筋力を鍛え、運動機能の回復を図る
整形外科のリハビリテーション
栗田整形外科
(豊中市/蛍池駅)
最終更新日:2024/05/13
- 保険診療
思わぬケガやスポーツによる負傷、加齢による筋肉の衰えなど、さまざまな原因で起こる痛みやしびれ、変形、歩行困難。安静にしているだけでは、なかなか症状が改善せず、再発を繰り返すばかりで、思うように社会復帰できずに悩んでいる人もいるだろう。そうした中で年々ニーズを集めているのが整形外科で行うリハビリテーション。「さまざまな運動療法によって機能の回復をめざし、患者さんが一刻も早く健康な生活へと復帰することを目的としています」と話すのは、「栗田整形外科」の栗田正浩院長。患者一人ひとりの状態に合わせ、症状の緩和や改善に取り組んでいるという栗田院長に、整形外科で受けるリハビリテーションの流れや同院ならではの取り組みについて解説してもらった。
(取材日2021年10月8日/再取材日2024年2月6日)
目次
検診・治療前の素朴な疑問を聞きました!
- Qこちらではどのようなリハビリテーションを行っていますか?
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A
さまざまな原因で低下した運動機能の回復・改善を目的に、必要に応じて運動器のリハビリテーションを提供しています。対象となるのは、加齢によって体に痛みがある方や運動機能が不安定な方、手術や外傷などから機能回復をめざしている方などさまざまですが、重要なのは個々の患者さんの状態に応じて目標を定め、プログラムを設定することです。プログラムの中心は理学療法と呼ばれる治療で、理学療法士による運動療法のほか、超音波治療器や拡散型体外衝撃波治療器、温熱治療器などを用いた物理療法を組み合わせて行います。いずれの場合も定期的な評価を行い、必要に応じてプログラム変更しながら進めていきます。
- Qこちらでは通所リハビリテーションも行っているそうですね。
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A
通所リハビリテーションは「デイケア」とも呼ばれ、要介護認定を受けた方の生活機能向上を目的とした機能訓練を日帰りで提供する介護保険サービスです。ほとんどの施設は自宅までの送迎を行っているので、足が悪くても利用しやすく、利用者は今後ますます増えていくでしょう。1回1時間30分で、個別訓練やマシントレーニング、集団エクササイズなどの他、体の痛みなどの症状には温熱療法や低周波治療などの物理療法も併用します。通所リハビリは介護施設で行っているところも多いですが、当院のようにクリニックに併設されていれば、プログラムも医師と理学療法士でスムーズに連携して決めることができます。
- Qリハビリテーションのスタッフについて教えてください。
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A
整形外科の外来とリハビリテーションを行っている当院は、総勢31人のスタッフが在籍しています。リハビリテーションの中心となるのは理学療法士で、常時3~4人が対応できる体制を取っています。また、柔道整復師やあん摩マッサージ指圧師も在籍していますので、スポーツ障害や外傷後のリハビリテーションだけではなく、さまざまな疾患に対応可能です。リハビリテーションはエビデンスに基づいた科学的な療法が基本ですが、患者さんに真摯に向き合うハートも大切なポイント。「運動が苦手」「初めてリハビリテーションを受ける」といった人も、しっかりとスタッフがサポートしますので、安心してお任せください。
検診・治療START!ステップで紹介します
- 1問診
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問診では、どのような症状がいつ頃から出てきたか、きっかけになった原因は何かなど、医師による詳細なヒアリングが行われる。些細な情報も診断のヒントになることがあるため、気になっていることがあれば医師にしっかりと伝えることが重要だ。また、現在治療中の病気や既往歴、手術歴、服用中の薬などについても申し出ること。その他「スポーツをやりたい」「山登りをしたい」など、めざすゴールや希望があれば必ず伝えよう。
- 2検査・診断
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まずは全身に対応するエックス線撮影で検査を行い、不具合の箇所や原因をチェック。ケースによっては、より適切な診断を行うために近隣の医療機関でMRI検査やCT検査を行うこともある。リハビリテーションが必要だと診断された場合は、整形外科医と理学療法士が一人ひとりの患者に合わせたプログラムを作成。さまざまな訓練マシンを用いたトレーニングやエクササイズ、理学療法士による個別訓練などを実施していく。
- 3理学療法士による評価
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エビデンスにのっとった適切なリハビリテーションのためには、患者の身体機能を数値化した定量的評価が重要。開始した時点から定期的に、肩や股関節など、それぞれの運動器の機能を計測して点数化することで経過を客観的に把握していく。例えば「開始時点で50点だった点数が半年後60点になった」といったように、数値で変化が確認できるため、患者のモチベーション維持にも役立っているそうだ。
- 4リハビリテーションの実施
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リハビリテーションは、1単位の所要時間が20分。続けて2単位、3単位行うことも可能だが、その決定は個別のプログラムに従って行われる。ちなみに同院のリハビリテーションに通う人は、四十肩、五十肩と呼ばれる肩関節周囲炎や変形性膝関節症で可動域を広げるための訓練が必要な人、腰痛症で体幹トレーニングを必要としている人が中心。術後の回復のために利用する患者も一定の割合を占めるという。
- 5定期通院でリハビリテーションを継続
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通院の頻度は病態の種類、症状によって異なるが、開始時は週に1〜2回、骨粗しょう症や変形性膝関節症で薬物治療を受けている場合は1〜2ヵ月に1回が一般的。ただし手首の骨折や捻挫、急性腰痛(ぎっくり腰)などの急性期の場合は、治療と並行して週1〜2回のリハビリテーションを行い、早期回復をめざす。いずれの場合も、整形外科の外来とリハビリテーションをスムーズに受けることが可能だ。