木村 弘子 院長、木村 綾 副院長の独自取材記事
きむらクリニック小児科 乳腺科
(吹田市/江坂駅)
最終更新日:2025/03/13

「きむらクリニック小児科 乳腺科」のロゴマークにある子どものイラストは、江坂で30年、小児科診療に力を注いできた木村弘子院長が描いたもの。背景の「ピンクリボン」のデザインに込められているのは、「乳がんから多くの女性を守りたい」という乳腺外科を専門とする木村綾(りょう)副院長の気持ちである。2017年に移転リニューアルしたクリニックは明るく心地良い空間。階の待合室には、大人でも思わず入ってみたくなる「森の隠れ家」のようなキッズスペースがある。そんなクリニックで力を合わせ地域の健康を守り続ける弘子院長と綾副院長に、小児科診療にかける思いや乳がん検診の重要性などについて話を聞いた。
(取材日2024年2月21日)
病気だけでなく、子どもの心身の成長を支える診療を
クリニックの特徴や経緯についてお聞かせください。

【弘子院長】1981年に開業し同じ豊津町内で私が診療していた小児科医院を、2017年に今の場所に移してリニューアルし、「きむらクリニック小児科 乳腺科」として、娘と一緒に新たにスタートしました。1階では小児科をメインに内科も私が診療しています。月曜・木曜・土曜の午前中は大阪医科薬科大学の小児科医も加わり、診療を行っています。2階は乳腺外科医である娘が、乳がん検診や乳腺外科診療を行っており、小児科・内科・乳腺外科を併設している点が大きな特徴です。一般の健康診断をはじめ大腸がん、前立腺がん、骨粗しょう症などの各種検診が随時受けることができるため、生後1週間の新生児から90代のお年寄りまで、幅広い年齢層の患者さんが来られています。
院長が小児科診療で心がけていることは何ですか?
【弘子院長】気管支喘息やアレルギー疾患をはじめ、小児科全般を診ていますが、病気だけではなく成長や発育など全体を診るよう心がけています。特に乳幼児健診は一人ひとり時間をかけて丁寧に行っています。今はおじいちゃんやおばあちゃんが近くにいない家庭も多いので、お風呂の入れ方から離乳食の開始時期や内容など、栄養状態の確認も含め、子どもに関わるすべてのことをサポートしています。最近はさまざまなストレスが原因と思われる頭痛を訴えるお子さんや、夜更かしをしてしまう習慣も原因の一つとなり「頭が痛い」「朝起きられない」「体がだるい」というお子さんが多いですね。診察をしても異常がない状態。そのようなケースも、一人ひとりの生活の背景をくみ取り、丁寧に対応しています。
子育てに寄り添う診療を行っていると伺いました。

【弘子院長】インターネットにあふれるさまざまな情報に振り回されるとどうしても不安になるので、親御さんが不安に思われていることに対して正しい情報をお伝えするようにしています。その他には、今年の2月から月曜・木曜・金曜に予約制で助産師による母乳相談を始めました。母乳のあげ方の相談や母乳マッサージなどを行っており、吹田市の妊産婦サポートクーポンも使えます。また、「ゆっくり時間を取って子どものことを相談したい」という方には、時間調整をして1回1時間の「相談日」を設け、私が相談を受けています。お子さんの不登校や発達障害に悩んでいる方の相談が多いですね。その上で長期的にカウンセリングが必要だと判断した場合は、メンタルケアを専門とする先生をご紹介しています。
早期発見で治療ができるからこそ、乳がん検診が重要
移転を機に、どのような想いがあり綾先生も一緒に診療を行うようになったのですか?

【綾副院長】いつかは継承することを考えて、ということもありますし、乳腺外科として女性を支えるホームドクターになれるような環境をつくりたいという思いもあって、母と一緒にクリニックをすることにしました。勤務医時代は多くの乳がん患者さんの治療や手術に関わって、数々の乳腺診断を行っていたこともあり、マンモグラフィやエコーの画像診断は私の得意とするところです。それらの経験を生かし、乳がんから女性を守るために丁寧に診療を行い、母とともに地域の皆さんの健康を支えていきたいと思っています。
乳がんは特に早期発見が重要だと聞きました。
【綾副院長】乳がんの中には進行が早いものも確かにありますが、ほとんどが進行がゆっくりなんですね。早期発見できてステージ1であれば完治も期待できます。早期発見することで、大手術にならずに済みますし、抗がん剤治療などをしなくてもいい可能性も高くなるなど、体の負担も軽くなります。女性が発症するがんで一番多いのが乳がんで、今は9人に1人が乳がんになるといわれています。ぜひ定期的に検診を受けてご自分の命を守っていただきたいですね。
早期発見のために、乳がん検査はいつすればいいのでしょうか?

【綾副院長】乳がんは40代~50代に多いのですが、30代の人も増えてきています。市区町村が行う乳がん検査は、40歳以上を対象に2年に1回マンモグラフィと触診を行いますが、できれば35歳以上の女性は毎年検査を受けることをお勧めします。マンモグラフィで異常がなくてもエコーで病変が見つかることもあるので、40歳以上の方には市区町村が行う2年に1回の検査の間の年にエコー検査を受けるようお話をしています。当院で受けることができる乳がんの検査は、マンモグラフィ・エコー(超音波)・触診の他、乳がんの疑いがある場合は細胞診や針生検を行っており、信頼する病理学の教授に病理診断をお願いした上で確定診断し、病院を紹介するようにしています。
マンモグラフィ検査に抵抗がある人にはどのような配慮をしていますか?
【綾副院長】マンモグラフィ検査は「痛い」「怖い」などの理由で敬遠される人も少なくないのですが、検査技師の技量によって痛みの差がある他、声かけによって緊張がほぐれれば怖さも軽減されます。ただ声かけもなく淡々と検査を行うのではなく、当院の技師は患者さんの不安な気持ちに寄り添って声かけをしながら検査を行うなど、こまやかに配慮して実施してくれます。初めて検査を受ける方もきっと「思っていたより怖くなかった」と思っていただけるのではないかと思います。
小さな不安にもしっかり寄り添う家族のかかりつけ医に
小児科と乳腺外科が同じクリニックで受診できることで、どのようなメリットがありますか?

【綾副院長】お母さんになると、子どもや家族の健康に気を配り、つい自分のことを後回しにしがちです。仕事をしていた時は職場で健康診断を受けていたけど、出産を機に退職したら、検診から遠ざかっている方も多いのです。小児科は子どもとお母さんが多い場所なので、お子さんの診察で来られた際に、「乳がん検診を受けなきゃ」と思うきっかけを与えられることがメリットですね。先ほどお話ししたように、乳がんは30代から増え始め、40代~50代でピークとなるため、お子さんがまだ小学生、中学生という世代で乳がんが見つかることも少なくありません。自分のため、家族のためにも後回しにしないで、いつでも相談に来てください。私は子どもを持つ母として「自分が病気になって、子どもに悲しい思いをさせたくない」という気持ちは同じですので、少しでも力になりたいと思っています。
内科では高齢の患者さんも多く通院しているそうですね。
【弘子院長】生活習慣病まで幅広く診ているので、高齢の方も多いですね。94歳の患者さんもいらっしゃいます。高齢の患者さんは話を聞いてほしい方が多いので、できるだけ時間をかけてお話を聞くようにしています。大学病院から小児科の先生が来られる日は、小児科の診療はその先生にお任せし、私は予約制でじっくりと時間を取って高齢の方の診療を行います。ゆっくりと話をしながら診察を受けたいご年配の患者さんは、大学病院の先生が来られる月・木・土曜の午前中に来ていただくとよいでしょう。
今後の展望についてお聞かせください。

【弘子院長】今後は新型感染症の影響でしばらく休止していた「離乳食の勉強会」を再開する予定です。私は小児科を主に診療していますが、今は人生100年といわれていますから、高齢者の診療にも力を注ぎたいと思っています。じっくりゆっくり患者さんの人生に寄り添う、そんな医療を提供していきたいですね。
【綾副院長】子育てやご自身の健康に不安や悩みを抱えている人など、小さなお子さん連れでも気軽に来ていただけるクリニックなので安心して受診していただきたいと思います。小児科・内科だけでなく、不安なことはなんでも相談できる「乳腺外科のかかりつけ医」となれるよう、これからもしっかりとサポートしていくつもりです。