岡本 仁史 院長の独自取材記事
岡本眼科
(東大阪市/八戸ノ里駅)
最終更新日:2024/10/15

近鉄奈良線・八戸ノ里駅から北東へ、にぎわう駅前を抜けた一角にある「岡本眼科」。入り口前には広大な屋根が設置され、院内は段差のないワンフロアで、高齢者や視力に不安のある患者も移動しやすい。50年近くこの地域で診療を続ける同院では現在、2代目の岡本仁史院長が、日常的な眼科疾患をはじめ専門である緑内障や糖尿病網膜症の治療、さらに白内障では日帰り手術も行うなど、目の悩みに幅広く対応する。各患者の目線に合わせたわかりやすい説明を重ねて、病状の理解や治療の継続をサポートするのが同院のスタイルだ。「スタッフも私の意図を的確に把握し、患者さんと丁寧に向き合ってくれています」。専門性の高さと親しみやすさを兼ね備えた同院の診療や、目の健康に影響しがちな最近の生活変化について、岡本院長にじっくりと話を聞いた。
(取材日2023年8月3日/最終更新日2024年8月29日)
理解しやすい説明を重ねて安心で気持ちの良い治療を
この地域で長く診療を続けてきた眼科医院だそうですね。

当院は私の父が1975年に開院し、私自身は15年ほど前から診療を行ってきました。以前はもう少し八戸ノ里駅寄りの場所にあったのですが、10年ほど前に今の場所へ移転し、眼科手術のできる環境を新たに設け、新しい検査機器も導入しています。時代とともに診療環境は刷新しますが、当院では昔から今も変わらず「わかりやすく丁寧な説明」を大事にしています。というのは、症状への不安や、通院や投薬の負担感、手術の怖さなどを和らげるためには、患者さんがご自身の病状について、またなぜこの治療をするのか・この薬を使うのか、きちんとご理解いただくことが非常に大事だと考えてきたからです。もちろん、多くの説明を1回でお伝えするのは難しいことも多いので、毎回の検査結果など視覚的な情報も交えながら、繰り返しお話しさせてもらいます。患者さんの目線に立ち、安心して気持ち良く治療を受けてもらえるように努めています。
どのような患者さんが、どんな症状で受診されていますか?
目の病気や不調は、お子さんから年配の方まで、幅広い年代で起こります。自覚症状として多いのは、かすみ目や、目のどこかが痛い、あるいは目に違和感がある、という訴えです。ドライアイや逆さまつげは年齢を問いません。ただ、若い方では結膜炎やものもらいのように急性の病気が多く、継続して受診されているのは、主にご高齢の方ですね。白内障は年齢を重ねるにつれて増える病気ですし、私の専門である緑内障に関しては、健診の眼底検査で異常を指摘された方や、他の症状で受診された際に偶然見つかる方も多くおられます。また、糖尿病を治療中の患者さんも多く来られます。
ご専門である緑内障の診療について、教えてください。

緑内障は眼圧の影響で視神経が傷み、視野が徐々に欠けていく病気で、わが国での失明原因の第一位です。ただ、かなり進行しないとご自身で症状に気づくことはほぼないですし、日本人では眼圧が正常範囲内であっても神経が傷んでしまう「正常眼圧緑内障」が非常に多いです。このため、早期に病気を見つけて治療を始めることが重要で、当院では他の症状で受診されている患者さんにも、緑内障が隠れていないか必ずチェックしています。検査としては、眼底検査、視野検査、眼圧測定などのほかに、当院では光干渉眼底三次元画像解析・血管撮影装置で、早期診断を図ります。治療は点眼薬で眼圧をなるべく下げることをめざすのが基本ですが、レーザー線維柱帯形成術(SLT)というレーザー治療を行える場合があり、当院でも実施しています。勤務医時代には非常に多数の手術治療を行ってきましたので、その経験を生かして診療にあたっています。
かかりつけ眼科の良さを生かした日帰り手術
白内障では日帰り手術を実施しています。

白内障では、レンズの役目を果たしている水晶体が加齢によって濁り、視力が低下したり視野がぼやけたりします。濁ってしまった水晶体は取り除き、人工のレンズに入れ替える「水晶体再建術」で視力の回復を図ります。院内で日帰り手術を受けていただけますし、多焦点眼内レンズにも対応しています。白内障手術の際には、日頃から外来で患者さんに応対している気心の知れた看護師が手術室に入りますので、患者さんも普段の診療の延長のような雰囲気で、手術を受けてもらえるのではないかと思います。なお、結膜弛緩症のため下まぶたからはみ出した白目の表面を縫合して治療する結膜嚢形成術も、日帰りで行います。
手術でも、患者さんの気持ちを大事にされているんですね。
目の手術というと、患者さんは「器具が見えて怖いのではないか」とか「まばたきとか咳がしたくなったらどうしよう」など、さまざまな不安や心配を抱きます。白内障の日帰り手術では、説明用の動画がありますのでその辺りを詳しく説明しますし、私やスタッフがどんな質問にもお答えします。スタッフは日頃から私の説明をよく聞き、わかりやすい言葉で患者さんに伝えてくれますし、各患者さんの不安を共有した上で手術に臨みますので、その効果は大きいと思っています。また、痛みに関して当院では、「手術中は、どんなに小さな痛みでも必ずすぐに教えてください」とお話しします。患者さんが感じている痛みが、例えばテープを剥がす痛みなのか、水圧による圧迫感なのか、きちんとお伝えして不安を減らし、本当に手術自体の痛みであれば、すぐに麻酔を増量することも可能です。患者さんが自分の思いを我慢することのないよう、常に意識しています。
では、手術以外の治療で心がけていることは?

眼科では点眼薬による治療が多く、特に緑内障では、1日1回や2回の点眼が長期間必要になります。ただ、夜にお酒を飲んだりすると、どうしても忘れがちです。そこで洗面所に目薬を置いてもらって、「歯磨きの際に点眼してください」とお伝えするようにしています。また、視力が低下したりご高齢になると、ご自身で点眼すること自体がどうしても難しくなりがちですから、なるべくご家族のサポートをお願いしています。点眼は地道な作業ですが、説明を重ねることで必要性を改めて確認してもらい、点眼への意欲を保ってもらうことも大事ですね。
視力を長く保ち続けるために
ところで、先生が眼科の医師になったのはなぜですか?

もちろん父の影響もありますが、学生時代に実習でさまざまな診療科を回った際に、強い印象を受けたのが眼科でした。目で見る情報は、人間の五感の中で非常に大きな割合を占めていますし、それが遮断されると生活の質は大きく損なわれます。実際、私たちは目にわずかでも違和感や見えにくさがあると、とても不快に感じますよね。視力を維持・回復するという眼科の目的に、意義とやりがいを感じたのです。
目の健康に関して今、気になることがあればお聞かせください。
スマートフォンとの付き合い方ですね。電車内で見ていると、目から15cm程度と非常に近い位置で画面を見ている人が目立ちます。特に、何か操作をしていると近くなるようです。寝転がってスマホを見る際も、画面と目は近くなりがちです。15cmですとかなり目に負荷がかかるので、できれば30cmは離して見てほしいです。また、小さな頃から長時間スマホを使う習慣と、若い方で近視が増えていることとは、無関係ではないと思います。便利なものですし、私もよく動画視聴を楽しみますが、目に負担をかけない使い方をしてほしいです。
最後に、地域の皆さんへメッセージをお願いします。

地域で長く診療を続けてこられたおかげで、今では親子2代、あるいは3代で受診される家庭も多いです。丁寧に説明、診療するスタイルをご信頼いただけているのかなとうれしく感じます。ただ、説明に時間をかけるのでどうしても待ち時間が長くなっています。できる範囲で流れを効率化して、待ち時間の短縮に努めたいですね。目は非常に大切な器官ですが、一方で見えることを当たり前に感じ、症状を放置したり治療を中断されてしまったりする患者さんもいます。しかし、緑内障のように無症状で進行する病気もありますので、気になる症状があったり、あるいは40歳を過ぎたりしたら、積極的に受診して目を大事にしてほしいと思います。
自由診療費用の目安
自由診療とは多焦点眼内レンズを用いた白内障手術(選定療養)/20万円~35万円