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坂上 均 院長の独自取材記事

坂上クリニック

(大阪市北区/南森町駅)

最終更新日:2023/10/26

坂上均院長 坂上クリニック main

大阪メトロ谷町線・堺筋線の南森町駅から徒歩1分。日本一長い天神橋筋商店街のにぎわいの町に構えるのが「坂上クリニック」だ。半世紀にわたり「坂上内科」として地域に親しまれてきたクリニックが、坂上均院長に代替わりして2023年5月より院名を改めた。外科出身の坂上院長は、上部・下部消化管、肝胆膵領域の手術を数多く行ってきた。同院では身近な内科疾患から生活習慣病、外科的治療まで幅広く対応している。院長がめざすのは、人生100年時代にいつまでも元気で食べて、歩けることで健康寿命を延ばすこと。進行がんの外科的治療を行ってきたからこそ、早期発見・予防の大切さを強調。「治療はあくまでも手段で、私の目的は皆さんの健康のサポートなんですよ」と穏やかに語る坂上院長に新しいクリニックにかける想いを聞いた。

(取材日2023年8月1日)

外科手術の経験を生かし生涯医師として患者に向き合う

クリニックの特徴をお聞かせください。

坂上均院長 坂上クリニック1

地域の身近なかかりつけ医といった在り方は変わらず、この町の皆さんとともに育ってきたという感じがあります。患者層は幅広く、商店街の方や、近隣のビルに勤めるビジネスマンもおられます。診療内容は消化器疾患を中心とした内科全般です。依然として新型コロナウイルス感染症への対応は続いていますが、生活習慣病の治療や、胃の内視鏡検査も行っています。私が外科出身なので、現在当院では外傷をはじめとした外科的処置もできるようになりました。父の時代の持ち味も継承しつつ、外科的視点を加味したアドバイスができることで皆さんにとってのプラスになればと思います。

先生は、なぜ医師になろうと思われたのでしょうか。

親から医師の道を勧められたことは一度もありませんでした。私は若い頃からスポーツが好きで、空手や柔道、野球、サッカー、テニスと、たくさんのスポーツをやってきました。ただ試合で負けた時などに「もう少し背が高ければよかったのに……」と体格的な不利を気にしたりそれを言い訳にする自分がいました。そんなある時、身長だとか体格以前に、先天性疾患等のためにスポーツができない、同じ土俵にすら立てない子どもがいることを知り自分が気にしていたのがいかに小さなことで恥ずかしいことかと感じるようになり、同時に彼らに疾患のない子と同じようにスポーツをさせてあげられないだろうか? という思いが強くなりました。そこで移植医療に関わりたいと思い医師を志すようになり兵庫医科大学の第1外科に進みました。

満を持してこちらを継がれたと聞きました。

坂上均院長 坂上クリニック2

結果的にそうなりましたが、いろいろと迷いはあったんです。大学卒業後は大学の関連病院で消化器系の手術を数多く経験しました。当院の継承も視野にはありましたが、外科医として手術に関わり続けたいとの思いがあって外科医不足等も理由に外科勤務医を続けていました。しかしそんな中、2022年の3月に父が倒れたんです。手術を要し、私が執刀しました。その時父は高齢だし、私の年齢的にも今が、先延ばしにしてきた開業のラストチャンスではないかと思いました。一方で、自分は死ぬまで医師として医療を続けたいが、なにも手術だけにこだわらずとも患者を助けることはできる、という思いが以前より一層強くなってきました。そんな経緯があり、今、新たなステージでの医療に向き合うことを決めました。

人生100年時代における健康のサポートを使命に

長年の外科医師時代を振り返ってみて、どんなところに難しさを感じていましたか。

坂上均院長 坂上クリニック3

消化器外科手術では、進行がんや炎症の強い症例などでは術前の予定どおりにいかないこともあり、その場で咄嗟の判断を迫られることもありました。また、手術以外では上部・下部消化器内視鏡の他に、ERCP(内視鏡的逆行性胆管膵管造影)という検査・処置があり、総胆管結石の採石や膵頭部がんや胆管がんによる胆管・膵管閉塞に対しステントを挿入するのですが、関連病院の中では携わる人が少なかったこともあり先頭に立って従事してきました。ただ難しさの先には絶えず患者さんにとって何がベストかを考えて医療を行ってきたからこそのやりがいも大きかったように思えます。今まで多くの症例と向き合ってきた経験から、幅広い視点で病気の治療や予防を考えられることは、今後の診療に生かせると信じています。

経験豊富な先生が掲げる、クリニックの新たな方針はどんなものですか。

外科医だった私が言うのも変ですが、手術というのは、しなくて済むならそれに越したことはないのです。他に治療の選択肢がなく、やらざるを得ないため行う治療とも言えます。例えば胃がんになって手術をすると、食生活などに支障が出てくることも多い。逆に早期にがんを発見できれば、内視鏡で治療ができその患者さんのその後のQOL(生活の質)を保つことにつながります。人生100年時代を元気に過ごそうと思ったら、「食べられる・歩ける」ということが重要で言い換えれば「食べれて歩ければだいたいOK」なんです。そのために定期的に体の「メンテナンス」を行い、予防でき得る病気は予防をしていただきたいのです。内科的治療であっても外科手術であっても、あくまでそれは手段であって、私が行う医療の目的は、皆さんの末永い健康のサポートをすることだと思っています。

胃の内視鏡検査では、経鼻内視鏡を使われているそうですね。

坂上均院長 坂上クリニック4

吐き気などを気にされ敬遠する方も多い内視鏡ですが、約5mmの細さの経鼻内視鏡では比較的負担が少なく検査できるかと思います。口からの挿入時には嘔吐反射が強いですが、鼻ではそれが起こりにくいです。また会話をしながら検査することも可能です。ただし、鼻腔が狭い方や、脳梗塞や心筋梗塞などを患い血液をサラサラにするための薬を飲まれている方には、出血のリスクもあるので経口での検査を提案します。50歳ぐらいを堺にさまざまな疾患のリスクが上がってくるので、毎年検査を受けることをお勧めします。必要時には、病変組織の一部を取って調べる生検を行いその結果によって早期のがんなどが見つかれば、全身麻酔をかけた手術をしなくても、内視鏡で切除できる場合もありますのでその場合、適切な病院へご紹介もしますし、状況によっては、提携先の病院で私が切除することもあります。

いくつになっても食べられる、歩ける人生をめざして

丁寧でわかりやすい説明をモットーにされているそうですね。

坂上均院長 坂上クリニック5

患者さんにとっては、初めて聞く医療用語も多く、ピンとこないこともありますよね。「ふん、ふん」とうなずいていたとしても、内心はよくわからない場合もあるでしょう。そのため画像を用いたり図を書いての説明もしています。健康について不安を持たれている方には、食生活や運動習慣を聞いて、できる限りのアドバイスをします。今後そういった予防医学的なことにもより一層力を入れていきたいですね。この地域でも生活習慣病の方は多いですが、ご存知のとおり進行してしまうと、大きな不調を招く恐れがあります。薬を使わずとも病状を悪化させないようなアドバイスもしていけたらなと思います。

先生がご自身の健康のために実践をされていることはありますか?

若い時はいろんなスポーツをやっていました。今はなかなか時間がとれないのですがスポーツジムでトレーニングを細々と続けています。体を動かしていないと気持ちが悪いんですよ。言わずもがなですが、運動にはさまざまな良い効果が望めます。筋肉の量を増やせば基礎代謝も上がります。糖尿病一つとっても、筋肉量が増えたら、それだけで改善が期待できます。何もしないと年とともに基礎代謝も下がり、老化は進みます。健康寿命を延ばすためにも、できる範囲で運動習慣を取り込めたらいいですよね。

最後に地域の皆さんへメッセージをお願いします。

坂上均院長 坂上クリニック6

気になる症状があれば、まずは気軽に相談していただきたいですね。私たちでできることは全部しますし、当院での治療が難しい場合には適切な病院をご紹介します。それと、少々耳の痛い話かもしれませんが、治療するためには、病識を持つ、つまり病気をきちんと自覚することも必要です。例えば、がんと診断されれば治療にきちんと向き合う方でも、痛みや自覚症状のない生活習慣病だと、薬を飲まないとか、生活を改善されない方がおられるのが現実です。だから私は説明に時間をかけることがありますが、それは患者さん自身にきちんと認識してほしいからなのです。当院に来てくれた方々には、この先極力元気な状態でいてほしい。いくつになっても食べられて歩ける健康寿命を延ばす人生を、ともにめざしていければと願っています。

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