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蔭山 充 院長の独自取材記事

かげやま医院

(堺市堺区/堺駅)

最終更新日:2021/10/12

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南海本線堺駅から高架沿いに南へ5分ほど進むと、「かげやま医院」が見えてくる。蔭山充院長は、漢方があまり認識されていなかった1980年代頃から、女性のさまざまな訴えに対して漢方薬を積極的に取り入れてきた。「漢方で女性特有の症状を快適にできる」という手ごたえはあったものの、周囲にはなかなか理解されなかったという。そこで漢方を本格的に学び、近畿圏の複数の大学、勉強会などで指導を始めると同時に、1995年に同院を開業。従来の治療では思うような効果が得られなかった患者や、漢方の良さを知る患者が、紹介などで受診しているそうだ。「あなたの症状に適した漢方薬を、一緒に見つけていきましょう」と患者へ気さくな口調で語る院長に、漢方治療の特徴や女性に適している理由など詳しく聞いた。

(取材日2018年8月8日)

女性の繊細な体調変化に適した漢方

漢方を使った治療を始めたのはなぜですか?

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まず、将来を決める際、親族に医師が多かったこともあり、自然と医学部へ進みました。京都で産婦人科を開業していた親戚に誘われ、大学卒業後は京都大学の産婦人科へ入局。若い時期は関連病院で診療経験を積みましたが、不定愁訴とよばれる女性のさまざまな不調をどのように治療すれば良いのか、悩んでいました。「視点を変えて治療にあたる必要があるのでは」と限界を感じていたある時、以前から関心のあった漢方薬を使ってみたところ、驚くような変化を経験し、本格的に勉強したいと思うようになったのです。しかし、日常診療をしながらでは十分に学ぶことができません。そこで、大阪市立大学の公衆衛生関係の医局へ移ったことを機に、本格的に漢方を学ぼうと決意。漢方に精通する医師や勉強会に足を運び勉強を重ね、産婦人科での経験とすり合わせていったんです。

大学と診療所、両方での診療を続けてこられたそうですね。

漢方の良さを知れば知るほど、より多くの患者さんに届けたいと思うようになりました。しかし当時、漢方は未知の領域で、産婦人科の先生方からは「蔭山は何をやっているんだ」と呆れられることも。そこで、まずは漢方を多くの医師に体験してもらうことで、漢方を好きになってもらい、漢方治療の基盤を広げたいと考えたのです。各地の先生方と勉強会や研究会を立ち上げたほか、近畿大学や京都大学など、関西の複数の大学で女性の漢方専門の外来設立にも関わりました。ただ、大学病院では使える漢方薬が限られていますし、患者さんの受診間隔も1ヵ月と長く、思うような診療を行いにくかった。そこで2005年には自宅に併設した当院を開業しました。

漢方はなぜ、女性の診療に適しているのだと考えたのでしょうか?

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女性の体調は生理周期で大きく変化します。低体温期から黄体ホルモンが出て排卵すると高温期に入り、やがて月経が始まる。このような変化に合わせて、心身にもさまざまな変化が現れるのに、ずっと同じ薬を変化なく飲み続けていることに疑問を感じました。低体温期と高温期で薬を変えるとか、月経中だけ違う薬を選ぶといったさじ加減によって、望む効果が得られるのでは。ただ、理論と現実は一致しないことも多く、個々の患者さんの体調や体質に合わせて薬を選ぶことも必要です。そして、女性のこのような特性は、他科の医師になかなか理解されにくいのかもしれません。日々、女性と向き合う産婦人科の医師だからこそ、微妙な体調変化をキャッチし、漢方をうまく活用していけるのではないかと思います。

丁寧な診察から症状にあった漢方薬を選ぶ

こちらには、どのような方が主に受診されていますか?

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一般的に、婦人科の漢方診療では更年期障害のある40~50代の方が中心ですが、当院には30代前半からの若い方も多く受診されています。生理痛などの月経困難症や生理不順に加え、他院で不妊治療をされている方もいらっしゃいます。そのような方々は漢方で基本的な体調を整えて、不妊治療に臨まれてたりしていますね。また、症状の面から見ると、女性で多いのは便秘、むくみ、冷えやのぼせ、イライラです。めまいやふらつきなどの訴えも多いです。複数の病院を受診しても改善しなかった方、現在も他院で治療中の患者さんもいらっしゃいます。

診察の進め方を教えてください。

初診には時間がかかりますので、当院は完全予約制にしています。また、初診を予約された患者さんにはあらかじめ問診票を送付し、しっかり読んで記入してもらってから来院していただきます。診察室では、最初に問診を行います。患者さんの顔色や様子をみながら、困っている症状やこれまでの治療歴、普段の生活やお仕事についてもお聞きします。複数の症状が重なっている患者さんも多いので、ご本人が何を最初に改善したいのか確認し、そこからひもといていくことになります。脈を調べる脈診や、舌を見る舌診も行いますが、女性を診る際に一番大事なのは、腹部に触れて硬さや痛みなどをみる腹診です。多くの女性は便秘に悩んでいますが、腹部を押して痛みのある部分によって、処方する漢方薬がおおよそ決まってきたりします。

漢方薬は、すぐには効かず長く飲み続けるイメージがあります。

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1つの漢方薬は、さまざまな自然の素材を合わせた生薬を配合したものです。それぞれの生薬が働いて、バランスを整えていきますので、確かに長く飲まなければいけない薬もありますが、飲んですぐに変化を感じる薬、2週間で変化を感じられる薬もありますよ。症状によっては、診察室ですぐに変化を感じられる漢方薬を飲んでもらうこともあります。また、どちらの漢方薬が適するのか迷ったときには、その場で両方飲んでもらって、「おいしい」と言われたほうを処方することも。おいしく感じるということは、体が必要とする成分を含んでいる、という考えからです。女性には、1つの漢方をベースに、体調や時期に応じて2~3種類の薬剤を切り替えながら使うことが多いですね。慣れてくると、患者さんご自身も、「この体調にはあの漢方薬が必要だわ」とわかるようになってくる方もいらっしゃいます。

自分の体調を本音で伝えられる医師と出会ってほしい

患者さんと話をする際に、心がけていることはありますか?

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何よりも本当のこと、本音を話してもらうことですね。最初のうちは、緊張するのか、本当のことを話してくださらない方が多いです。例えば便秘にしても、「便秘で下剤を飲んでいた」では情報が足りません。「生理前に出にくい」とか、「便の性状はコロコロしている」とか、具体的に教えてもらえれば、より適切な漢方薬を選べます。私自身は、話の内容、口調など、患者さんにできるだけ気軽にお話ししてもらえるように心がけています。ふっと気持ちが開いて、急に涙を流して話し始める方もいらっしゃいます。医師と本当のこと、本音を話せるようになると、その方に合った漢方を処方することができるようになります。

お休みの日には、どのようにして過ごしていますか?

多くの仕事に関わってきましたが、60歳を過ぎてから徐々に活動の種類を整理し、大学での若い先生方への指導と、当院での診療に絞って取り組んでいます。少し時間ができたので、週に数回はスポーツジムへ通うようになりました。また、友人と六甲山でハイキングを楽しむこともありますよ。

最後に、患者さんへのメッセージをお願いします。

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漢方薬は、「生死を左右する」というより、体調を穏やかに整えて生活を快適にするための薬です。漢方の解説書では、冒頭に「陰陽」や「証」など難しい解説が並びます。これらを理解することは大事ですが、それ以上に症状に対する薬の選び方を知って、まずは使ってみてほしい。実際に使って変化を実感してもらい、多くの女性に快適に過ごしてもらうことが大事だと思っています。今後は、漢方薬について西洋医学のような手法で分析されて、データも増えてくると期待しています。ですが、そのスピード以上に、困っている患者さんのニーズや評価のほうが多いからこそ、女性医学で漢方が認められてきたと考えています。ぜひ、悩んでいる症状があれば気軽にチャレンジしてほしいですし、漢方について気軽に相談できる医師、本音を話せる医師と出会ってほしいと思います。

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