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細見 洋一 院長の独自取材記事

細見医院

(茨木市/茨木駅)

最終更新日:2021/05/07

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JR茨木駅から徒歩6~7分。阪急茨木市駅からもアクセスが可能な静かな住宅街にある「細見医院」は、地域に密着した歴史ある内科医院だ。細見洋一院長は神戸大学医学部卒業後、当時の第2内科に入局。内視鏡から透析まで幅広い疾患に携わり、糖尿病代謝学の研究にも力を注いできた。先代の父から医院を継承し、現在の診療では糖尿病や生活習慣病を中心に内科全般をカバーして、患者の健康をサポートしている。医療情報があふれる現代だからこそ、不安を抱える人に安心を与え、医師を身近な存在に感じてほしいと話す細見院長に、開業前の経験や専門の糖尿病治療、診療方針について話を聞いた。
(取材日2021年3月17日)

父から継承し、幅広い症例経験を生かす

こちらの医院は先代から継承されたのですね。

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この医院は父が1963年に開業しました。父の代は小児科を中心に内科全般を診療していました。私が国立加古川病院(現・甲南加古川病院)に勤務していた際に、父が脳梗塞で倒れたのを機に、継承しました。私自身この地で生まれ、医院の上で暮らしていたものですから、幼少時から小児科の診療に来るお子さんの声を聞いて育ちました。子ども心に医師は人の命を預かる大変で忙しい仕事だと理解しておりました。やはり知らずしらずのうちに父の影響を受けていたのでしょう。最終的には、将来医院を継ぐことになることも視野に入れ、神戸大学医学部に入学しました。

大学卒業後はどのような経験を積まれたのでしょうか?

神戸大学医学部附属病院では入局後に内科を順にローテーションしていくシステムでした。当時は胃内視鏡が普及し始め、大腸内視鏡は導入されたばかりの頃。内視鏡の操作技術を磨きたいと、消化器、糖尿病 腎臓内科を主とする第二内科に進みました。ただ、当時の内科は救急では脳卒中から吐血や心筋梗塞まで、とりあえず最初はなんでも診るという状態だったので、病状を診てどの科に紹介すればよいのか診断を下すという力がついたこと、幅広く症例に接することができたことは、開業医となった今でも生かされています。

糖尿病を専門的に診るようになったきっかけはありますか?

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内科研修医時代は消化器検査の傍ら糖尿病の外来診療や透析治療などにも携わりました。神戸大学で研究生活に入ってから、故・馬場茂明神戸大学名誉教授が所長をされていた兵庫県立成人病センター(現・兵庫県立がんセンター)臨床研究所にご縁あって勤務させていただき、研究を通して糖尿病理論が面白くなり現在の専門につながっています。インスリンシグナルについて研究し学位取得いたしましたので、新薬が出ても効能のメカニズムが理解できるので、説明もしやすくなりました。

新薬も活用しながら専門性の高い糖尿病治療を提供

現在、糖尿病治療はどういう状況でしょう。

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私が医師になった頃は、糖尿病治療は2種類程度の内服薬とシンプルなインスリン製剤のみでした。そのため患者さんに厳しい食事・運動療法を強いるケースも多く、外来診療も難しい部分もありました。その後、多彩な機序の製剤が次々と開発され、現在は7種類の異なる機序の内服薬に加えてそれらの配合剤が使用可能です。インスリンも作用が1日以上持続するものが開発されているほか、それらを配合した注射製剤もあり、患者さんの病態に合わせた薬の調整がしやすくなりました。その分、薬のさじ加減がますます難しくなり、糖尿病専門の医師でなければ複雑で扱いづらくなったように感じます。

例えば、どのようなお薬が注目されていますか?

最近の新薬の中ではGLP1アナログという、週1回だけ注射すればよいインスリンとはまったく作用の表れ方の違う注射製剤が発売され、注目されています。従来のインスリンとはまったく異なり、食事をしたときに初めて効果の発揮が期待できますので、基本的に低血糖が起こるリスクが少なく、安心して使用できると思います。強力な血糖改善作用が期待できることに加え、適度に食欲も抑えてくれることも望めるので、つい食べ過ぎてしまう方、お忙しい働く世代の方に適しています。週1回、通院や訪問看護の介助の際に注射をするだけで良好な血糖管理が可能なことから、ご自身で薬の管理が難しくなってきた高齢者の方にとっても、使いやすいお薬だといえます。

体重減少が期待できるお薬もあるそうですね。

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数年前に発売されたSGLT2阻害剤も画期的新薬です。このお薬は簡単にいえば、血液中の余分な糖分を尿に排出するためのものなので、自然と血糖値が下がることが望めます。余分な糖分だけ尿に出すよう働くので低血糖が起こりにくいだけでなく、おなかの脂肪をエネルギーとして消費しやすく、腹囲から痩せることが期待できます。心臓や腎臓の保護作用も証明されてきており、適応のある方には画期的なお薬です。

患者に適したお薬を選択することが重要ですね。

このようにたくさんの種類があり、それぞれ特色があるので、症状や生活環境、事情に合わせて薬を選択しています。糖尿病診療はじっくりその方の生活状況を伺って治療方針を決めていくので、高度な検査のために大規模病院に行かなくても地域の医院で疾病管理を行うことが可能です。患者さんも自分の健康状態が良くなると励みになり、投薬や生活管理によりきちんと取り組むようになってこられるのがわれわれ医師にとっても喜びです。開業医ですと患者さんの生活背景などを継続して把握でき、病院のように先生が異動・転勤するということもないので、長期的な管理を行うことができるのも、メリットだと感じています。

患者の身近な存在へ、不安を煽らず安心を与える医療を

患者さんと接する際、心がけていることはありますか?

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患者さんにとって「身近な存在」でありたいです。医師は怖くて、質問しづらいという声もあります。自分の専門外でも、持っている知識の範囲でまずは対応し、患者さんの話をゆっくり聞くことを心がけています。「かかりつけ医」は、専門分野ではなくても、診察し、必要であれば紹介をする、そのための診断をすることも重要な役目だと思います。そして、患者さんの不安を取り除くこと。不安に感じるだけで体調は悪化し、病気を増幅させかねません。私は、事実や可能性は伝えますが、不安を煽るような言い方はしないようにしています。私たち医師は、患者さんが前向きになれるようお手伝いをする立場です。私は患者さんから「先生と話をしているとほっとした、安心した」と言われることが多く、それがとても励みになっています。

今後の方針についてお聞かせください。

患者さん一人ひとりの状況・症状の把握、生活管理・指導を大切にしていきます。糖尿病と高血圧、脂質異常など生活習慣病は密接な関係がありますが、中でも糖尿病は、投薬方法も複雑で、説明に時間がかかります。私は診療で十分時間がとれないときに、フォローしてくれている看護師やスタッフには本当に感謝しています。また、将来的には遠隔診療ができればと考えています。糖尿病は通院が大事ですが、多忙で治療が途切れる方も少なくありません。数ヵ月後に再び来院した際には悪化しているというケースも見てきました。当院が薬の処方だけの方は基本お断りしているのも、短時間でも対面すると行動変容が把握できるからなのです。来院が難しい患者さんに、遠隔診療で状態を把握し、数ヵ月に一度の通院と、血圧やヘモグロビンA1c測定など自己管理を続けられれば、患者さんの事情に合わせることができる上、医療費の削減にもつながります。

最後に、読者へのメッセージをお願いします。

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現代はインターネットやメディアの情報があふれていて、どれが正しいのか判断が難しいですよね。口が乾く、尿が泡立っているから、「糖尿病ではないか?」と心配して来られる方や、逆に集めた情報と自分の理論だけを信じるあまりに治療を拒んで、結果的に症状が悪化し救急車で運ばれる方もいます。私たち医師はこれまで研究や経験を積み、多くの症例を診てきています。とはいっても、医師の見立てが絶対というわけではありません。専門家の意見を聞いた上で、医師任せではなく、自分がどうしたいのか考えてもらいたいのです。近年は新しい知見や治療薬が増え、専門領域以外まで医師がすべてカバーすることは難しくなりました。これからは医師とうまく付き合いながら、自分が勉強して決めるという時代になると思います。今後も糖尿病を中心に専門性を高めながら、患者さんの健康を広く対応できる内科クリニックをめざしたいと思います。

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