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嶋田 一郎 院長の独自取材記事

嶋田クリニック

(堺市南区/栂・美木多駅)

最終更新日:2022/08/10

嶋田一郎院長 嶋田クリニック main

泉北高速鉄道の栂・美木多駅から徒歩5分、複合ビルの2階にある「嶋田クリニック」。1階から専用エレベーターがあるので、待合室への移動もスムーズだ。20年以上の歴史を持ち、泉北の地で地域医療を支えるクリニックだ。現在は予約患者を中心に診療を行う院長の嶋田一郎先生と、一般内科すべての診療を担う嶋田文子先生との二診制。患者とじっくり話をすることをモットーに、その人の生活背景や家族構成まで考慮した診療スタイルで、患者からの信頼も厚い。人柄がにじみ出る優しい笑顔と穏やかな語り口が印象的な嶋田院長に、地域医療での取り組みなどについてたっぷり語ってもらった。

(取材日2019年4月15日)

自分を救ってくれた医師に憧れて、医療の道へ

医師になろうと思ったきっかけを教えてください。

嶋田一郎院長 嶋田クリニック1

私は、未熟児で生まれ、黄疸もあり、何日か生死をさまよっていたそうです。その後も病気がちだった私は、母に連れられて長い間病院通いが続いたようですね。母はよく私に「お医者さんに命を救ってもらった」と話していましたので、小さい頃から「医師ってすごい!」「自分も将来なれたらいいな」と思うようになっていました。子どもの頃にお世話になってきたのは近くの開業医の先生でしたから、身近に感じていた内科の道に進みました。また、医師となるならば、専門に特化せず、幅広い知識と経験で、包括的にその人自身を見る医療をめざしたいと思ったことも内科の医師になった要因の一つです。どの科にかかればいいのかわからない時も、まず入り口として訪れていただければと思っています。

こちらにクリニックを開業されたきっかけは?

もともとは近くにあった国立泉北病院に勤めていたのです。統廃合が決まって、なくなることになり、今通ってくれている患者さんを放っておけないという思いと、泉北への愛着で、この地に開業するに至りました。国立泉北病院は、それまでの私の考え方を大きく変えてくれた病院でもあるんです。それまでは神経内科ばかりを診てきましたが、日本内科学会認定総合内科専門医もとらせてもらって、一般内科もある程度診るようになり、胃内視鏡検査など、豊富な経験を得、たくさんの人と接することができました。そして、本当に必要とされる内科の医師の在り方について考えさせられたように思います。

現在、特に力を入れていることは何ですか?

嶋田一郎院長 嶋田クリニック2

他職種も含めた医療の連携です。私は内科の中でも神経内科を専門としています。神経内科の病気は診断をつけられても、治らない病気が多い。今はMRIでわかることもありますが、診断をつけるには、理詰めで考えていくしかありません。手のしびれやふらつきの有無など、さまざまな症状から所見を取り、自分の知識や経験で突き詰めていきます。しかし、病名がわかっても、それで患者さんを治せるわけではありません。医師として、診断をつけて終わりにしていいわけはない。患者さんが病気になってもきちんと支えていく、病気と上手に付き合っていくためのサポートをしなくてはいけないと考えました。しかし、そうなると自分だけでは手が足りません。医療や介護、福祉など幅広く連携して、横へ横へと人脈を広げていく活動を始めたのです。

さまざまな立場の人と連携して地域を支える

具体的にはどのような活動をされているのですか?

嶋田一郎院長 嶋田クリニック3

堺市南区で「三つ葉の会」という有志の会を立ち上げました。高齢者をはじめ、すべての市民にとって住みやすい地域をめざし、訪問看護師、理学療法士、薬剤師、ケアマネジャー、介護福祉士、役所職員などの有志が集い、住民をサポートしていく活動をしています。特に、近頃は独居の方が増え、可能な限り自分一人で住み続けるための相談や支援を行うことが多くなりました。先日の市民向けシンポジウムなど300人も参加されるほど、毎回たくさんの方に来ていただいています。ほかに、当クリニックでは健康教室や院内報「こころ」を発行しています。テーマは、お風呂の入り方や、認知症の話、お薬との付き合い方などさまざまで、コミュニケーションツールの一つとしても有用です。診療ではゆっくり話す機会がないため、少しでも患者さんと交流できるといいなと思って開業以来ずっと続けているんですよ。

現在は二診制だそうですね。

はい、そうです。私は主に神経内科の予約の患者さんを診療しており、妻が高血圧や糖尿病をはじめ一般内科の診療を行っています。妻とは同じ大学で、卒業後に同じ大阪市立医学部附属病院第2内科に入局した同志です。同性のほうが相談しやすいこともあるでしょうから、女性医師を希望する場合はお申し出ください。私が言うのも何ですが、人当たりが良く、尊敬できる医師の一人です。気心が知れているので、予約で混雑している時は、お互いがお互いの状況を把握しながら、診療が滞らないように患者さんを診ることができます。また、通院が困難になった昔なじみの患者さんへの訪問診療も、開業医が続けていくのは難しいといわれる中、2人で割り振ることで何とか対応できています。

日々の診療で大切にされていることは何ですか?

嶋田一郎院長 嶋田クリニック4

患者さんとコミュニケーションをしっかり取ることです。当クリニックは医師が2人いますので、1人の患者さんにかける時間は長いほうだと思いますが、それでも打ち解けてもらうには時間がかかるもの。生活スタイルや家族構成などのプライベートなことも、話しやすい雰囲気をつくるように心がけています。患者さんたちを診ていて思うのは、本当に元気な方が多いということ。ニュータウンは坂道が多いから、足腰が鍛えられているんでしょうかね(笑)。遠くても運動になるからと歩いて通院されるんです。そんな皆さんの健康を少しでも長く支えていきたい。在宅医療を始めた時から、ご自宅での看取りを含めて、当クリニックの患者さんは最後までサポートしていく気持ちでいます。「こんなこと言ったら怒られるかな」などと思わず、疑問やお悩みがあればなんでも聞いていただきたいですね。

地域に住む人々の健康を継続的にサポート

今後の展望をお聞かせください。

嶋田一郎院長 嶋田クリニック5

この地域やそれ以外でも、私の想いを引き継いでくれる後継者を育てていくことです。「三つ葉の会」だけでなく、さまざまなかたちで支援を行ってきましたが、「まだやりたいこと」「やらなくてはいけないこと」はいっぱいあります。その考えを引き継いで、次の世代につなげたい。そのための人間を育てていくことが、これからの仕事だと思っています。少しずつですが、講演会などで自分の考えを発信できるようになり、共感してくれる人も増えてきています。もうひと頑張りしなくてはいけませんね!

ところで、ご趣味は何ですか?

神社仏閣巡りです。今は西国三十三所巡りをしています。忙しくてまだ回りきれてないんですが……。ご朱印帳も集めていて、結構な冊数になりました。子どもも独立したので、妻と出かけることが多いですね。医師という仕事は、患者さんを看取ることも多く、「もっと何かできたのではないか」と自分を責めて、心が疲れる時があるんです。そんな時は、パワースポットに出かけると何だか癒やされた気分になります。ほかに癒やされるといえば、メダカですね。寒い時など、水槽の下のほうでじーっと春を待っている姿を見ると、健気でかわいらしいんですよ。

最後に、読者へのメッセージをお願いします。

嶋田一郎院長 嶋田クリニック6

「この地域で長く皆さんの健康を支えていきたい」それが私の願いです。「母の具合が悪いんですが、こんな時はどの科にかかればいいの」というような、ご家族の相談をされることもあります。私でできることならすぐに対応しますし、専門でない場合は適切な医療機関をご紹介しています。また介護保険など難しい手続きに関しても、気兼ねなくご相談ください。当クリニックでは勉強熱心なスタッフが多く、定期的な勉強会のほか、例えば保険制度が変わる時などは、専門書を読んでレポートにまとめるといった方法で常にブラッシュアップを心がけているんですよ。スタッフの人数も多いので、待ち時間や点滴中など気兼ねなく質問してください。これからも地域のかかりつけ医として、皆さんに寄り添っていきたいと思います。

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