まぶしくない、短時間で完了する
先進的な機器を活用した眼底検査
山中眼科クリニック
(神戸市東灘区/住吉駅)
最終更新日:2024/08/23
- 保険診療
これまで、眼底検査を受けた経験はあるだろうか? まだないという場合は、ぜひ受診を検討してほしい。眼底は眼球内部の奥側の部分で、網膜が広がっている。この網膜に問題があると、視力を失うことになりかねないからだ。「私たちは五感の中でも、特に視覚を通して多くの情報を得ています」と「山中眼科クリニック」の山中昭文理事長。「視力を失うと、生活の質が大きく低下してしまいます」と、目の健康管理の重要性を訴える。患者の負担がより少ない先進的な検査機器を導入して、眼底検査の普及、網膜疾患の早期発見に尽力する山中先生に、眼底検査の大切さや新しい機器を活用した検査の特徴などについて、わかりやすく詳しく解説してもらった。
(取材日2024年7月18日)
目次
大切な視力を守るために、40歳を超えたら一度は検査を
- Q眼底検査の目的について教えてください。
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A
眼底は眼球内部の奥側にあって、網膜が広がっている部分です。目に入った光を網膜が感じて、その情報を脳に送ることで私たちはものを見ることができます。フィルム式のカメラに例えるとフィルムに該当する部分ですね。このため、網膜に問題があると見え方に支障を来します。例えば、小さな虫や糸くずが飛んでいるように見える飛蚊症は代表的な網膜疾患の自覚症状の一つです。しかし、高血圧網膜症、糖尿病網膜症はほとんど自覚症状がなく、網膜に穴が空く網膜裂孔、網膜が剥がれる網膜剥離などでも前兆として飛蚊症が現れることもありますが、放置されることも多いため、眼底検査を行い病気の有無を早期に発見する必要があります。
- Q眼底検査を受けるべき目安などはありますか?
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A
網膜疾患は加齢とともに増えるので、見え方の異常などや自覚症状のあるなしに関わらず、40歳を超えたら一度は検査を受けていただきたいですね。また、急に飛蚊症のようなものが見えるようになった、以前からあったが最近数が増えた、さらに以前はあったのに見えなくなったという場合はいずれも要注意です。飛蚊症があるのに一度も眼底検査を受けたことがない場合は、安心のためにぜひ検査を受けてください。また、碁盤の目のような規則的に並んだ線を見て、歪んで見えるといった場合は、網膜の中心部分にある黄斑(おうはん)やその付近に問題がある可能性が考えられます。
- Q一般的な眼底検査はどのように進められるのですか?
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A
網膜は目の奥にあるため、網膜の状態を診るためには瞳を開く散瞳(さんどう)が必要となります。散瞳剤を点眼して、瞳孔が開くまで小一時間ほどの時間が必要です。検査後も瞳が開いた状態が半日程度続くために、その間は自動車の運転などはできません。パソコンのディスプレイやテレビなどを見ても、光がまぶしく感じて普段通りに作業をしたり、番組を楽しんだりするのは難しいですね。最近は、「タイムパフォーマンス」という言葉がありますが、どちらかといえばタイムパフォーマンスの悪い検査で、積極的に検査を受けようという方は多くないのが現状です。定期検診でも「散瞳検査は次回でいいか」となりがちです。
- Qこちらでの新しい検査法について教えてください。
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A
深刻な疾患の発見につながる検査でありながら、患者さんの負担があり、医師には高い経験と技術を要求されることがネックになっている眼底検査をもっと効率よく実施することは長く眼科の課題でした。それが近年の技術革新によって独創的なレンズとデジタル技術を駆使した検査機器が開発され、この課題が改善されたのです。この新しい機器を使うと、散瞳することなく、眼球の奥はもちろん、眼球の半分より前側の部分も含め、ごく短時間で広範囲の撮影が可能です。狭い範囲しか見られない従来の方法と異なり、パノラマ画像として一望でき、また拡大して細部まで確認もでき、拡大しても画質が低下しにくいこともメリットです。
- Q新しい機器には弱い部分はないのですか?
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A
もちろん、先進的な機器にも弱点はあり、瞬きを止めるのが難しい方、眼球をキョロキョロと動かしがちな方、白内障などがある方は、確認できる範囲が狭くなってしまいます。もしこの検査で疑わしい状態が確認できた場合は、従来の散瞳追加精査が必要となる場合があります。このため従来の方法で眼内の隅々まで確認する経験とスキルが求められ、網膜の治療を専門とする私が専門性を発揮できる部分でもあります。