広瀬 文隆 院長の独自取材記事
新神戸ひろせ眼科
(神戸市中央区/新神戸駅)
最終更新日:2025/10/02
神戸市営地下鉄山手線の新神戸駅から、歩いてすぐの所にある「新神戸ひろせ眼科」。院長の広瀬文隆先生は、専門とする緑内障をはじめ、白内障・結膜・角膜・まぶたや網膜、視神経の病気など、目に関する幅広いトラブルを診療する、穏やかで真摯な人柄のドクターだ。2018年4月に開院し、院内にはさまざまな医療機器や設備を導入。近隣の専門医療機関と密に連携する他、白内障などの日帰り手術や短期入院手術は、広瀬院長自身が神戸アイセンター病院で行っている。「質の高い医療を提供し、患者さんから信頼される存在でありたい」と語る広瀬院長に、専門とする緑内障のことや診療に対する思い、今後の展望を聞いた。
(取材日2018年11月12日/情報更新日2025年9月26日)
専門の緑内障の他、幅広い目のトラブルに対応
開院から7年がたちました。まずは、開院を決めた理由や経緯をお聞かせください。

ここを開院する前は、神戸市立医療センター中央市民病院の眼科で、緑内障診療のチーフとして、緑内障の手術や研究、学術活動などに携わっていました。救急にも力を入れている総合病院で、緑内障や白内障だけでなく緊急手術が必要な網膜剥離や眼球破裂などの患者さんも担当し、多くの経験を積むことができました。その頃、患者さんの紹介でやりとりがあったのが、以前ここで開院されていた「林みち子眼科」の林倫子院長です。ある時、林先生からクリニック継承のお話をいただき、それをきっかけに開業を考えるようになりました。それまで中央市民病院では紹介された患者さんの手術と治療を行い、できるだけ早く元のクリニックにお返しする必要がありましたので、患者さんとは短い付き合いとなってしまうことも多かったです。ただ、特に緑内障は経過の長い病気です。一つの場所に腰を据えて、身近な立場で患者さんと向き合いたいと考え、開院を決意しました。
木目調の落ち着いた雰囲気が印象的ですね。内装でこだわった点はありますか?
林みち子眼科の頃から特に大きくは変えていませんが、待合室は不安を抱えた患者さんが過ごす場所なので、壁紙や床は落ち着いた色合いを意識しました。また、院内はバリアフリー設計で、足の不自由な方や車いすの方が移動しやすいよう、スペースに余裕を持たせています。診療面では、以前の病院では電子カルテを使っていたのですが、今は林みち子眼科の紙カルテを引き継いで使っています。電子カルテに変えることも考えてはいますが、実際に紙カルテを使ってみると、患者さんのお顔を見ながら、片手で書けるという大きなメリットに改めて気づきました。経過の長い患者さんも紙カルテをパラパラと見れば、経過を大まかにつかむことができるので、最近は紙カルテの良さを実感しています。
患者さんの年齢層や、主な症状について教えてください。

近くに住宅街があるので、以前から通ってくださっている高齢者の方を中心に、小学生以下のお子さんや、会社勤めの方など年齢層は幅広いですね。「知人や家族に勧められた」「自宅が近い」ことなどをきっかけに、当院のホームページを確認していらっしゃる方も多いようです。病気の種類では緑内障の患者さんが目立ちますが、それ以外にも白内障、網膜、視神経の病気、まぶたの病気まで目に関する幅広い症状の方がいらっしゃいます。また、目の充血や目やに、かゆみ、ドライアイ、流涙など、視力と直結するわけではないものの、「早くなんとかしたい」という症状の方も多いですね。大きな病院にいた頃は手術が必要な重症の患者さんが多かったのですが、今はこうした前眼部の病気も大切に診療したいと思っています。
患者と近い距離感で、長くしっかりと向き合う
検査・治療機器が充実していると聞きました。

基本となる検査や治療ができるよう、一通り必要な物はそろえています。例えば、緑内障では見える範囲がとても大事なので、視野計は手動と自動の物を置いています。また、眼底の網膜や神経を検査する通常の光干渉断層計(OCT)に加えて、ずっと研究をしてきた閉塞隅角(へいそくぐうかく)緑内障という進行が早い緑内障を見つけるための前眼部OCTを新たに導入しました。あとは網膜にレーザー光線を当てて治療する機器や、白内障術後に発生する後発白内障を治療する機器など。患者さんのお役に立てるように、いろいろ用意していますね。
先生が専門とされている緑内障は、自覚症状がなく進行する怖い病気というイメージがあります。
緑内障は、他の病気と比べてどういう病気かが理解しづらいと思います。さらに「失明原因の1位が緑内障」といわれており、患者さんは「緑内障にかかったら失明する」と思ってしまう。その怖さや不安を取り除くことが僕たちの役目だと思っています。緑内障と一言で言っても、程度の軽いものから重いものまであります。必要以上に怖がらず早めに検査を受けて、必要であれば治療を開始することが適切な対処法です。よく発症する年齢は、一つの区切りとして40歳以上といわれており、遺伝的な要素もあります。ご両親やご兄弟に緑内障の方がおられる場合は一度検査しておくといいかもしれませんね。そしてもし緑内障が見つかった場合は、きちんと治療を続けることが大切です。生活に不自由がないからと、次の診察に来ない方も時々見受けられるのですが、緑内障は自覚症状がなく進行する病気です。ご自身の将来のためにもしっかりと治療を受けていただきたいですね。
こちらを開院されて、患者さんに対する思いはどのように変わりましたか?

距離感がとても近くなりました。中央市民病院にいた頃は完全予約制だったので、患者さんに何か変わったことがあっても気軽に診ることが難しかったです。今は、外来に出ている時間も長いですし、今のところ予約制ではないので、何か不安に思うことや調子の悪いことがあれば、いつでも来てもらうことができます。僕自身、大きな異常がなくてもきちんと説明をして、「安心した」「来て良かった」と言ってもらえることがうれしいので、ここで診療するようになって良かったなと思っています。
インターネットの情報をうのみにせず、しっかり診断を
先生はなぜ、眼科の医師を志されたのでしょうか?

両親が医師だったわけではないですし、僕自身も小さい頃から医師になろうと思っていたわけではありません。高校では理系だったので、正直なところ最初は工学部に進学しようと考えていました。しかし、高校3年生になって何が自分に向いているかを考えた時、人と関わる仕事がしたいと思い医学部をめざしました。眼科に進んだ理由は、学生時代にいろいろな科を実習で回っていた時に、白内障の手術を見たことがきっかけです。濁った水晶体を取り出し、透明なレンズを入れる手術を見て「きれいで面白い手術だな。自分もやってみたいな」と思いました。加えて眼科という分野は、診断から治療、手術まで一通りのことを自分でできるので、そういった点にも魅力を感じました。
今後の展望をお聞かせください。
患者さんに信頼される存在でありたいですね。まずはクリニックとしての基礎をしっかりとつくり、今まで携わってきた緑内障の分野で患者さんのお役に立てるよう、診断・治療に力を入れたいと思っています。また、これからも積極的に情報を発信し、緑内障をはじめ眼科の分野全体に貢献することを大きな目標にしています。
最後に、読者へメッセージをお願いします。

今はインターネットで調べると、すぐにいろいろな情報が出てきます。緑内障をはじめ、さまざまな病気の情報が簡単に手に入るため、必要以上に心配をして、怖くなることもあるかと思います。ただ、人間が一人ひとり違うように、病気の状態も一人ひとり違います。インターネットの情報をうのみにせず、きちんと眼科医師の診察を受けた上で相談し、治療を行っていくことが大切です。症状やお悩みを直接お聞きし、一番適した方法を一緒に探していきますので、どのようなことでもお気軽にご相談ください。

