気軽に受けたい骨粗しょう症の検査
骨折しない毎日を送るために
武部整形外科リハビリテーション
(尼崎市/立花駅)
最終更新日:2025/01/16


- 保険診療
日本の総人口の10%程度、約1300万人の患者がいるといわれる骨粗しょう症。加齢などが原因で骨が弱くなり、骨折しやすくなる病気だ。高齢者が骨折すると、これまでの生活がたちまち難しくなり寝たきりになる恐れもあるため、治療や予防の重要性が指摘されている。ただ、骨粗しょう症や骨密度の低下は自覚できず、検査や治療への意欲を保てない人も多いという。高齢の患者も多数訪れる「武部整形外科リハビリテーション」では、骨密度を詳細に計測できるよう骨密度測定装置を活用して骨粗しょう症の診療に取り組んできた。武部健院長は国内外で発表された新しいデータも参考にしながら、患者にとってわかりやすい説明や続けられる治療に工夫を凝らす。そこで、同院で行っている骨粗しょう症の検査や治療の流れを詳しく紹介してもらった。
(取材日2022年12月27日)
目次
検診・治療前の素朴な疑問を聞きました!
- Q骨粗しょう症とは、どんな病気なのでしょうか?
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A
骨の強度が低下して弱い骨になり、骨折しやすくなるのが骨粗しょう症です。骨の強度は誰でも年齢とともに低下しますが、特に女性では閉経による女性ホルモンの減少が大きく影響します。また腎機能が低下してカルシウムの代謝が良くない方や糖尿病の方、ご家族に大腿骨近位部骨折など骨粗しょう症による骨折の経験者がいる方、さらにステロイドなどの使用歴がある方も骨折の可能性が高まります。女性がなりやすい病気ですが、男性でも起こります。骨強度の低下は自分ではわからないので、検査や治療をしていない方では転んで大腿骨近位を骨折したり、気づかない間に背骨が圧迫骨折する「いつの間にか骨折」をきっかけに見つかることが多いですね。
- Q検査を受けるべきタイミングや頻度を教えてください。
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A
当院では、70~80代で今までに骨密度を測定したことがない方には、骨密度測定を積極的にお勧めしています。女性は閉経後に骨密度が急激に低下するので、閉経を迎えたら1回は検査を受けられても良いのではないかと思います。大腿骨近位部骨折や脊椎骨折のある方、骨強度の低下による骨折があり、骨密度が若年成人平均値の80%未満の場合、骨折がなくても骨密度が若年成人平均値の70%未満である場合も骨粗しょう症と診断されます。骨粗しょう症と診断された場合は6ヵ月ごとの骨密度検査をお勧めします。最初の検査で骨粗しょう症でなかった場合は、その時の年齢や骨密度によりますが、1~2年ごとに検査を受けることをお勧めします。
- Qどのような治療法があるのでしょうか。
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A
薬物療法と食事と運動、これが骨粗しょう症の治療の3本柱です。薬には飲み薬や注射薬などの種類があり、それぞれ服用・投与間隔が異なります。骨密度や年齢など患者さんの状態や患者さんの生活スタイルを考慮して、薬を選択します。それから骨は刺激によって強くなりますので、運動をすると骨密度の上昇が期待できますし、運動することでバランス能力が高くなるので、転びにくくなるという効果も期待できます。食事に関してはカルシウムが重要で、1日700~800mgは摂取してほしいですし、カルシウムの吸収を助けるビタミンDも大事な栄養素です。当院では、具体的な食品や運動法を紹介します。
検診・治療START!ステップで紹介します
- 1医師による問診
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診察室では、腰痛や関節痛などの痛みがあるか、これまでの骨折歴の確認、腎臓や糖尿病などの病歴、女性では閉経の時期、ステロイドなどの投与歴、家族に大腿骨近位部骨折や脊椎骨折があったかどうかなどを確認。過去に骨密度検査を受けた経験があったり、最近受けた血液検査の結果などがあれば、一緒に伝えておこう。問診の内容から、必要があれば骨密度を測定する。
- 2DEXA法を用いた骨密度測定
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同院のDEXA法による骨密度測定器では、ベッド部分に仰向けになり、腰回りや足の付け根付近に微量のエックス線を当てて測定を行う。ベルトやカイロなどの金属類があれば外したりずらして測定を行うので、着替えは必要ないという。特別な準備は不要で、痛みはなく、身体への負担も少ないので、高齢者でも気軽に受けられる検査だ。測定そのものは2~3分程度で、結果の解析も数分で終わるという。
- 3結果説明と治療法の選択
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検査結果から患者の骨密度と若年成人平均値を比較して診断をつける。薬物治療を行うことになれば、採血採尿検査を行う。採血では骨代謝マーカーで骨の状態などを確認する。採血・採尿の結果や骨密度や年齢などを考慮して、使用する薬を選択。食事や運動についても、何をどのように食べれば良いのか、どんな運動をどの程度すれば良いのか、さらに日光を浴びるメリットなど、具体的な説明が行われる。
- 4薬物治療をスタート
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内服薬では、起床時に多めの水で飲み、その後は横にならないなど特殊な飲み方をする薬もあるので、服用方法を守る。注射剤を選択した場合は、決まった時期に受診して投与を行う。毎日、週1回、月1回、半年に1回、年1回とさまざまな投与間隔があり、効果を保つには投与を忘れないことが重要だ。ビタミンDなど補助的な薬も使用されるが、他疾患で服用している薬が多い場合には、医師と相談して種類を絞ることもあるそう。
- 5定期的な通院で経過を観察
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定期的な通院できちんと内服や注射ができているかどうか、副作用が出ていないかを確認する。6ヵ月ごとに骨密度測定を行い、骨の状態を確かめる。薬剤の効果を判定するために、採血検査で骨代謝マーカーの測定も行い、治療に対するモチベーションの維持にもつなげている。また運動や食事の指導では、同院で作成した資料やメニューも使いながら、患者の治療意欲が続くように工夫しているという。