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松尾 美由起 院長の独自取材記事

松尾クリニック

(八尾市/近鉄八尾駅)

最終更新日:2019/08/28

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近鉄大阪線の八尾駅から3分のところにある「松尾クリニック」。内科、循環器内科、消化器内科、リハビリテーション科を標榜する同院は、地域に根差した総合的な診療を行うクリニックとして親しまれている。開設当時から在宅医療に力を入れているほか、患者が明るい気持ちで治療に向き合えるように「患者会」を立ち上げ各種イベントを開催したり、介護予防のためのパワーリハビリテーションを実施したりと診療外の取り組みも行う。「患者さんが元気になるためなら、いろんなことに取り組んでいきたい」と言う松尾美由起院長に、開業に至るまでのきっかけや、具体的な取り組み、今後の展望について話を聞いた。
(取材日2019年6月19日)

在宅医療に力を入れたくて開業

医師をめざしたきっかけは?

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小学校時代、近所に脳性まひの子どもがいて、私はよくその子を家まで送っていたのですが、車いすを押しながら「このような、人の助けになれる仕事が将来できたら良いな」と思っていました。担任の先生からも「美由起ちゃんは人のためになる仕事が合っているよ」と言われていましたし、私自身も幼少時代は体が弱くて、医療機関は身近な存在でした。そういったことがずっと心の中にあり、医療に携わりたくて広島大学医学部へ進学しました。卒業後は大学病院に残らず、全科を回ることができ、きちんとお役に立てる病院を探した結果、大阪の淀川キリスト教病院で研修医として勤務することになりました。アメリカ方式で回診は英語、病院に泊まり込んで朝は5時起きと大変な日々でしたが、「病気だけでなく全部を診る」という全人的医療を学べたことは、貴重な経験となりました。

どのような研修医時代を過ごされましたか?

研修医期間を終えた後は、淀川キリスト教病院の内科に入りました。そこで八尾徳洲会病院の立ち上げがあり、循環器を専門とされていた森功先生の指示のもと、7年間勤務しました。その後は地域医療部に配属され、退院後に自宅に戻った患者さんを診察する、在宅医療の源になる診療に携わりました。訪問すると、病院よりも家にいる時のほうが患者さんの表情が豊かで、やはり在宅医療は大事なんだと思い、在宅医療に力を入れた医院を開業しました。このエリアを選んだのは、八尾徳洲会病院で診ていた患者さんが通いやすい場所にしたかったからです。当時はまだ在宅医療をしているクリニックは少なく、試行錯誤しながら築いてまいりました。

診療体制についてお聞かせください。

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現在は、夫の汎(ひろし)先生と娘の真意(まい)先生の3人で連携し合い、診療を行っています。汎先生は日本超音波医学会の超音波専門医で、頸動脈など血管系の病気やリンパ浮腫の診療を得意としています。院内には先進のエコーを充実させて、血管、心臓、首、乳房などすべての検査に対応しており、在宅診療用に小型のエコーも備え、検査技師も常駐しています。真意先生は新潟の病院の小児科内科で勤務していましたが、5年ほど前に大阪に戻ったのを機に、現在は病院で勤務医をしながら診療を手伝ってくれています。古くから通院されている慢性の循環器疾患の方は主に私が、新患で来られた方は真意先生が診察することが多いですね。仕事では同僚ですが、親子とても仲が良くて、アットホームな雰囲気に患者さんも安心されているようです。

患者を元気にするため、さまざまな取り組みを

こちらのクリニックの特徴を教えてください。

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当院の方針は「納得のいく質の高い医療」「親身になった在宅医療」「患者会を通じての患者さんとの交流」です。もともと私は循環器科が専門ですが、在宅医療ではすべてを診ないといけません。高血圧などの生活習慣病だけでなく、がんや神経難病、認知症など、診療領域の垣根なく総合的に診ています。また病気の治療に専念するだけでなく、パワーリハビリテーションにも力を入れています。当ビルの4階で以前はデイケアを行っていましたが、エレベーターの老朽化で続けるのが難しくなりました。その空いたスペースでは私がウォーキング指導を行っているのですが、各種トレーニングマシンを充実させて、パワーリハビリに励めるようにしているんです。多くの方からの要望がありましたし、何より患者さんが元気になるためなら何でも取り入れたいと思っています。

どのような患者さんが多いですか?

外来の患者さんには高血圧症、糖尿病、脂質異常症といった生活習慣病、心臓病、心筋梗塞、弁膜症といった症状で来られる方が多いです。在宅医療の患者さんは、がん、難病、認知症といった症状が多く、末期がんの患者さんもいます。末期がんは緩和医療が主になるので、痛みを抑え、気持ちが楽になるよう、いろいろな話をして相談に乗り、痛み緩和のための医療用麻薬を使う診療を行います。外来の患者さんからは、例えば病院に受診しても説明がうまく受けられなかったとか、家族との関係でうつ状態になっているとか、相談ごとが多いですね。中でも糖尿病の人が圧倒的に多く、4~5年前から比べると倍以上増加しているので、生活習慣や運動、食事指導をするために栄養士も常駐しています。

患者さんのために、具体的にどのような取り組みをされていますか?

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患者さんの中には一人暮らしの方もいるので、不安を解消するため「患者会」を立ち上げました。患者会は年4回開催し、会費不要でどなたでも参加できます。病気にまつわるお話の後で、運動やダンス、歌などのレクリエーションを行う流れで、次回は八尾市立病院の乳腺外科部長を招いて、乳房のモデルを使って初期の乳がんを見つける練習を予定しています。ほかにも興味を持ってもらえるような健康につながるイベントを実施しており、認知症予防として手先の訓練をするための焼き物教室、精神統一のための書道教室、筋力維持と転倒防止のための太極拳のほか、月1回ジャズコンサートを開催したり、アルパ(ハープ)の体験レッスンをしたり、皆さん楽しみにされています。今までは場所の確保に苦労していましたが、4階のスペースが使えるようになり、患者会やイベントの開催が増えましたね。

時代に即した一人ひとりに寄り添う診療を

診療にあたって心がけていることは?

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患者さんの話をよく聞き、ゆっくりと、できるだけ優しい言葉で説明するように心がけています。早口で話すと患者さんは理解できていなくても、「はいはい」と返事してしまうことがあるので、「わかった?」と確認するようにしています。患者さんからはよく、話しかけやすい、相談しやすいと言われますね。以前、在宅医療で訪問していた母親くらいの年齢のがん患者さんから「先生は、私のお母さんみたいで何でも話せる」と言ってもらえた時はすごくうれしかったです。また、男性の患者さんからは「こんな恋心を覚えたのは久しぶりだ。先生の腕の中で死にたい」と言われて、実際私の腕の中で亡くなられたこともありました。患者さんが安心して喜んでくださることが一番うれしく、医師をやっていて良かったと思う瞬間です。

今後の展望についてお聞かせください。

生活習慣病を減らし、病気にかかる率を少しでも減らしたいです。また予防医療に目を向けるのと同時に、その人の生活スタイルに即した、より質の高い医療を提供していきたいと考えています。すでに導入しているものとして、インスリン治療をされている糖尿病患者さんには、CGM(持続血糖測定器)という24時間の血糖変動がグラフで把握できるセンサーを使用して、細かい血糖管理を行っています。認知症の人が増えていますので、ソーシャルワーカーに入ってもらい、一人ひとりの立場に応じた生活環境をテーラーメイドというかたちで整えていきたいと思っています。ITも駆使した、時代や環境の変化に応じた医療が必要ですね。

読者へのメッセージをお願いします。

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検診も含め「怖がらずに自分の体をチェックすること」を強くお伝えしたいです。最近、30代の患者さんに卵巣がんが見つかり、卵巣が腸にくっついたことで腸が破裂してしまったんです。おそらくおなかが張っていたと思うんですが、結果が怖くて医療機関に行かなかったそうなんです。早期発見は早期治療につながるので、自分の体は自分で守っていただきたい。私は常に「もしも自分が患者だったら、自分の親が患者だったらどうしてほしいか」という姿勢で診療にあたっています。おっくうだとか時間がないと言わず、定期的に検診を受けることが予防医療につながりますし、医師にはスペシャリストもたくさんいるので、信頼していただき、不安なことがあればどんなことでもご相談ください。

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