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中尾 圭介 院長の独自取材記事

中尾耳鼻咽喉科医院

(米子市/米子駅)

最終更新日:2023/09/19

中尾圭介院長 中尾耳鼻咽喉科医院 main

米子市内中心部にある「中尾耳鼻咽喉科医院」は、父子2代、半世紀以上にわたりこの地で診療を行っている。「耳鼻咽喉科は首から上の外科と内科です。赤ちゃんからお年寄りまで、さまざまな症状で来院されます」と優しく穏やかな口調で話すのは、2代目院長の中尾圭介先生。めまいや難聴、中耳炎を専門に、九州大学病院などで経験を積んだベテランドクターだ。福岡市立こども病院にて小児耳鼻咽喉科医長を務めていた経験もあり、子どもの診療では優しく接することを心がけているという。その豊富な経験を生かし、がんなどの重大な病気の早期発見を心がけ、他科とも連携した適切な医療の提供をめざしている。「病気だけでなく、その人自身を診ることを大切にしています」と話す中尾先生に、これまでの経歴やクリニックの特徴などを聞いた。

(取材日2022年1月13日)

故郷の景色を胸に、福岡の大学病院や基幹病院で活躍

開業して50年以上になるそうですね。

中尾圭介院長 中尾耳鼻咽喉科医院1

父が1955年に開業して、私は2代目になります。最初は米子市公会堂のすぐそばにあり、開業から6年後に今の場所に移転、1996年に現在の建物を新築しました。れんが造りの外観は両親のこだわり。ヨーロッパをモチーフにした国内のテーマパークなどを参考にして建築士さんにお願いしたと聞いています。建物はその時からのものですが、感染症対策のために最近リフォームを行い、以前勝手口だった場所を改装して発熱者用待合室を設けました。換気できるエアコンも増設してこまめに換気をして、院内はスタッフが定期的に消毒を行っています。医療機関は清潔感が大切ですから、スタッフとともにいつもきれいに保つことを心がけていますね。

先生が医師を志したのはお父さまの影響ですか?

そうですね。父の影響もありますし、一生をかけてできる仕事であり、奉仕性の強い仕事だと感じ医師を志しました。でも耳鼻咽喉科に進んだのは、父が耳鼻咽喉科の医師だから、というわけではないのですよ。医学部の学生時代、神経に興味を持っていたので、専門は脳外科か、あるいは子どもが好きなので小児科か、もしくは実家が耳鼻咽喉科なので耳鼻咽喉科にするか、と迷っていたんです。私の師匠である教授が赴任されてきて、神経耳科学といって平衡感覚と聴覚に関する分野を研究されていました。それがきっかけで「耳鼻咽喉科でも神経の診療ができるんだ」と知って、耳鼻咽喉科に進んだわけです。大学ではめまいや難聴、耳鳴りを専門に研究し、出身の九州大学病院や福岡の基幹病院などで長年経験を積ませていただきました。

福岡から米子に帰ろうと思われたきっかけを教えてください。

中尾圭介院長 中尾耳鼻咽喉科医院2

大学病院や基幹病院は原則として予約制で、外来の診察時間も決まっています。午前中は外来診療、午後は手術や入院患者さんの術後の治療や診察、他科からの紹介患者さんの診察などが待っているのですが、子どもの頃から開業医である父の姿を見て育った私としては「午後は外来診療をやっていないんです」とお伝えすることに抵抗がありました。もちろん、大きな病院には高度医療を提供するという大切な役割があるのですが、開業医なら患者さんのお仕事や学校の都合を優先しつつ適切な診療ができて、心苦しい思いをせずに済むと考えました。それともう一つ、大山の存在も大きくて、福岡にいた20年間ずっと心の中にあったんです。その頃、父の体調が悪かったことも重なって、同じ開業するなら故郷の米子でと思い、1996年の春に帰ってきました。

首から上のさまざまな症状を診療し、適切な医療を提供

どのような患者さんが来院されますか?

中尾圭介院長 中尾耳鼻咽喉科医院3

耳鼻咽喉科は、生まれて間もない赤ちゃんからお年寄りまで診る科ですから、父の代からの患者さんや、親子で来てくださる患者さんなど、幅広い世代の方が来てくださっています。私の専門であるめまいや難聴、耳鳴りなどの内耳・中耳の症状から、アレルギー性鼻炎や副鼻腔炎、喉の病気など、首から上のさまざまな主訴で来院されていて、地元の方だけでなく県外からも来ていただいています。難聴は年齢的なものもあれば、突発性難聴や、ある時期に急に進行する遺伝的なもの、それと中耳炎が原因のものなど、いろいろあるんですよ。また、例えば喉の違和感で受診されてがんが見つかる方、血液の病気が見つかる方もいるように、耳鼻咽喉科の症状が、実は全身と関係しているということもありますから、勤務医時代にさまざまな病気を診てきた経験を生かして、病気を見逃さず適切な医療につなげることを心がけています。

病院ではどのような病気を診ていたのですか?

九州大学病院耳鼻咽喉科では、入院患者さんの約8割はがん患者さんでした。主治医として、あるいは回診で、さまざまながんの症状や経過を見てきましたから、今もがんの早期発見に役立っています。それから福岡市立こども病院では小児耳鼻咽喉科の経験もありますが、これは単に子どもの耳鼻咽喉科の分野の病気を診ればいい、というだけではありませんでした。先天的難聴、耳・鼻・喉・首の形状の異常、遺伝的病気などのお子さんも多く、それらは医師が一生で一回出会うことがあるかないか、というような症例でした。開業医でも、新生児健診などで難聴が疑われて受診されるお子さんもいれば、開業医への受診をきっかけに見つかるお子さんもいますから、病気を見逃さないように注意して診療しています。

専門のめまいや中耳・内耳の病気、またはがんなどの大きな病気の相談も多いですか?

中尾圭介院長 中尾耳鼻咽喉科医院4

多いですね。難聴では聞こえが悪い、耳鳴りがするとか、めまいではグルグル回る感じの回転性のめまいや、フラフラするといった症状で相談に来られます。耳鼻咽喉科だけで対応するめまいと、循環器の病気が関係している場合や、神経内科や脳外科などへの紹介が必要な場合もありますから、判断を誤らないように注意する必要があります。また喉では、感染症で命に関わる緊急性の高いものや、声のかすれなどの違和感からがんの前段階や初期のがんが見つかることがありますから、見逃さないように近隣の鳥取大学医学部附属病院などと連携しています。

人としての関わりを大切にして、その人自身を診る

先生の診療方針を教えてください。

中尾圭介院長 中尾耳鼻咽喉科医院5

できるだけ患者さんに優しく、寄り添うことを大切にし、患者さんに受け入れていただきやすいようにわかりやすい説明をするなど心がけています。また検査や治療で痛みを伴うものもありますが、子どもの患者さんがクリニックを嫌いになってしまうのは悲しいですから、お子さんが安心できるように声をかけながら診療をするようにしています。若い頃はどうしても病気を診てその人を診ることを忘れてしまいがちです。特に病気が重大であればあるほどその傾向にありました。もちろん病気を見逃してはいけないという思いがあるのですが、医学的に正しいことが患者さんにとってのベストではありません。ご家庭や仕事の状況などですぐの入院が難しい人もいますから、緊急性がなければ状況が整うまで外来で治療していくなど、まずは個々に合わせて診ることを重視しています。

他院との連携体制はいかがですか?

耳鼻咽喉科は首から上の外科と内科ですから、私たちが診る病気は多岐にわたります。がんなどの重大な病気だと鳥大病院などを紹介していますし、他科の先生の力をお借りする必要があると判断した場合には、連絡を取ってそれぞれの科のクリニックや病院にご紹介しています。耳・鼻・喉の気になること、心配な症状があれば、まずは気軽に来ていただいて、耳鼻咽喉科なのか、それとも他科と協力して治療すべきか、あるいはクリニックで対応できるか、大きい病院を紹介すべきかといった判断を行い、最適な医療へとつなげられるように心がけています。

読者へメッセージをお願いします。

中尾圭介院長 中尾耳鼻咽喉科医院6

耳・鼻・喉の気になることがあれば、気軽にお越しください。風邪は内科のイメージがありますが耳鼻咽喉科でも診ていますし、その他にも体や健康のことで心配があれば、相談していただけるとうれしいです。米子に帰ってきて26年目に入り、父の代からの患者さんが引き続き来てくださったり、帰ってきた頃に診ていたお子さんが立派に成長してご自身のお子さんを連れて来てくださったりと、一人ひとりの患者さんと長くお付き合いができて、医師冥利に尽きる思いです。医師と患者というよりも、お互いに人としての関わりを大切にしていきながら、この地でできることを精一杯長く続けていきたいと思っています。

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