先進のシステムによる
多焦点レンズを用いた白内障手術
ししだ眼科クリニック
(明石市/西明石駅)
最終更新日:2024/02/13


- 保険診療
白内障の根本的な改善をめざす外科手術。クリニックではほとんどの場合日帰りで行われる手術だが、いざとなると躊躇してしまう人は少なくない。明石市にある「ししだ眼科クリニック」の宍田克己院長は、そんな患者の不安を「当然のこと」だと話す。ただ、現在ではライフスタイルに合わせた眼内レンズの選択も可能となり、術後の生活が快適になる可能性が高くなることが望める白内障手術。そこで、気になる眼内レンズの選び方や最近増えている多焦点眼内レンズの特徴、安心のために先進の医療機器をそろえた同クリニックの設備について、詳しく話を聞かせてもらった。
(取材日2023年12月16日)
目次
ライフスタイルに合わせた眼内レンズ選択と先進の設備で、患者が納得・安心できる手術を
- Q白内障の手術に用いられる眼内レンズについて教えてください。
-
A
▲「まずは説明を聞いて検討してほしい」と話す宍田院長
白内障手術は、濁った水晶体を取り除き、眼内レンズを挿入する手術です。眼内レンズは光の集まる焦点部分が見やすくなることが見込めますが、その数によって分類されます。焦点が1つである単焦点眼内レンズなら、1mより先の「遠方」か、一般的な読書距離である30cmから50cm離れた「近方」の1点に焦点を合わせることをめざします。術後眼鏡なしで読書等「近方」を見たいのか、テレビや舞台等遠方を見たいのかよく考えましょう。近年では手術後眼鏡の使用頻度を減らしたい要望があり、複数の焦点を持つ多焦点眼内レンズを選ぶ方も増えています。どの眼内レンズにもメリット・デメリットがありますので、特徴を理解することが大切です。
- Q多焦点眼内レンズを用いることのメリットを教えてください。
-
A
▲一人ひとりの希望を把握し、納得のいく治療を心がけている
多焦点眼内レンズのメリットは、簡単に言うと老眼を減らすことにつながること。保険診療に加え別途追加費用が必要なものがほとんどですが、眼鏡をなるべくかけたくない方に向いています。眼内レンズは複数種類があり、それぞれ見え方が異なりますが、細かなニーズに合わせた選択ができるのもメリットです。ただし多焦点眼内レンズは、夜間の光がにじんで見えたり、まぶしく感じたりする「ハロー・グレア」が起きる場合があるため、夜間に運転する場合には慎重に考える必要も。時間がたてば慣れることも多いので極端に恐れる必要はありませんが、性格として細かいことが気になってしまう方は予想した見え方と違うと許容できない可能性もあります。
- Q多焦点眼内レンズの種類はどのようなものがあるのでしょうか。
-
A
▲眼内レンズの選定について、丁寧な説明を心がけている
主流は三焦点眼内レンズです。三焦点レンズは「遠方」・「近方」以外にパソコンを見る距離である70cmの文字が見やすいことが期待でき、個人差はあるものの以前主流だった二焦点眼内レンズよりハロー・グレアが少ないため、なじみやすい眼内レンズです。夜間のハロー・グレアが生活上問題になる方は手元用の眼鏡が必要ですが遠方から中間までピントが合うタイプの眼内レンズを選びます。片眼ずつ異なった眼内レンズを組み合わせることでそれぞれのメリットの享受をめざす方法を選択する場合もあります。一般に多焦点眼内レンズは見込める付加価値が多いほど追加費用がかかりますが、そのぶん喜んでいただけることにつながると考えています。
- Q手術後すぐに目を使えますか。
-
A
▲安心・安全を大切にし、より精度の高い手術をめざす
翌日から問題なく過ごせる方と、6ヵ月くらい脳が順応する時間が必要な方まで個人差があります。もともと遠方視力の良かった方が術後遠方を見る場合や、もともと近くがよく見えている方が術後近方を見る場合、見にくいなと感じられる場合もあります。光を振り分けることで複数の焦点を作るため、手術前よく見えていた焦点と比べると、見にくくなったと感じるかもしれません。医療に100%はなく、徐々に順応していくまで待つのも一手です。白内障は発展途上国では失明原因の第1位で、手術しなければいずれ失明します。手術することで、悪くなっていく視機能の維持がめざせることは大きな意義があります。
- Q先進の設備も導入されていらっしゃるそうですね。
-
A
▲設備のアップデートにも積極に取り組んでいる
医療の世界は日進月歩ですので、設備のアップデートにも積極的に取り組んでいます。当院では3Dヘッドアップサージャリーを導入しており、手術映像を巨大モニターに切開予定線をデジタル表示することで精度が向上し、照明の光量を減らすことができるため目の負担に配慮した手術を行っています。また、眼灌流圧センサーをハンドピースに内蔵した装置で手術中の眼圧の変動をいち早く検知し、安全性に配慮した手術を追求しています。良い手術をするために設備がすべてというわけではありませんが、先進の機器はリスクの軽減にも役立ちます。白内障手術に関する知識や手技について学ぶことはもちろん、今後も設備にはこだわっていきたいですね。