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髙丘 将 院長の独自取材記事

髙丘医院

(東大阪市/吉田駅)

最終更新日:2024/03/11

髙丘将院長 髙丘医院 main

東大阪市古箕輪、府道21号線(八尾枚方線)から東へ入ると、住宅街の中に芝生の緑も鮮やかな「髙丘医院」が見えてくる。先代が診療してきた内科医院を受け継いだ髙丘将(すすむ)院長は、専門である小児科とともに、内科や皮膚科も引き続きサポート。地域で親しまれてきた同院だけに、乳幼児から高齢者まで幅広い年代の患者が訪れており、生活環境や家族関係にも考慮しながら診療を行っている。大事にするのは、患者本位の治療。親子連れには子どもの回復を最優先にした生活指導を行い、高齢者には心に響く言葉を選びながら声をかけているという。「どのような患者さんが来ても適切な初期対応ができるように取り組んでいます」と穏やかに語る院長に、同院の特徴や日々の診療への思いについて聞いた。

(取材日2018年10月9日)

小児専門からオールラウンドな地域密着型医療へ

明るく広々とした院内ですね。医院の歴史を教えてください。

髙丘将院長 髙丘医院1

「髙丘医院」のスタートは、私の父が開業した内科と小児科の医院です。今の建物の横には、父の時代に使っていた建物がそのまま残っています。私は2000年からここで勤務を始めましたが、当初は父も診療を続けていたので、2人体制でしたね。現在の建物は私が勤務を始めた頃に新築したもので、院の北側と南側、両方に駐車場や駐輪場を設け、どちらからでも院内に入りやすいようになっています。また私はそれまで、総合病院の小児科で経験を積んできたので、子どもの患者さんも積極的に診たいと考えていました。そこで、待合室を広くとって日当たりのよい場所にキッズスペースを設けたり、処置室を診察室より奥に配置して物音や泣き声が待合室に届かないようにするなど、お子さんも大人も快適に受診できるよう配慮しています。

2代目ということですが、早くから医師になろうとお考えでしたか。

いえ、多少意識し始めたのは高校生になってからですね。周囲からも医院を継ぐことを期待されるようになり、悩んだ時期もありましたが徐々に受け入れました。小児科を選んだのは、医師国家試験に合格してからです。子どもは素直で裏表がなく、気持ちがわかりやすいことが決め手になりました。近畿大学を卒業した後は、小児科の医局や関連病院で10年余り勤務していました。専門は小児の神経疾患でしたが、あらゆる疾患を診るのが医局の方針だったので、さまざまな経験ができました。また、医局には大勢の医師がいて、診療だけでなく休憩中の雑談の中でも学ぶことが多く、充実していました。当時の同僚たちとは、今でもよく集まるんですよ。

周辺の環境や受診の様子について教えてください。

髙丘将院長 髙丘医院2

この周辺は駅から少し離れた、古くから暮らしている方の多い、昔ながらの地域です。2世代、3世代で同居されているご家庭もありますね。一方、最近では田畑がマンションや新しい住宅地に変わったり、大型のスーパーマーケットができたりもしています。そんな場所ですから、患者さんは徒歩や自転車、自動車とさまざまな方法で通院されています。一般外来は慢性疾患の外来と急性疾患の外来に分けて感染予防を実施しており、健診や予防接種も専用の時間帯を設定しています。いずれもパソコンやスマホから予約できるようになっています。一般外来は、直接来院された方も診察させていただきます。

患者を支える家族の存在にも目を向けて

どのような患者さんが受診していますか。

髙丘将院長 髙丘医院3

来院する患者さんは医院の周辺に暮らす方が中心です。お子さんと大人が半々ぐらいでしょうか。乳児健診や予防接種を行っていますので、下は乳幼児から、上はかなりご高齢の方まで、年齢層は幅広いですね。夕方になると、お仕事帰りの方も増えます。お子さんでは風邪や胃腸炎などの流行性疾患が多いですね。季節の変わり目には花粉症や気管支喘息など、アレルギー症状でのご相談も増えます。一方、高齢者では高血圧、脂質異常症、糖尿病などの生活習慣病を中心に、季節によっては流行性疾患の方も大勢来られます。かかりつけ医院ということで、流行性疾患の患者さんは年齢を問わず多いので、週に1回はSNSを私自身で更新して、流行が始まっている病気や予防接種の情報をお知らせしています。

子どもの診療では、どのような点を大事にしていますか。

子どもの体調や気持ちを最優先することでしょうか。今、共働きのお母さんが増えていて、お子さんが体調を崩しても休みをとるのが難しいですよね。「いつから仕事に行けますか」とよく聞かれますが、症状によっては、「熱が下がっても、1日ぐらいはおうちでゆっくりさせてやれたらいいのでは」と、子どもの立場からお話しするようにしています。お母さんの置かれた状況やお気持ちとは食い違うこともあり、難しさを感じてはいますが、子どもは体調の悪いときこそ「お母さんにそばにいてほしい」と思うものです。小児科の医師としては、子どものためにお母さんが融通をつけられるような社会であってほしいと願っています。

では、ご高齢の方の診療で、心がけていることはありますか。

髙丘将院長 髙丘医院4

ご高齢の方では、見た目がお元気そうであったり、ご本人が「寝ていれば治るから、大丈夫です」と言っていても、検査をしてみると肺炎の初期であったなど、思ったより悪化している場合があります。高齢者の「ちょっとだけつらい、だるい」は軽視せず、必要な検査は行うようにしていますね。そういう患者さんは、ご本人が大丈夫だといっても、お嫁さんやご家族が家での様子を見て心配して連れてくるケースが多いので、付き添いの方の意見も聞きながら診療していきます。それでも「大丈夫だから」と治療を拒むお年寄りには、話題になった著名人の病気の話題を出したり、あるいは「体調が悪い」よりも「こじらせていますよ」と表現すると、治療の必要性を感じてもらえるようですね。

どのような患者にも適切な医療を提供したい

子どもや高齢者の診療では、ご家族の関わりも大事ですね。

髙丘将院長 髙丘医院5

そうです、調子の悪いお子さんやお年寄りを連れてくるのも、自宅で看病されるのも、多くのご家庭ではお母さんやお嫁さんです。ご本人への説明も一緒に聞いてくださいますし、食事や生活についてはお母さんやお嫁さんへの情報提供がいっそう大事になります。ただ、皆さん忙しい中で来られるので、診察を受けて薬をもらったら安心して、私の説明は診察室を出たら半分、家に帰れば7~8割は忘れてしまっているのではないかと思います。逆の立場になってみれば、私も多分同じですから(笑)。他のご家族に「どうだった?」と聞かれても、「たいしたことなかったよ」と。ですから、大事なことはなるべく2回は説明するように心がけています。

ところで、東日本大震災の復興支援で診療に行かれたそうですね。

お盆休みを利用して、福島県須賀川市にある公立病院の小児科の診療支援に行ってきました。現在も小児医療の診療支援に関する案内が届きます。本当はどのような状況にあるのか、現地を自分の目で見てみたいと思っていました。須賀川市では通常は常勤の先生だけで診療されていますが、ぎりぎりの人数で対応しているとのこと。お盆休みのため周囲のクリニックは休診となり、患者さんが総合病院に集まるので忙しかったですね。診療したのは4日間でしたが、常勤の先生方にはお盆休みをとってもらえたようです。翌年には岩手県大船渡市にも行きました。こちらは津波の被害が大きかったところです。本来なら海岸沿いの景色のいい場所でも高い堤防が建設されコンクリートの壁しか見えなかった時に複雑な思いをしました。それでも地元の人たちは復興に向けて頑張っていることを感じ取ることができました。機会があれば、また行ってみたいですね。

最後に、これからどのような医療を行っていきたいか、お聞かせください。

髙丘将院長 髙丘医院6

地域密着型の医療をする医師に求められるのは、「広く浅く」の医療だと思っています。1人の人間が持てる知識量は、個人差はあるもののほぼ決まっていると思いますので、専門性をもって深く診療するか、あるいは多少浅くなるけれど幅広く対応するか。当院には赤ちゃんから100歳を超える高齢者まで来られますし、問題となる疾患も幅広い。地域における医療の相談窓口という立場ですので、どのような患者さんが来ても適切な診療を行い、必要に応じて専門的な医療機関につないでいくことが大事だと考えています。同時に、専門的に取り組んできた小児診療だけでなく、内科や皮膚科についても学ぶ機会を持ち続け、よりレベルアップしていきたいですね。

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