都田 慶一 院長の独自取材記事
都田泌尿器科医院
(茨木市/茨木市駅)
最終更新日:2026/06/08
阪急京都本線・茨木市駅から徒歩約5分の「都田泌尿器科医院」は、開業から30年、泌尿器科専門クリニックとして地域のニーズに応えてきた。院長の都田慶一先生は、前立腺肥大症や前立腺がん、膀胱がんの早期発見から性感染症や勃起不全(ED)の治療まで幅広い診療を手がけるベテラン医師。臨床医としての活動と同時に、頻尿と健康の関係について独自の研究を続けている。2023年には、これまでの研究をまとめた本を出版。2025年にはその改訂版を上梓した。また、同院ホームページを自ら更新したり、近年はAIツールを駆使しながら、患者に向けたわかりやすい説明用スライドなども作成している。今回は都田院長に、同院の特徴や、夜間頻尿からアプローチする健康への向き合い方などの話を聞いた。
(取材日2026年4月9日)
泌尿器科クリニックとして、地域のために30年以上
開業から現在までの経緯を教えてください。

祖父から3代にわたる医師の家系に生まれました。この地で開業したのが1992年なので、30年以上前のことです。私が医師になった当時は泌尿器科単体でのクリニックはまだ少なかったのですが、この分野に精通した地域医療の拠点の必要性を強く感じていました。また、出身大学で学んだ超音波検査の技術を使用した診療が一般的になってきたことも、開業を決意したことの大きな理由です。以来、排尿障害と前立腺特異抗原(PSA)管理に特化し、前立腺がんの早期発見とホルモン療法に取り組んできました。また、性感染症関連の治療や泌尿器がんの発見、夜間頻尿の研究にも注力しています。訪れる患者さんは高齢の男性が多く、当院はそのような患者さんたちが健康や生活に関するいろいろな「愚痴」を吐き出せる場でもありたいと考えています(笑)。
外来では、どのような症状の相談が多いですか?
一番多いのは排尿に関するトラブルです。尿が出にくかったり、勢いが弱かったり、頻尿や残尿感など悩みはさまざま。男性の場合、夜間頻尿などの尿トラブルの主な原因は前立腺肥大症です。検査では局部を出す必要はなく、通常は触診も行わないのでご安心ください。超音波検査や血液検査が検査の主流です。また、必要に応じて尿の顕微鏡検査や尿流測定、エックス線検査、内視鏡検査、血液検査によるがんのチェックなどを行います。
こちらでは前立腺がんの精密検査も行っていると聞きました。

茨木市では前立腺がんの早期発見をめざし、55歳以上の男性を対象にPSA検査を実施しています。血清中のPSA濃度が一定数値以上あれば、良性の前立腺肥大症と前立腺がんの混在が考えられます。その結果によって二次検診が必要になった方に対する検査を当院が行っています。当院が行うような精密検査を受けて前立腺肥大症の治療につながるケースがある一方で、尿のトラブルを年齢や気候のせいと考え、病気に気づかずに悪化させてしまう方も多いです。悪化を防ぐためにも、尿トラブルを放置せず、早めに専門家に受診し、内服治療を行うことをお勧めします。前立腺がんの患者さんでも通常どおりの生活を続けるためにも、治療が早ければ早いほど良いでしょう。
夜間頻尿の改善は健康な生活につながる
夜間頻尿への取り組みがライフワークと伺いました。

日本はこれからますます高齢化社会になります。筋力や認知機能、活動性の低下などで起こる高齢者のフレイル(虚弱)が課題です。夜間頻尿が、こうした加齢による虚弱のバロメーターの一つになるというのが私の考えです。研究を始めたのは、泌尿器科の改善が健康寿命延伸の一助にもなると考えたことが理由。男性の場合、夜間頻尿の原因の多くは前立腺肥大症や過活動膀胱ですが、医師の治療や投薬だけではなかなか安定しません。改善にはお一人お一人の生活習慣が大きく関与しています。しっかり食べて、しっかり歩き、深い睡眠を取ることが、前立腺肥大症、そして過活動膀胱症を軽減するために最も大切です。生活改善と治療と併せることで夜間頻尿の改善と安定化をめざしていきます。加齢で低下した代謝が上がれば、深く眠れるようになり、結果的に尿量の減少にもつながるでしょう。
夜間頻尿に関する本を出版されたそうですね。
健康に関心を持つ一般の人々にも分かりやすく伝えるために、2023年秋に『夜間頻尿の正体 医師が教える「老化対策」』を出版しました。当初は200ページほどを予定していたのですが、出版社の要望もあり最終的に384ページの本になりました。多くの方が抱える夜間頻尿の悩みの裏には、体内時計(サーカディアンリズム)・深部体温・抗利尿ホルモン・睡眠構造といった「時間生理リズム」の老化が関わっています。単に膀胱や前立腺だけの問題ではなく、夜間頻尿を「からだのリズムの乱れ」として捉えて生活の時間構造を整えることの必要性を説明したのが、この本です。もちろん専門家の治療を受けながら、ではありますが、患者さん一人ひとりが実践できる「時間生理的生活指導」のためにこの本を書きました。
2025年8月には、この本の改訂版を出版されましたね。

はい、『夜間頻尿の正体[改訂版] 会話で学ぶ快眠と健康の実践ガイド ―夜間頻尿でわかる「老化対策」―』を出版しました。前回出した本はできるだけ一般の人々にもわかりやすいものをめざしたのですが、それでもまだ改善の余地があると考えていました。今回の改訂版では対話形式のスタイルを用いて、とても読みやすく親しみやすい内容になったと思っています。今回の本の執筆にあたっては前回の本の執筆時には使うことができなかったAIツールに大きく助けられました。前回の本や私のこれまでの研究内容をすべてAIに読み込ませ、AIと対話しながら、どういう表現で書けばわかりやすい内容になるか検討しながら執筆していったのです。筋肉の運動量と深部体温・代謝の関連性や季節の温度勾配に合わせた運動量、尿の色で測る筋肉の活動量など、前回よりも踏み込んで解説しています。
地域の健康管理ステーションとして
診察にもAIを取り入れていると聞きました。

患者さんへの健康指導を行う際に、口頭での説明や既存の専門書の図などではどうしても伝えきれず、患者さんから理解が得られないことがあります。そのため、著書でも使ったAIと協力して図案を作って、スライドにしてプリントアウトし、それを示しながら患者さんに説明を行っています。年代ごとの夜間頻尿対策のロードマップや、尿の水分量からくる色の変化と代謝量の関係を示したバロメーター、人間の体を電気ポットに例えた水分量と熱量の関係を示した図など、かなり患者さんに説明しやすくなりました。著書の内容も踏まえ、今後も考えや構想、アイディアなどをわかりやすいかたちにして、診療で実践していきたいですね。
健康のために、ご自身で取り組んでいることはありますか?
よく歩くことですね。診療日の休憩時間でも、できるだけ外に出て歩くようにしています。じっとしていては熱エネルギーも汗も出てきません。また、安静時であってもただじっと座っているのではなく、代謝を高めるためにはできるだけ脳を使うことが重要だと考えています。私も常にタブレット端末を持ち歩き、通勤の電車内でもデータや考え方を整理したり、原稿の修正を行ったりしています。頭を使えば脳が熱エネルギーをつくるといえますから、こうした習慣を続けることも長生きの一助になると考えています。
読者にメッセージをお願いします。

定年退職された患者さんにお伝えするのですが、いくつになっても規則正しくリズムのある生活をすることが大切です。日常でやることがなくなり、生活に一定のリズムがなければあらゆる意欲が失われていくでしょう。すると睡眠もままならなくなり、目が覚めやすくなって夜中にトイレに立つ回数も増えてしまうこともあります。つまり夜間頻尿の回数が、その人の生活のバロメーターになるとも言えます。男性は退職して高齢になると、こうしたリズムを崩しやすい。反面、女性は日常の家事や近所付き合いなどがあるため、高齢になっても生活リズムが崩れない人が多いですね。ただ、新型コロナウイルス感染症の流行した頃は女性でも頻尿で悩む方の受診が増えました。大切なのは生活のリズムを保つことなのです。当院は、いわば高齢者の「健康管理ステーション」。地域の方々が元気な生活を続けられるよう、今後も体力を維持しながらしっかりと伴走していきたいですね。

