、地域医療拡充のため、新たな知識の習得にも余念がない。どのような想いで日々患者と向き合っているのか、たっぷりと話を聞いた。

(取材日2021年11月24日)

専門の血液内科をはじめ幅広い診療に対応

こちらは歴史の古いクリニックだそうですね。

津森洋院長 津森医院1

建物は大正の終わり頃に建てられたそうです。僕は3代目としてこのクリニックを継承しましたが、2代目院長である父も現役で、僕が多忙なときにはクリニックに出てきて一緒に診療してくれます。この地域は松江市の中心から少し離れた医療施設の少ないエリアなので、当院では風邪や腹痛などの一般的な症状から、糖尿病などの生活習慣病、喘息などの呼吸器疾患、軽いけがの処置まで幅広く対応しています。こちらの他に千酌と片江にも出張所があり、時間帯を区切って巡回して診療しているんですよ。その往来の途中で、通院が困難な患者さん宅への訪問診療も行っています。

先生はクリニックを継承される前に、どのようなご経験を積まれてきたのですか?

血液・腫瘍内科を専門として大学病院などで治療や研究を行ってきました。血液・腫瘍内科とは血液のがんを診る診療科で、白血病や悪性リンパ腫、多発性骨髄腫などの治療をメインとします。これらの疾患は、非常に多くの抗がん剤を使って治療を進めていくのですが、そうすると一時的に体のいろいろな部分に不調が出てくるため、全身の管理を行う必要があります。そこで幅広い診療経験を積んだことが、まさに今、地域医療を担う上でも生かされていると感じています。血液検査においてはより細かい分析ができるようになりましたし、「今後症状がどうなっていくか」を予測してあらかじめ対策を立てることも得意とするようになりました。万が一大きな病気が見つかった場合は、専門の医療機関をご紹介することもできますから、お気軽にご相談いただければと思います。

クリニックの診療方針を教えてください。

津森洋院長 津森医院2

患者さんに納得して治療を受けていただくために、双方向のコミュニケーションを取るように心がけています。体調が悪くなったのは、何も患者さんのせいではないんです。悪いのは病気です。それなのに、例えば「あなたが甘いものばかり食べるから糖尿病が悪化するんです」なんて言われたら心外ですよね。病気にならないように、これ以上悪化しないようにするのは医師の務めであり、それに協力していただくために、理解が得られる説明をするのも医師の役目だと考えています。できる限りわかりやすく、ご自身で納得して治療を受けていただくことを目標としています。それから、クリニック内ではなるべくリラックスして過ごしていただきたいなと思っていて、スタッフにも積極的に患者さんへお声がけをするようにお願いしています。

付加価値のある診療を提供したい

先生が医師をめざした理由と、血液内科を選んだ経緯を教えてください。

津森洋院長 津森医院3

医師になったのは、やはり実家が開業医だったことが大きく影響しています。父が患者さんに感謝される姿を見て、子どもながらにやりがいのある仕事だと思うようになりました。血液内科に興味を持ったのは、学生時代に師事した先生がこの分野を専門とされていたからです。知識はもちろん、医師としての姿勢や患者さんに対する接し方など、その先生から学ぶことはとても多く、自然と僕もこの分野に興味を持つようになりました。それに、血液内科は診断から治療まで、すべて自分で責任を持って診ることができるのも魅力でしたね。血液内科の治療はとてもつらいものが多いのですが、疾患の症状が発出してまだ間もない患者さんの場合だと、重篤な状態で入院してきても、退院する頃には見違えるほど元気になっていることが多いんですよ。そんな姿を目の当たりにできることが、大きなやりがいへとつながりました。

地域医療の担い手となられて、どんなことを感じていますか?

クリニックを継承する直前は研究職に就いていて、長らく患者さんと接する機会がなかったのですが、ここで診療するようになって「自分はやっぱりこの仕事が好きだったんだ」と再確認することができました。頼ってくださる方がいるというのは、とてもありがたいことだと感じています。この地域は医療施設が少ないため、「なくなると困る」と言ってくださる方も多くいらっしゃいますが、僕としてはただニーズに応えるだけでなく、もう1つ付加価値のある診療を提供したいと考えています。患者さんの主訴を診るのはもちろんですが、それに加えて大きな病気の兆候が隠れていないか常に注視し、未然に防ぐことができれば本望です。医療は日々進化していますから、患者さんにとってベストな治療を提供し続けるためには、今のままで満足せず常に知識をアップデートしていくことも大切だと思っています。

訪問診療にも積極的に取り組んでいらっしゃると伺いました。

津森洋院長 津森医院4

そうですね。高齢化の影響で、在宅での医療を必要とする方は年々増えています。自宅で最期まで過ごしたいというご本人の希望をかなえるためには、医師のみならず他職種の方々との連携が不可欠です。そこで当院では、訪問看護ステーションやケアマネジャー、リハビリテーション専門の先生方と常に連絡を取り合えるようにして、さまざまな角度から在宅での療養をサポートできるように努めています。その人が自宅で気持ち良く過ごすことができなければ、本当の意味でご希望をかなえることはできないと思っていますから。

正しい医療知識を広めることにも注力

健康を維持するためのアドバイスがあれば教えてください。

津森洋院長 津森医院5

やはり、定期的に健康診断を受けて異常がないか調べることが大切ですね。病気は早く見つけるに越したことはありません。特にがんは、初期の段階で発見できれば負担の軽い治療を選択できるケースが多いですが、進行すると大掛かりな手術が必要になることもあります。女性の場合、若くても乳がんや子宮頸がんのリスクはありますから、定期検査で早い段階で見つけることを心がけましょう。また生活習慣病に関しては、まずはご自身の特性を知ることが大事です。同じ生活や食事をしていても、血圧が上がりやすい人、上がらない人がいます。自分の体にはどんな特徴があるのかを知って、あらかじめ対処できていれば安心でしょう。当院では思い立ったときにすぐに来ていただけるように、予約不要で健康診断を受けつけていますので、ぜひご利用いただければと思います。

自己判断は禁物ということですね。

そのとおりです。例えばよくめまいや立ちくらみを起こす場合、「自分は貧血なんだ」と思っている人は多いですが、実際に血液検査をしてみると貧血はなく、朝食をきちんと取っていなかったり、水分の摂取量が少なかったりするのが原因だったりもします。自分で判断せずに、正確な診断を得ることが大事です。今はインターネットで簡単に情報を入手できる時代ですが、中には真偽の怪しい情報もありますから注意が必要です。信頼できるかかりつけ医を見つけて、疑問に思ったことに対して適切なアドバイスが得られるようにしておくことをお勧めします。

最後に、今後の展望についてお聞かせください。

津森洋院長 津森医院6

これから地域の高齢化がさらに加速することを見据えて、医療や介護の多職種で連携を強めていきたいと考えています。いろんな専門分野を持つ人を集めて、患者さんにより充実したサポートを提供できるようにしたいです。求めている人に出会うには、自分から積極的に動くことが大事だと思っているので、まずは自分自身の見識を深め、自ら足りないところを探していきたいですね。この地域で患者さんが安心して生活を送っていけるように、今後も精一杯頑張っていきます。

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