尾崎 馨 先生、尾崎 元昭 院長、尾崎 可奈 副院長の独自取材記事
尾崎医院
(尼崎市/立花駅)
最終更新日:2023/07/06

JR神戸線・立花駅北口から駅前の商店街を抜け歩くこと10分、住宅街の一角に「尾崎医院」はある。現在名誉院長を務める尾崎馨先生が1974年に開院し、半世紀にわたり地域に密着した医療を提供し続けてきた、地域住民からの信頼も厚い医院だ。2014年に息子で現院長の尾崎元昭先生が診療に加わり、2023年4月に産婦人科医の尾崎可奈先生を迎え、建物も大幅にリニューアル。幅広い症状に対応する総合医療をめざし、新たなスタートを切った。内科、肛門外科をはじめとする外科、婦人科、それぞれの専門性を持つ3人の医師によるチーム医療と地域の医療機関との連携により、オールラウンドに患者を支えている。リニューアルにより何が変わったのか、それぞれの診療内容について話を聞いた。※尾崎の「崎」は山へんに立・可が正式な漢字です。
(取材日2023年5月29日)
内科・外科に産婦人科を加え、医院全体をリニューアル
地域で長きにわたり診療してきた地域密着型の医院だと伺いました。

【馨先生】甲南病院に勤務していた38歳の頃に、当院の前身となる診療所の医師が亡くなり「継承しないか」という話をいただいたのをきっかけに、1974年12月に開業したのがこの医院の始まりです。あれからもう半世紀たちますね(笑)。私が外科医になった頃は、今のように細分化されていませんでしたから、勤務医の頃は甲状腺・肺・心臓・腹部・足の静脈瘤など幅広く診療していました。開業してからも、町の診療所として外科や内科にこだわらずなんでも対応し、患者さんを全体として診るスタンスで総合的な医療を提供してきました。そのスタンスは今も変わりません。開業から50年たち、建物も古くなってきましたし、息子が院長を継承し、義理の娘にあたる可奈先生が産婦人科医として加わることを機に、今年4月に建物も大幅にリニューアルしました。
リニューアルしたことで、院内はどのように変わったのですか?
【元昭院長】老朽化していた医院を建て替えてバリアフリーにし、診察室・処置室などへの患者さんの動線とスタッフの動線が交わらず、患者さんが動きやすいレイアウトにしました。通路も広めになっているので車いすで移動することも可能です。エックス線検査も以前は昔ながらのフィルム式だったので、デジタルエックス線撮影装置を導入しました。エックス線だけでなく骨密度検査やエコー検査のデータもすぐに診察室で見ることができるので、スムーズに診断でき、患者さんへの説明にも役立っています。
【可奈副院長】院内は全体的にパステルグリーンをベースに明るい雰囲気になっています。待合室の壁にガラスタイルをはめ込んでいるので、特に午前中は気持ちのいい光が入るんですよ。そのほか、患者さんへの声かけや移動をサポートする看護助手さんも増員したので、受付や看護師が本来の仕事に集中でき、患者さんにとっても安心できる環境になっています。
発熱症状に対する外来も新たに設けられたそうですね。

【元昭院長】以前は、駐車場にテントを張って発熱時の外来としていたのですが、やはりテントだと天候の影響も受けますし何かと大変なので、発熱症状の方専用の診察室を設けました。入り口も一般とは別にしていて、発熱患者専用の動線を確保しました。風邪や新型コロナウイルス、インフルエンザ、ノロウイルスなど感染症が疑われる患者さんに利用してもらっています。
3人の医師によるチーム医療で、患者の生涯に寄り添う
新たに設置された産婦人科の外来の診療内容についてお聞かせください。

【可奈副院長】これまで神戸大学医学部附属病院や兵庫県立病院で主に診療してきました。産科・婦人科全般を含め、大学病院では周産期医療の分野で仕事をしてまいりました。今までの診療経験を生かして、尾崎医院では妊娠初期と産後ケア、手術、月経困難症や月経不順などの月経の悩み、更年期障害、性感染症、子宮がんの検査などに対応しています。当院では、入院設備はなく分娩を扱っていないので、妊娠判明後は、初期流産期を超えた段階でご希望の分娩施設へ紹介させていただいています。思春期から更年期まで女性ならではの悩みに寄り添い、患者さんが気軽に相談できる場になればと思っています。
産婦人科を設置するにあたって配慮したことはありますか?
【馨先生】一般の外来と産婦人科の外来の待合室をパーティションで仕切って、産婦人科にはさらに専用の中待合室を設けているので、診察室への出入りなど男性の患者さんの視界に入らないようにするなど、プライバシーに特に配慮しています。
【可奈副院長】診療科が産婦人科だけではないので、婦人科への診療にためらいがある方も、「町の医院に行く」ということで敷居の高さを感じることなく、プライバシーの面でも安心して気軽に来ていただけます。
内科・外科・産婦人科がそろうことで、診療ではどのようなメリットがあるのでしょうか?

【可奈副院長】更年期になると女性ホルモンが低下し、その影響でさまざまな病気が起きやすくなります。骨粗しょう症をはじめ、高血圧症や脂質異常症、糖尿病や動脈硬化など生活習慣病のリスクも向上。更年期障害の症状で産婦人科に来られた患者さんにそうした病気が疑われるような時も、生活習慣病に関する治療に対して経験豊富な2人の医師がいるので、チーム医療で患者さんをサポートすることができます。それが当院の一番の強みですね。
【元昭院長】逆に高血圧や脂質異常症などが発症する年齢の患者さんでは、更年期障害を抱えている方も含まれるので、婦人科の診療を受けてもらい、漢方やホルモン治療を行うこともできます。
【馨先生】違う科目の診療を受ける場合、大きな病院だとまた別の日に予約を取らなければいけないところを、当院では診察枠に余裕があればその日のうちに診ることができるので、患者さんの負担軽減にもなっていると思います。
病気を未然に防ぐために、定期的な健康診断や検診を
訪問診療にも対応しているのですか?

【元昭院長】午前診と午後診の間に、3人の医師が交代で各自が担当する患者さんのご自宅に訪問しています。
【馨先生】かかりつけで通院してくださっていた患者さんが高齢になり通院できなくなった場合など、主に近隣地域に対応しています。でも、昔からの患者さんとのつながりもある中で、いろいろな事情でこの地域を離れている方もいらっしゃるので、時間的に可能であれば少し遠方まで伺うこともありますね。
日々お忙しいと思いますが、どのようにリフレッシュしているのですか?
【馨先生】それはもうゴルフですね。今86歳なんですが、最近は3月にゴルフクラブの大会で優勝しましたし、4月も別の大会で優勝しました(笑)。ゴルフが一番のリフレッシュ法です。
【元昭院長】父は本当にゴルフがうまくて、いろいろと賞品ももらってくるので、私たち夫婦はその賞品のおすそ分けを楽しみにしているんです(笑)。私はスキューバーダイビングが好きなんですが、今は子どもが小さくて時間がないので、子どもたちが大きくなったらまた一緒にやりたいですね。
【可奈副院長】私はたまにストレス発散でクラシックやポップスなどピアノを弾きます。でもやっぱりリフレッシュはお酒ですね(笑)。夫婦で毎晩おいしいお酒を飲むのが楽しみです。
最後に読者へメッセージをお願いします。

【可奈副院長】若年女性や中高年女性においては、特に子宮がんの予防が大切です。そのためには、HPVワクチンによる予防、定期的な子宮がん検診が重要と考えます。婦人科症状が有る場合はもちろんの事、検診だけでも気兼ねなくお越しいただければと思います。
【元昭院長】当院では、どんな症状にも対応できるよう間口を広げ、必要に応じて専門医療を紹介します。また、病気の治療だけでなく、健康診断や各種検査を通して地域の皆さんの健康を支え、生涯を通してサポートしたいと考えています。
【馨先生】病院は具合が悪くなってから行くところと思われがちですが、病気にならないために行くところでもあります。人生100歳をめざすためにも、悪いところがあればすぐ気づいて対処できるように、検診を受けることがとても大切。それを皆さんに知ってほしいですね。健康に不安があるときには、なんでも相談にいらしてください。
自由診療費用の目安
自由診療とはHPV(子宮頸がん)ワクチン (4価 または9価ワクチン)
一般 4価HPVワクチン 1万6500円/回 3回接種
一般 9価HPVワクチン 2万7500円/回 3回接種(9-14歳は2回接種可)
子宮がん検診:尼崎市助成 1500円(2年おき)、 一般 4650円