さまざまな工夫で患者の負担を軽減
大腸内視鏡検査をもっと身近に
福間内科医院
(松江市/松江駅)
最終更新日:2023/09/21


- 保険診療
男女ともにがん死亡原因の上位を占める大腸がん。誰もが大腸がんになる可能性があると認識しているものの、内視鏡検査のハードルは依然高い。過去に検査を受けた人の中には、下剤を飲むつらさや検査の苦痛から二度と受けたくないという人もいるだろう。しかし、昨今は検査機器の高性能化や飲みやすい下剤に加え、医師の技術向上や検査環境の整備などにより、患者の心身への負担を抑えた快適な検査を実施する医療機関が少なくない。「内視鏡検査は私のライフワーク」と話す「福間内科医院」の福間安彦院長。同院の内視鏡検査には、安全性に重きを置きながら、可能な限り患者の心身への負担を軽減するさまざまな工夫を行っている。これまで多くの大腸内視鏡検査に携わってきた福間院長に、検査の流れや注意点などを聞いた。
(取材日2021年6月22日)
目次
検査しながらポリープなどの切除も可能。がんの予防や早期治療につながる大腸内視鏡検査
- Q大腸内視鏡検査ではどのようなことがわかるのでしょうか。
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▲「内視鏡検査は私のライフワーク」と話す福間安彦院長
大腸ポリープや大腸がんのほか、潰瘍性大腸炎、クローン病といった炎症性の病気、感染性の腸炎などの病気がわかります。腹痛や下痢・便秘、出血、体重減少など気になる症状があれば早めに医師に相談しましょう。また、市の検診で実施される便潜血検査も精度が高いものです。2回分の便で検査するため、異常を見逃す確率は少ないといえます。この検査で1回でも陽性なら内視鏡検査を。これで異常がなければ以後2、3年おきに検査を受けておくのがお勧めです。一般的に喫煙者や高脂肪食を好む人はがんになりやすいといわれますが、そうでない人もリスクはゼロではありません。まずは毎年、便潜血検査を受けることを習慣にしましょう。
- Q検査の流れと所要時間について教えてください。
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A
▲前処置について丁寧に説明。不安なく検査に臨めるよう努める
検査当日は朝9時頃に来ていただき、専用トイレがついた完全個室のリラックスルームで下剤を飲んでいただきます。腸がきれいになるまで3時間程度かかりますので、その間テレビなどを見ながらゆったりお過ごしください。気分が優れないときにはナースコールでお知らせいただければ看護師が駆けつけます。腸がきれいになったら検査室へ移動。検査自体は15~20分ほどで終わることがほとんどです。大きめのポリープが見つかればその場で切除します。また、当院では検査時に麻酔は使用しません。痛みは腸に無理な力がかかった時に起こるため、少しでも痛みを感じたらお伝えください。体に負担をかけないよう微調整しながら検査を進めていきます。
- Q検査の苦痛や不安を軽減するためにどんな工夫をされていますか?
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▲リラックスルームで、くつろぎながら下剤を服用できる
リラックスルームは横になれるソファーもあるくつろぎの空間です。検査着に着替え、お気に入りのDVDを鑑賞するなど自由に過ごしていただけます。ナースコールがなくても看護師が時折声をかけ、目配りを欠かしません。下剤は、医師・看護師が味見して選びました。また、検査室やシャワー室にはリラックスルームからすぐに移動できて、外来の患者さんと顔を合わせずに済みます。そして、カメラは操作性が良いものを使用して腸への負担を軽減。画角が広く、高画質なので見落としの軽減にも役立っています。腸を膨らませるのに使用する炭酸ガスは腸の粘膜から吸収されやすく、おなかの張りが検査後まで残りにくいです。
- Q検査前に注意しておくべきことはありますか?
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▲検査の負担軽減はもちろん、安全のためにも痛みには敏感に反応
検査予定の方には詳しくご説明していますが、何よりご注意いただきたいのは前日の食事です。消化が良いものを軽めに取るようお願いしています。前日に油が多い食事を取られると、検査当日、腸内に油が残りカメラのレンズが曇ってしまいます。検査の精度が下がる上、何度もレンズを拭きながら検査することになり、患者さんの負担も増えることに。ご自身で用意するのが難しければ、レトルトパックになった検査用の食事を利用されてもよいでしょう。また日頃から便秘になりがちな方の場合、当日の下剤だけでは腸がきれいになりにくいため、前日に別の下剤を服用していただきます。朝、ご自宅で便通があった上で来院することが可能です。
- Q大腸ポリープの切除についてメリットとリスクを教えてください。
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▲わかりやすさを意識し、検査画像をもとに結果について説明
メリットはがんのリスクを下げることが期待できる点です。ポリープはもともと大腸にできるできもの(腺腫)で、それ自体は良性ですが、軽度の異型、中等度、高度と徐々に変化することで、最終的に腺がんになる可能性があります。しかし、がん化する前や初期がんの段階で見つけられれば内視鏡治療で切除できます。リスクとしては、まれに事後出血や、穿孔というごく小さな穴が開く可能性がある点。特に穿孔は腹膜炎につながることもあるので、異常を感じたら早めに相談して適切な処置を受けることが大切です。当院ではそれらのリスクがある場合、切除部分を電流で焼いてつぶす通常処置の上にクリップで留めることで、未然に防ぐよう努めています。